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2023年10月01日

「24 JAPAN」第15話、第16話(再)



テレ朝チャンネル1 7:00〜9:00

第15話「2:00P.M.-3:00P.M.」
第16話「3:00P.M.-4:00P.M.」

片瀬那奈 AS 氷川七々美(消息不明)

「24 JAPAN」第15話と第16話の、今年5回目の再放送です。今年3回目は第11話を飛ばし第19話で止まっていて、4回目が9月22日に終わってくれて、残りはコノ5回目だけだと思っていたら、10月26日から今年6回目としてスタートが決定している模様です。

本放送:2021年1月22日、1月29日(テレビ朝日)

(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#148「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」



ポール・マッカートニーが率いるウイングスは、1975年9月から1976年10月にかけて、ワールド・ツアーを敢行して各地で大絶賛されていたのですが、ソノ合間の1976年1月から2月にかけて新作のスタジオ・アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」も急ピッチでレコーディングして、北米ツアーに合わせるカタチで、1976年3月26日にMPL / EMIからリリースしました。ポールのビートルズ脱退後では7作目で、ウイングスとしては5作目のアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」の内容は、A面が、1「LET ’EM IN(幸せのノック)」、2「THE NOTE YOU NEVER WROTE(君のいないノート)」、3「SHE'S MY BABY(僕のベイビー)」、4「BEWARE MY LOVE(愛の証)」、5「WINO JUNKO」で、B面が、1「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」、2「COOK OF THE HOUSE」、3「TIME TO HIDE(やすらぎの時)」、4「MUST DO SOMETHING ABOUT IT」、5「SAN FERRY ANNE」、6「WARM AND BEAUTIFUL(やさしい気持)」の、全11曲入りです。アルバムは、全英では2位でしたが、ツアー中だった全米では7週連続首位となっております。しかしながら、コレはポールのアルバムとしては大問題作なのです。まずは、ジャケットが何を考えていたのか分からない程にショボイと云うのは置いておいて、楽曲は「WINO JUNKO」がジミー・マカロックとコリン・アレンの共作で、「TIME TO HIDE」がデニー・レイン作で、他の9曲はポール&リンダ・マッカートニー作と云う事になっているのですが、ポールは全11曲中半分余りの6曲しかリード・ヴォーカルを担当していません。他の5曲は、デニー・レインが2曲、リンダ・マッカートニーとジミー・マカロックとジョー・イングリッシュがそれぞれ1曲ずつ歌っています。おいおい、サー・ポール、もうコレって詐欺みたいなモンですよ。

多くの方々は、ポール・マッカートニーの歌が聴きたくてレコードを買っているのであって、ウイングスはポールのバック・バンドであるとしか考えていません。ソレは現在のポール・マッカートニーのツアー・バンドを観ても明らかで、誰もラスティ・アンダーソンやエイブ・ラボリエル・ジュニアやブライアン・レイやポール・ウィケンズにリード・ヴォーカルで歌えなんて思ってはいません。ポールがどう考えていても、ファンがウイングスに望んでいたのは「ポールのライヴ用のバック・バンド」だったのです。ところが、どっこい、ポールは常に斜め上の思考をしてしまう厄介な人で、ウイングスはバンドなんだから他の4人にも歌わせようなんて浅はかな事を考えて、実行した結果が此のアルバムなのです。アルバムは「SILLY LOVE SONGS」(全米首位・全英2位)と「LET ’EM IN」(全米3位・全英2位)と云う2大ヒット・シングルが収録されていて、米国ツアー中だったので売れに売れたものの、ポールのレコードを買ったはずが半分しか歌っていないのでは大いに不満でした。冒頭の「LET ’EM IN」は、サビが名前を羅列するだけ(シスター・スージーはリンダ、ブラザー・ジョンはジョン・レノンではなく義兄ジョン・イーストマン、ブラザー・マイケルは実弟・マイク・マクギア、など)と云うぶっ飛んだ曲ですが、大ヒットしました。「THE NOTE YOU NEVER WROTE」はポール作なのにデニー・レインが歌っていて、デニー・レインは自作の「TIME TO HIDE」も歌っているのだから、こっちはポールが歌えば良かったでしょう。「SHE'S MY BABY」は軽快なポール節で、こうしてポールの歌に挟まれるとデニー・レインの下手さが際立ちます。「BEWARE MY LOVE」は、ポールが絶叫するハード・ロック・ナンバーで、A面のポールが歌う3曲を聴いただけでポールには様々な歌唱法があるわけで、他のメンバーに歌わせちゃダメなんですよ。それなのに「WINO JUNKO」は、作者のジミー・マカロックが歌っていて、果たしてデニーやジミーの曲を取り上げる事自体が正解だったのかが疑問です。

