1983年の10cc解散まで来たところで、時間を40年越えて現在である2023年に飛びます。2023年11月2日にビートルズ最後の新曲「NOW AND THEN」がリリースされて、2023年11月10日には「THE BEATLES / 1962-1966」(「赤盤」)と「THE BEATLES / 1967-1970」(「青盤」)の新装盤が、アップルからリリースされましたので、コレはリアルタイムで触れておかなければなりません。「赤盤」と「青盤」は、1973年にアナログ盤でリリースされて、1993年に初CD化されて、当時は初期音源が初ステレオCD化でした。2010年には2009年リマスターでCD化されていて、今回は3度目のCD化となります。まずは「赤盤」ですが、CDは2枚組で、CD1が、1「LOVE ME DO」、2「PLEASE PLEASE ME」、3「I SAW HER STANDING THERE」、4「TWIST AND SHOUT」、5「FROM ME TO YOU」、6「SHE LOVES YOU」、7「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、8「THIS BOY」、9「ALL MY LOVING」、10「ROLL OVER BEETHOVEN」、11「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」、12「CAN'T BUY ME LOVE」、13「YOU CAN'T DO THAT」、14「A HARD DAY'S NIGHT」、15「AND I LOVE HER」、16「EIGHT DAYS A WEEK」、17「I FEEL FINE」、18「TICKET TO RIDE」、19「YESTERDAY」で、CD2が、1「HELP!」、2「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、3「WE CAN WORK IT OUT」、4「DAY TRIPPER」、5「DRIVE MY CAR」、6「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、7「NOWHERE MAN」、8「MICHELLE」、9「IN MY LIFE」、10「IF I NEEDED SOMEONE」、11「GIRL」、12「PAPERBACK WRITER」、13「ELEANOR RIGBY」、14「YELLOW SUBMARINE」、15「TAXMAN」、16「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、17「I'M ONLY SLEEPING」、18「HERE, THERE, AND EVERYWHERE」、19「TOMORROW NEVER KNOWS」の、全38曲入りです。
「赤盤」は全26曲入りでしたから、12曲増えていて、ソレが「I SAW HER STANDING THERE」と「TWIST AND SHOUT」と「THIS BOY」と「ROLL OVER BEETHOVEN」と「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」と「YOU CAN'T DO THAT」と「IF I NEEDED SOMEONE」と「TAXMAN」と「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」と「I'M ONLY SLEEPING」と「HERE, THERE, AND EVERYWHERE」と「TOMORROW NEVER KNOWS」です。元々の「赤盤」は、シングルA面曲は押さえていたものの、何故かアルバム「RUBBER SOUL」から6曲も選んでいたり、アルバム「REVOLVER」からはシングル・カットの2曲しか選ばれていなかったりしたのですが、曲数を増やす事になり、ソノ問題のアルバム「REVOLVER」から5曲も追加して、1曲追加で7曲となったアルバム「RUBBER SOUL」と同等に、アルバム「REVOLVER」から合計7曲が収録されています。旧「赤盤」ではリンゴ・スターが歌う呑気な「YELLOW SUBMARINE」で終わっていたのが、ソノ後に「TAXMAN」と「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」と「I'M ONLY SLEEPING」と「HERE, THERE, AND EVERYWHERE」と「TOMORROW NEVER KNOWS」が続けて収録されたので、印象はかなり変わりました。そして、アルバム「REVOLVER」までしかリミックスが進んでいなかったので、1962年から1965年にかけての音源は、デミックスでのリミックスが行われています。旧「赤盤」ではモノラルでの収録だった「LOVE ME DO」と「PLEASE PLEASE ME」と「FROM ME TO YOU」と「SHE LOVES YOU」もステレオ化されていて、特にマスターがモノラルしかない「SHE LOVES YOU」のステレオ化は驚愕です。コレがデミックスと云う技術なのか、と思わされましたが、実はブートレグではコレ以前に見事にステレオ化されてもいたんですよ。まあ、公式盤の音源には敵いっこないんですけれどね。
そして「青盤」ですが、CD1が、1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、2「PENNY LANE」、3「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、4「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」、5「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」、6「WITHIN YOU WITHOUT YOU」、7「A DAY IN THE LIFE」、8「ALL YOU NEED IS LOVE」、9「I AM THE WALRUS」、10「HELLO, GOODBYE」、11「THE FOOL ON THE HILL」、12「MAGICAL MYSTERY TOUR」、13「LADY MADONNA」、14「HEY JUDE」、15「REVOLUTION」で、CD2が、1「BACK IN THE U.S.S.R.」