「SILLY LOVE SONGS」は、評論家などから「ポールは下らないラヴ・ソングしか書かない」と云われた事に対する返答で、楽曲的には対位法を使って同じコード進行で三つのメロディーを歌い、最後にはそれらが重なって、ベース・ラインはそれらとは全く違うメロディーで引っ張ると云う、美しい手法を使っていて、シングル・カットされて全米では5週連続首位になった傑作です。「COOK OF THE HOUSE」はリンダが歌っていて、お世辞にも上手いとは云えない歌声なんですけれど、個人的にはリンダの声は嫌いではありません。と申しますか、ポールのファンは最初のアルバム「McCARTNEY」からリンダの声を刷り込まれてしまったので、7作目ともなるとリンダの声が入っているのが当たり前の感覚になっちゃったんですよ。「TIME TO HIDE」はデニー・レイン作で歌っていて、もうね、ポールとの才能の差が浮き彫りになっていて、コレじゃもう逆に今で云う「パワハラ」に近い事を、ポールはメンバーに強いていたとさえ思えてきます。「MUST DO SOMETHING ABOUT IT」はドラマーであるジョー・イングリッシュに歌わせていて、意外にもジョーは歌が上手いのですけれど、ポールによる仮歌ヴァージョンの方が上です。そして、何だかんだ云っても最後には「SAN FERRY ANNE」と「WARM AND BEAUTIFUL」と云う名曲で〆ていて、格好は付いてはいます。しかしながら、「LET ’EM IN」と「SHE'S MY BABY」と「BEWARE MY LOVE」と「SILLY LOVE SONGS」と「SAN FERRY ANNE」と「WARM AND BEAUTIFUL」とポールが歌っている6曲を抜き出してみると、アレアレ不思議、アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」は大傑作ではないかと評価を変えさせられるのです。確かに1975年から1976年にかけての此のアルバムでの布陣は、ウイングス史上で最高のメンバーが揃っていたのは事実ですが、だからと云って全員に歌わせるなんて発想は、天然バカボンのポールにしか思いつかないし、ましてや実行しないんですよ。ウイングスは、ビートルズではないんですよ。

(小島イコ)

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2023年10月02日

「ポールの道」#149「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」Special Edition(2CD)Deluxe Edition(2CD+1DVD+BOOK)「WINGS AT THE SPEED OF SOUND & MORE」



1976年3月26日にリリースされたポール・マッカートニーが率いるウイングスの大ヒット・アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」は、1989年7月10日にCD化されて、1993年6月7日に「ザ・ポール・マッカートニー・コレクション」の一環としてリマスター盤CDが出ています。ソノどちらでもボーナス・トラックとして、カントリー・ハムズ名義のシングル「WALKING IN THE PARK WITH ELOISE / BRIDGE ON THE RIVER SUITE」の両面と、シングル「JUNIOR'S FARM」のB面だった「SALLY G」が収録されていました。2014年11月5日には「アーカイヴ・コレクション」として「2CD」のスペシャル・エディションと「2CD+1DVD+BOOK」のデラックス・エディションがヒア・ミュージックからリリースされて、CD1にはアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」の全11曲が最新リマスターで収録されました。上記の旧盤でのボーナス・トラックだった3曲は、同日にリリースされたアルバム「VENUS AND MARS」のスペシャル・エディションとデラックス・エディションのボーナス・オーディオへと回されたので、こちらのCD2のボーナス・オーディオは全7曲で実質的には6曲と手薄になっています。元々アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」は急ピッチで集中的にレコーディングされた為に、所謂ひとつのアウト・テイクがありません。CD2のボーナス・オーディオの内容は、1「SILLY LOVE SONGS(DEMO)」、2「SHE'S MY BABY(DEMO)」、3「MESSAGE TO JOE」、4「BEWARE MY LOVE(JOHN BONHAM VERSION)」、5「MUST DO SOMETHING ABOUT IT(PAUL'S VERSION)」、6「LET ’EM IN(DEMO)」、7「WARM AND BEAUTIFUL(INSTRUMENTAL DEMO)」です。全てが未発表音源ばかりで、他の「アーカイヴ・コレクション」とは明らかに違っています。未発表音源と云うと聞こえは良いけれど、つまりはデモ音源やボツ音源なのです。

ポール・マッカートニーはデモ音源を余り公にはしないミュージシャンなので、素材不足で蔵出しされたこれらのデモ音源は貴重ではあります。「SILLY LOVE SONGS」のデモはポールがピアノで弾き語りリンダがコーラスを担当していて、曲の構成は完全に出来上がっています。完成版のイントロはピンク・フロイドの「MONEY」からヒントを得たらしいのですが、ピアノだけのデモはコレはコレでイイ感じです。「SHE'S MY BABY」のデモもポールによるピアノの弾き語りです。「MESSAGE TO JOE」は、ポールがジョー・イングリッシュにヴォコーダーを使って宇宙人みたいな声でメッセージを送っている音源で、曲ではありません。問題の「BEWARE MY LOVE(JOHN BONHAM VERSION)」は、レッド・ツェッペリンのドラマーであるジョン・ボーナムがドラムを叩いている別テイクで、ジョン・ボーナムはウイングスの大ファンで、ツアーの追っかけをしていたのだそうです。1976年と云ったら、レッド・ツェッペリンはアルバム「PRESENCE」をリリースした頃で、当時はレッド・ツェッペリンのファンから「ウイングスなんて軟弱でロックじゃない」とかバカにされていたんですけれど、コレを聴いたら何と云うんでしょうか。まあ、バカにした方はそんな発言は忘れているんでしょうけれど、バカにされた方は忘れてはいませんよ。「MUST DO SOMETHING ABOUT IT(PAUL'S VERSION)」は、ジョー・イングリッシュに歌わせた曲のポールによるガイド・ヴォーカル音源で、ジョーも歌が上手いものの、ポールは仮歌でも流石に上を行っています。「LET ’EM IN」のデモは、途中でポールが「口ドラム」を披露しています。ポールは全身楽器みたいな人なので、楽器なしでもグルーヴを出せるのです。最後は「WARM AND BEAUTIFUL」の、美しいインストゥルメンタルです。ズバリ云って、ポールの歌とインストのボーナス・オーディオの方が出来が良く聴こえますし、メンバー全員に歌わせたのは明らかに失敗でした。ポールとしては、ビートルズや10ccみたいにしたかったのかもしれませんが、そんなバンドは滅多にないのです。

デラックス・エディションのDVDは、ファンにはお馴染みの「SILLY LOVE SONGS」のミュージック・ヴィデオに始まり、英国ウェンブリー公演と、イタリアのベネチア公演のドキュメンタリー映像が収録されていて、ポールが口髭をたくわえています。ボーナス・オーディオもDVDも、本来ならばもっとツアーのライヴ音源やライヴ映像も加えたかったのでしょうけれど、それらはライヴ盤の「WINGS OVER AMERICA」や映像作品の「ROCKSHOW」があるので、こっちには入れられないのです。但し、シングル・ヴァージョンなどもあるのに収録されていないのは不満です。そこでお馴染みの「MOONCHILD RECORDS」からの、千円ブートレグ「WINGS AT THE SPEED OF SOUND & MORE」の出番となります。しかしながら、流石にブートレグでも素材不足なのか2枚組となっており、後述の内容への不満もある出来栄えです。まずは、CD1はアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」全11曲とボーナス・オーディオ7曲に加えて、「THE NOTE YOU NEVER WROTE」のストリングスなしと、「SILLY LOVE SONGS」と「LET ’EM IN」のプロモ・ヴァージョンの全21曲入りです。そして、問題のCD2なんですけれど、デニー・レインの1977年のソロ・アルバム「HOLLY DAYS」全10曲が収録されていて、コレはポールがバディ・ホリーの版権を買ったのでMPLのカタログを増やす為にリリースしたアルバムで、ポールが協力しているものの、リズム・ボックスを使ったりした安上がりな代物です。其の後はポールの曲が続いて「OUBU JOOBU」や「OLD SIAM, SIR」などが既に出来ていたり、「SHE'S MY BABY」の完奏ヴァージョンや「BEWARE MY LOVE」の初期ヴァージョンや「SILLY LOVE SONGS」のオーバーダビング無しヴァージョンなども聴ける全24曲入りで2枚で計45曲入りですが、デニー・レインはいらないし、ポールも後の「McCARTNEY U」みたいなシンセサイザーで遊んでいるインスト曲も多くて、やはり素材不足なんでしょうね。シングル盤に関しては、昨年(2022年)にポールがシングル盤80枚組でまとめていて「MOONCHILD RECORDS」はソレを9枚組CDで出しているので、大抵のシングル盤の別音源は聴けます。

(小島イコ)

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2023年10月03日

「湯けむりバスツアー 桜庭さやかの事件簿7」(再)で内山理名ちゃん



チャンネル銀河 11:00〜13:00

萬田久子主演。湯けむり旅情サスペンス、第7弾!今回の舞台は三重県伊勢志摩。新郎新婦両家で一緒に旅をする“家族になろうよ”ツアー。その旅先で起こる事件とは…!?