、2「DEAR PRUDENCE」、3「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、4「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、5「GLASS ONION」、6「BLACKBIRD」、7「HEY BULLDOG」、8「GET BACK」、9「DON'T LET ME DOWN」、10「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」、11「OLD BROWN SHOE」、12「HERE COMES THE SUN」、13「COME TOGETHER」、14「SOMETHING」、15「OCTOPUS'S GARDEN」、16「OH!DARLING」、17「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、18「LET IT BE」、19「ACROSS THE UNIVERSE」、20「I ME MINE」、21「THE LONG AND WINDING ROAD」、22「NOW AND THEN」の、全37曲入りです。旧「青盤」は全28曲入りでしたので、こちらは9曲追加で、「WITHIN YOU WITHOUT YOU」と「DEAR PRUDENCE」と「GLASS ONION」と「BLACKBIRD」と「HEY BULLDOG」と「OH!DARLING」と「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」と「I ME MINE」、そして新曲の「NOW AND THEN」です。曲数は増えたものの、アルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」からは追加を含めても全30曲中6曲で、何故かアナログのA面から5曲で、B面から1曲と、C面とD面は無視されています。ざっと聴いていても、「I AM THE WALRUS」みたいに「明らかに違うリミックス」の音源もありましたし、何故かリミックス・アルバムの箱シリーズでは、同時期の英国のシングル曲やEP曲のリミックスが抜けていたりもしたのです。
そもそも「青盤」はスタジオ・ワークに専念していた時代で、トータル・アルバムの傾向も強くて、アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」や「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」や「ABBEY ROAD」などは「アルバムで聴く」ので、ベスト盤には不向きな時代でもあります。それでも「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」や「PENNY LANE」や「LADY MADONNA」や「HEY JUDE」や「REVOLUTION」や「DON'T LET ME DOWN」や「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」や「OLD BROWN SHOE」などは英国ではシングルのみだったし、シングル・ヴァージョンの「GET BACK」や「LET IT BE」もシングル盤でしか聴けなかったので、ソレらを含めた年代順の選曲には意味があります。しかしながら、追加された「WITHIN YOU WITHOUT YOU」や「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」や「I ME MINE」辺りの選曲は、亡くなったジョン・レノンやジョージ・ハリスンに気を遣ったんでしょうかね。「WITHIN YOU WITHOUT YOU」なんて、アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のB面1曲目だから良いものの、ジョージの曲なら他に良い曲があるでしょう。ジョン抜きの3人でレコーディングした「I ME MINE」も謎の選曲だし、ジョンの「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」も、アルバム「ABBEY ROAD」のA面最後だから良いんですけれどね。ソノ辺りは、些か「攻めすぎ」な選曲だと思いました。最後の「NOW AND THEN」に関しては、まあ、ねえ、あのミュージック・ヴィデオを見せられたんじゃ、何にも文句は云えませんわなあ。こうしたベスト盤には、やはり「アレが入ってない、コレはないだろう」とツッコミが入るのは当然ですし、元々の「赤盤」と「青盤」のCDには「短いからボーナス・トラックを追加しろ!」と騒いでいたわけで、ソレがこうして実際に出たら出たで「選曲に納得がゆかない」となるわけで、だったら、もう自分でパソコンに取り込んで勝手に選曲してCDRに焼くなりして作れって話です。
さてさて、今回の新装盤「赤盤」と「青盤」は、それぞれLP3枚組でもリリースされていて、CDと同じなんだろう、と思ったら、全然違う内容でした。簡単に云うと、LPは2枚組の方はオリジナル盤と同じ曲数と曲順で、3枚目に今回追加された曲が入っているのです。つまり、「赤盤」の3枚目はアルバム「PLEASE PLEASE ME」と同じく1曲目が「I SAW HER STANDING THERE」に始まって「YOU CAN'T DO THAT」までがA面で、B面が「IF I NEEDED SOMEONE」からで最後はアルバム「REVOLVER」と同じ「TOMORROW NEVER KNOWS」で終わる全12曲で構成されています。本当に駆け足でアルバム「PLEASE PLEASE ME」からアルバム「REVOLVER」までから選曲した感じになっちゃっていますが、「青盤」の方はCDでは最後に収録された新曲「NOW AND THEN」がA面1曲目で、ソノ後に、2「BLACKBIRD」、3「DEAR PRUDENCE」、4「GLASS ONION」、5「WITHIN YOU WITHOUT YOU」で、B面が、1「HEY BULLDOG」、2「OH!DARLING」、3「I ME MINE」、4「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」と並べ替えてありまして、どうせボーナス・トラックだから、と云う理由なのか、アナログ盤の2枚組2セットの選曲と曲順は動かしたくない、との考えなのかは分かりませんが、そうなるとそれぞれの3枚目は些か「弱い」し、如何にも「オマケ」感が強くて、アレですなあ。「青盤」なんて、いきなり「NOW AND THEN」から入るのも何だか妙だし、「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」でカットアウトと云うのも、アルバム「ABBEY ROAD」のA面と同じなんですよね。LPはそれぞれ1万5千円近い高価な商品だし、みんなCDとか配信で聴くから、曲順なんてどうでもいいんでしょうか。
(小島イコ)