内山理名 AS 高根沢智子

「湯けむりバスツアー 桜庭さやかの事件簿7」の、今年4回目の再放送です。理名ちゃんが演じた智子さんは新婦役で、冒頭でウエディングドレス姿を披露しています。そして、新郎新婦の両家で親睦を深める為にバスツアーへと出かけるのですが、そこで事件が起こり、バスガイドの桜庭さやかさんが解決します。

本放送:2016年5月23日(TBS)

(姫川未亜/小島イコ)

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「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第5話(再)

離婚弁護士II~ハンサムウーマン~ DVDBOX


関西テレビ 14:45〜15:45

片瀬那奈 AS 緒方亜紀

第5話「涙の親権争い!」

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第5話の今年6回目の再放送で、関西ローカルですが地上波です。此の回では、離婚する夫婦が親権争いをしているとの依頼を間宮先生が受けてみたら、子どもではなく飼い犬をどちらが引き取るかで争っていると云う、出オチの様な話なのですが、結構泣かせる展開となります。妻役は、真珠夫人です。

本放送:2005年5月17日(フジテレビ)

(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#150「ROCK'N'ROLL MUSIC」

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ビートルズ時代の1967年に交わしたEMI / キャピトルとの9年間の契約が1976年1月に切れて、ポール・マッカートニーは契約を継続して、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターは他社へ移籍して、ジョン・レノンはどことも契約しませんでした。ところが、EMI / キャピトルには「ビートルズの音源を使ったコンピレーション・アルバムを制作してリリース出来る」と云う権利が残って、1976年6月4日(米国、キャピトル)、同年6月11日(英国、EMI)にリリースされたのがアルバム「ROCK'N'ROLL MUSIC」です。内容は、A面が、1「TWIST AND SHOUT」、2「I SAW HER STANDING THERE」、3「YOU CAN'T DO THAT」、4「I WANNA BE YOUR MAN」、5「I CALL YOUR NAME」、6「BOYS」、7「LONG TALL SALLY」で、B面が、1「ROCK'N'ROLL MUSIC」、2「SLOW DOWN」、3「KANSAS CITY」、4「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」、5「BAD BOY」、6「MATCHBOX」、7「ROLL OVER BEETHOVEN」で、C面が、1「DIZZY MISS LIZZY」、2「ANY TIME AT ALL」、3「DRIVE MY CAR」、4「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、5「THE NIGHT BEFORE」、6「I'M DOWN」、7「REVOLUTION」で、D面が、1「BACK IN THE U.S.S.R.」、2「HELTER SKELTER」、3「TAXMAN」、4「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、5「HEY BULLDOG」、6「BIRTHDAY」、7「GET BACK」の、2枚組全28曲入りです。

まずは、それまで定番だった1973年リリースの「赤盤」と「青盤」と、曲のダブリが「DRIVE MY CAR」と「REVOLUTION」と「BACK IN THE U.S.S.R.」と「GET BACK」の4曲のみで、「GET BACK」はアルバム・ヴァージョンなので実質的には3曲です。選曲はキャピトル主導だった様ですが、基本的にはロックンロールを選んだので、オリジナル曲だけだった「赤盤」と「青盤」とは違って、カヴァー曲も多く選ばれています。シングルB面の「I'M DOWN」や、米国では水増しアルバムで既出音源であった英国ではベスト・アルバム「オールディーズ」に収録されていた「BAD BOY」や、EP盤のみだった「LONG TALL SALLY」と「I CALL YOUR NAME」と「SLOW DOWN」と「MATCHBOX」と云った曲も収録されています。まだアルバム「RARITIES」などがリリースされていなかったので、此の選曲は良かったのです。そして、コレが重要だったのは、米国盤ではサー・ジョージ・マーティンが「こんな酷い音では出せない」と云って、ノー・ギャラでリミックスを担当しているのです。英国盤では「ビートルズの音源に手を加えてはならない」と云う契約があった為に、マーティンによるリミックス音源は使用不可となって、内容が英国盤と米国盤では違ってしまったのでした。更に、ジャケットも米国盤は銀色の光沢で、英国盤は普通の紙質で違っているのですが、1976年6月20日にリリースされた日本盤は、ジャケットが米国仕様で音源は英国仕様と云う、最もつまらない選択をしてしまいました。

1980年に2枚組をバラ売りにした時に、英国盤はしれっとマーティンによるリミックス音源に差し替えたのですが、日本盤は元の音源のまんまで出しています。日本盤は米国仕様のアルバムを出した時にも、曲順だけ米国盤と同じで中味は日本盤や英国盤と同じ音源を使っていたりしたので、中古盤で「アップル・マーク入りのキャピトル盤仕様アナログ盤」を買う時には注意が必要です。此のアルバムはロックンロール集と云う事で、全28曲中12曲がカヴァーで、特に初期のジョン・レノンが歌うカヴァー曲の名唱がたっぷりと楽しめます。全体的には後期の曲が少ないものの、前述の通りにリミックスされていたり、「赤盤」と「青盤」とはほとんどダブリがなかったりするので、なかなかの好編集盤です。リリース当時はウイングスが米国ツアー中だった事もあって、全英では10位、全米では2位(ソノ時の首位は「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」)と大ヒットしました。単に過去の曲を集めただけの編集盤がそんなに売れたのですから、そりゃあ、レコード会社はホクホクですよ。英国でシングル・カットした「BACK IN THE U.S.S.R.」は全英19位、米国でシングル・カットした「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」は全米7位なんですから、レコード会社は笑いが止まらなかったでしょうね。ジャケットが安っぽいと、リンゴが怒って、ジョンも自分でデザインすると云ったのに断られたので「ボツにされたモンキーズのアルバム・カバーのようだ」と苦言を呈しています。公式でのCD化はされていませんが、ブートレグCDは出ています。

(小島イコ)

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2023年10月04日

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第6話(再)

離婚弁護士II~ハンサムウーマン~ DVDBOX


関西テレビ 14:45〜15:45

片瀬那奈 AS 緒方亜紀

第6話「占いで離婚!?」

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第6話の今年6回目の再放送で、関西ローカルですが地上波です。コノ回では、真面目な公務員の夫役の柳沢慎吾さんと、妻役で人気作家の秋本奈緒美さんの離婚問題が本題で、柳沢慎吾さんはイメージとは違うどシリアス演技で挑んでいます。メイン・ストーリーはシリアスですが、間宮法律事務所内はコミカルで、停電する原因が那奈ちゃんが演じた亜紀ちゃんだったと云うオチです。

本放送:2005年5月24日(フジテレビ)

(小島イコ/姫川未亜)

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「捜査地図の女」第3話(再)で内山理名ちゃん



BS朝日 18:00〜19:00

第3話「祇園の舞妓が結ぶ二つの殺人!!」

京都祇園の美人舞妓が繋ぐ2つの殺人!男の刺殺体の傍らには舞妓の写真が落ちていた!珠子(真矢みき)が地図から犯人の足取りを辿ると、5年前の殺人事件と繋がって…!?

内山理名 AS 河本麻里

「捜査地図の女」第3話の、今年3回目の再放送です。京都で撮影された此のドラマは、おそらくシリーズ化も視野に入れていたのでしょうけれど、数字は平均でなんとか二桁の「10・1%」で、続編化とはいきませんでした。現在の感覚だと二桁を取ったら万々歳でしょうけれど、11年前にはそうでもなかったのでしょう。第3話のゲストで舞妓さん役は、雨ちゃんこと黒川智花ちゃんです。

本放送:2012年11月8日(テレビ朝日)

(姫川未亜/小島イコ)

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「片瀬のNANA CHANNEL」#164【生配信】EVNNEのあれこれや今週KCONだしインガやってるし色々情報交換したい人の雑談!!【20時半〜】



YouTube「片瀬のNANA CHANNEL」 20:30配信開始(1時間46分6秒)

那奈ちゃんのYouTube第164弾で、今回はまたしても生配信だそうです。2月も3月も4月も5月も6月も7月も8月も9月も全てが生配信、10月に入っても1回目もやっぱり生配信で、38回連続の「推し活」です。これだけパーソナルな内容でダラダラ長時間生配信ばかり繰り返していると云う事はですよ、那奈ちゃんは「嫌なら観るな」と云っているのと同じなわけで、大丈夫です、とっくの昔から観ていません。それから、10月14日の静岡でのフェスも仕事があるので行けません。昔だったら嘘をついてでも仕事を休んで行ったでしょうけれど、現在の那奈ちゃんに対する興味は、その程度のものです。遠路はるばるDJ:NANAを観に行っても、K-POPばっか聴かされそうだしねえ。

(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#151「RINGO’S ROTOGRAVURE」

Ringo's Rotogravure


1976年1月にビートルズ時代からのEMI / キャピトルとの契約が切れたリンゴ・スターは、自分のレーベルであるリング・オーの配給元であるポリドール(米国はアトランティック)と新たに契約しました。リンゴは夢よもう一度とばかりに元ビートルズの3人や多くのミュージシャンに声をかけて、楽曲の提供や演奏への参加をお願いして、プロデューサーには三度リチャード・ペリーへの依頼を考えますが、折角移籍したのだからとアリフ・マーディンへ変更しました。そうして、1976年9月15日(英国)、同年9月27日(米国)、同年10月15日(日本)に、ポリドール(米国ではアトランティック)からリリースされたのが「RINGO’S ROTOGRAVURE」です。ソノ内容は、A面が、1「A DOSE OF ROCK & ROLL(ロックは恋の特効薬)」、2「HEY BABY」、3「PURE GOLD」、4「CRYIN'」、5「YOU DON'T KNOW ME AT ALL」で、B面が、1「COOKIN'(IN THE KITCHEN OF LOVE)」、2「I'LL STILL LOVE YOU」、3「THIS BE CALLED A SONG(これが歌ってものさ)」、4「LAS BRISAS」、5「LADY GAYE」、6「SPOOKY WEIRDNESS」の、全11曲入りです。但し「SPOOKY WEIRDNESS」は米国以外ではシークレット・トラックでした。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンが楽曲を提供していて、他にもエリック・クラプトン、ハリー・ニルソン、ピーター・フランプトン、メリッサ・マンチェスター、ダニー・コーチマー、ドクター・ジョン、ジム・ケルトナー、クラウス・フォアマン、ジェシ・エド・デイヴィス、など、相変わらずの「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」路線で臨んでいますが、リンゴとしてはソレが精一杯なわけで、全力投球したアルバムだと思います。が、しかし、先行シングル「A DOSE OF ROCK & ROLL(ロックは恋の特効薬)」は全米26位、第2弾シングル「HEY BABY」は全米74位、全英ではどちらもチャートインせず、アルバムも全米28位、全英ではチャートインせずと、惨敗してしまいました。リンゴは「こんなはずじゃなかった」と云う心境だったでしょう。

ジョン・レノンが書いてピアノも弾いている「COOKIN'(IN THE KITCHEN OF LOVE)」は、1970年代後半には引退状態で主夫をやっていたとされる時期のジョンが唯一レコーディングに参加した楽曲で、詞の内容もそれっぽい感じです。ポール・マッカートニーが書いて参加している「PURE GOLD」は、リンゴの当時の恋人ナンシー・アンドリュースを歌った曲です。ジョージ・ハリスンは多忙で新曲を提供出来ず、1972年にシラ・ブラックに書いた「WHEN EVERY SONG IS SUNG」を改題した「I'LL STILL LOVE YOU」を提供したカタチになっています。しかし、アリフ・マーディンによる過剰なアレンジにジョージは怒り、販売停止を求めて訴えるトラブルになっています。「A DOSE OF ROCK & ROLL(ロックは恋の特効薬)」では当時人気絶頂だったピーター・フランプトンがギターで参加していて、シングルは前述の通り全米26位だったのですが、コレがリンゴの最後のトップ30ヒットとなってしまいました。ブルース・チャンネルの1961年の全米首位曲のカヴァー「HEY BABY」は、以前にもオールディーズのカヴァーで「YOU'RE SIXTEEN」や「ONLY YOU(AND YOU ALONE)」を大ヒットさせているので、またしても柳の下の泥鰌を狙ったものの目も当てられない結果となりました。「THIS BE CALLED A SONG(これが歌ってものさ)」は、エリック・クラプトンが書いて、と云うか、自作アルバム「NO REASON TO CRY」のボツ曲で、ギターで参加しています。「CRYIN'」は別れた元妻のモーリンに捧げたリンゴの自作ですが、一方で新しい恋人だったナンシーと「LAS BRISAS」を共作していたりもします。リリース当時にリンゴは来日して、NHKやフジテレビの番組に出演したり、世界各国も回って積極的にプロモーション活動も行ったし、コレ以上の事をリンゴに求めるのは酷でしょう。そもそも、ビートルズ時代にはお情けでアルバムで1曲歌わせてもらっていたリンゴが、1970年代前半には全米首位とか大ヒット曲を連発していたのが「時代が狂っていた」のであって、此のアルバムから始まる「リンゴ暗黒時代」が正当な評価だと云ったら云い過ぎかもしれませんが、パンクだニューウェイヴだって時代に、リンゴの寝ぼけ節はお呼びでなかったって事でしょう。

(小島イコ)

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2023年10月05日

「ポールの道」#152「THE BEST OF GEORGE HARRISON」

ベスト・オブ・ジョージ・ハリスン


1976年にEMI(アップル) / キャピトルとの契約が切れたビートルズの4人は、ポール・マッカートニーだけが契約を続行して、ジョン・レノンはどことも契約せず、リンゴ・スターはポリドール(米国ではアトランティック)へ、ジョージ・ハリスンは自身のレーベル「ダーク・ホース」(A&Mからワーナーへ)と移籍しました。ソレで、置き土産としてジョンはベスト盤「SHAVED FISH」を1975年10月に、リンゴもベスト盤「BLAST FROM YOUR PAST」を同年11月に、それぞれソロになってからの選曲でリリースしています。そこでジョージもベスト盤を出す事となり、EMIに自分でソロ時代の曲だけで固めた選曲で提出したものの、EMIの返答は「NO」で、なんと、A面にビートルズ時代の曲を、B面にはアップルでのソロ曲をと云う屈辱的な選曲にされてしまいました。ジョンは勿論、リンゴですらソロ時代の選曲で出せたのに、ほんの数年前には「ビートルズが解散して最も得をした男」とまで云われたジョージは、茫然自失だったでしょう。しかもですよ、ベスト盤「THE BEST OF GEORGE HARRISON」のリリース日は1976年11月8日で、なんと、ジョージの移籍後初の新作アルバム「THIRTY THREE & 1/3(33 1/3)」と同日だったのです。ジョージには、アップル時代に全米首位を2曲含む8枚のシングル曲があって、ソレを中心にしたら普通にソロ曲だけで選曲は可能だったのですが、レコード会社としては1976年6月にリリースしたビートルズの編集盤「ROCK'N'ROLL MUSIC」がヒットしたので「やっぱり、ビートルズは売れる」との判断があったのでしょう。ジョンやリンゴは契約中に出したのに、ジョージだけ契約が切れて他社へ移籍してからのリリースとなってしまった事も、ジョージにとっては不運でした。

さて、ソノよく分からない選曲となったアルバム「THE BEST OF GEORGE HARRISON」の内容は、A面が、1「SOMETHING」、2「IF I NEEDED SOMEONE(恋をするなら)」、3「HERE COMES THE SUN」、4「TAXMAN」、5「THINK FOR YOURSELF(嘘つき女)」、6「FOR YOU BLUE」、7「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」で、B面が、1「MY SWEET LORD」、2「GIVE ME LOVE(GIVE ME PEACE ON EARTH)」、3「YOU(二人はアイ・ラヴ・ユー)」、4「BANGLA DESH」、5「DARK HORSE」、6「WHAT IS LIFE(美しき人生)」の、全13曲入りです。A面は全てビートルズ時代の曲で、「IF I NEEDED SOMEONE」と「THINK FOR YOURSELF」は1965年のアルバム「RUBBER SOUL」から、「TAXMAN」は1966年のアルバム「REVOLVER」から、「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」は1968年のアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」から、「SOMETHING」と「HERE COMES THE SUN」は1969年のアルバム「ABBEY ROAD」から、「FOR YOU BLUE」は1970年のアルバム「LET IT BE」からの選曲です。B面はソロになってからの曲で、全てがシングル・カットされたヒット曲ですが、「MY SWEET LORD」と「WHAT IS LIFE」は1970年のアルバム「ALL THINGS MUST PASS」から、「BANGLA DESH」は1971年のシングルで、「GIVE ME LOVE(GIVE ME PEACE ON EARTH)」は1973年のアルバム「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」から、「DARK HORSE」は1974年のアルバム「DARK HORSE」から、「YOU」は1975年のアルバム「EXTRA TEXTURE」からとなっております。ビートルズ時代の曲を収録しているので、1965年から1975年までのジョージ・ハリスンの音楽が俯瞰出来る構成ではあります。

しかしながら、何を今更ビートルズが半分以上も入っているのかが、理解不能です。ジョージには此のベスト盤のB面に収録された6曲の他にも、1974年の「DING DONG, DING DONG」と1975年の「THIS GUITAR(CAN'T KEEP FROM CRYING)」のシングルが2曲もあるし、コノ時点ではシングルのB面のみだった「DEEP BLUE」と「MISS O'DELL」と「I DON'T CARE ANYMORE」と3曲がありました。そう云ったレアな曲も収録するのがベスト盤の醍醐味でもあるわけで、ビートルズは勿論、ソロ曲も含めて、アルバム未収録曲が「BANGLA DESH」のスタジオ・シングル・ヴァージョンのたったの1曲では、購買意欲も湧かない上に、何だか分からないダサ過ぎるジャケット写真とデザインも、もう少し何とかならなかったのでしょうか。こんな酷いベスト盤を、しかも新作と同日にリリースされてしまったジョージは激怒したそうですが、そりゃあ「聖人」とまで云われたジョージもコノ鬼の所業には怒るでしょう。ジョージには此の後に2作のベスト盤があって、ダーク・ホース移籍後のベスト盤で1989年リリースの「BEST OF DARK HORSE 1976-1989」と、死後のオールタイム・ベスト盤で2009年リリースの「LET IT ROLL」がソレです。ジョージが自分で選曲してソロ曲だけで固めた「BEST OF DARK HORSE 1976-1989」は、流石に納得がゆく内容で、新曲を3曲も含んでいるのに廃盤状態です。「LET IT ROLL」は妻のオリヴィアさんが選曲したらしいのですが、ビートルズ時代の「SOMETHING」と「HERE COMES THE SUN」と「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」を「THE CONCERT FOR BANGLADESH」からのライヴ音源で収録していて、つまりジョージのソロ曲のみで出せたのは「BEST OF DARK HORSE 1976-1989」だけなのです。それなのに廃盤で、他の2作は発売中なんですから、困ったもんですなあ。

(小島イコ)

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2023年10月06日

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第7話(再)

離婚弁護士II~ハンサムウーマン~ DVDBOX


関西テレビ 14:45〜15:45

片瀬那奈 AS 緒方亜紀

第7話「絶対別れない女」

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第7話の今年6回目の再放送で、関西ローカルですが地上波です。此の回では、中山忍ちゃんが演じた水泳指導者の真理さんが、水泳教室で知り合った建設会社の社長と付き合っていて、もう8年も別居中の妻と別れて自分と再婚して欲しいと依頼人になります。真理さんは妊娠していて、生まれてくる子どもの為にも早く結婚したいのですが、妻は一向に離婚には応じない展開です。那奈ちゃんが演じた亜紀ちゃんは、相変わらず本筋以外のところで騒いでいます。

本放送:2005年5月31日(フジテレビ)

(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#153「THIRTY THREE & 1/3」

33 1/3


ジョージ・ハリスンは、1974年にA&M傘下で自身のレーベル「DARK HORSE」を立ち上げました。ところが、ジョージ本人はEMI / アップルとの契約が1976年1月まで残っていて、A&Mが望んでいたジョージのソロ・アルバムは出せない状態でした。ソレでスプリンターやラヴィ・シャンカールなどのアルバムばかりリリースされたA&Mは大いに不信感を募らせて、ようやくジョージの契約が切れてソロ・アルバム「THIRTY THREE & 1/3(33 1/3)」を制作し始めたものの、レコーディングが契約の締め切りに間に合わずリリースが延期となった事で、A&Mはジョージを訴えそうになりました。そこで、ワーナーが間に入って、A&Mへの違約金を肩代わりするカタチで、ジョージはレーベルごとワーナー傘下へと移籍して、1976年11月8日にリリースしたのが移籍後初でソロとしては5作目のスタジオ・アルバム「THIRTY THREE & 1/3」です。前回に取り上げたEMIが勝手にリリースしたベスト盤「THE BEST OF GEORGE HARRISON」と同日となりますが、書物によってリリース日は違っていて、1976年11月19日(英国)、同年11月24日(米国)とも云われてはいます。どっちにしろ、EMIでのベスト盤とワーナーでの新作が僅か10日余りの期間でリリースされたのは事実です。スットコドッコイなベスト盤は、ソレでも全米31位とそこそこ売れたわけで、新作は全米11位だったので、邪魔されなければトップ10入りしていたでしょう。コノ鬼畜が如き所業は、1966年5月16日にビーチ・ボーイズが「PET SOUNDS」をリリースしたのに、内容を理解出来ずに売り上げに不満だったキャピトルが、僅か2か月も経たない同年7月11日にベスト盤をリリースしてしまった歴史的な愚挙よりも酷いです。

さて、そんな不幸なアルバム「THIRTY THREE & 1/3」ですが、タイトルはレコードの回転数と、制作中のジョージの年齢に掛けています。実際には、本当に「33 1/3」歳になった時にリリースを予定していて、ソレが延期されて「A&M」から「ワーナー」へと移籍となってからのリリースとなってしまったので「33 2/3」位になっていたんですけれどね。内容は、A面が、1「WOMAN DON'T YOU CRY FOR ME(僕のために泣かないで)」、2「DEAR ONE」、3「BEAUTIFUL GIRL」、4「THIS SONG」、5「SEE YOURSELF」で、B面が、1「IT'S WHAT YOU VALUE」、2「TRUE LOVE」、3「PURE SMOKEY」、4「CRACKERBOX PALANCE(人生の夜明け)」、5「LEARNING HOW TO LOVE YOU(愛のてだて)」の、全10曲入りです。1956年のコール・ポーター作でオリジナルはビング・クロスビーとグレース・ケリーのデュエットだった「TRUE LOVE」がカヴァーで、他の9曲はジョージのオリジナル曲で、プロデュースもジョージです。レコーディングのメンバーは、ジョージ・ハリスン(リード・ヴォーカル、ギター、シンセサイザー、パーカッション)の他には、ウィリー・ウィークス(ベース)、アルヴィン・テイラー(ドラムス)、ゲイリー・ライト(キーボード)、リチャード・ティー(ピアノ、オルガン、フェンダー・ローズ)、ビリー・プレストン(ピアノ、オルガン、シンセサイザー)、デイヴィッド・フォスター(フェンダー・ローズ、クラヴィネット)、トム・スコット(サクソフォン、フルート、リリコン)、エミル・リチャーズ(マリンバ)、と云った面々です。前作である「EXTRA TEXTURE」に続いての起用となったデイヴィッド・フォスターの色も強く出ていて、所謂ひとつのAOR路線がもう一歩進んだ印象です。更に、トム・スコットのサックスやリリコンなども目立っております。

1曲目の「WOMAN DON'T YOU CRY FOR ME」は、ウィークスのベースが凄いのですが、2021年にリリースされたアルバム「ALL THINGS MUST PASS」の50周年記念盤の箱にアウトテイクが収録されているので、蔵出しだったのでしょう。前作アルバム「EXTRA TEXTURE」の1曲目も1971年の「YOU」を蔵出ししていて、次作のアルバム「GEORGE HARRISON(慈愛の輝き)」にもビートルズ時代に書いた「NOT GUILTY」が蔵出しされているので、1970年代後半のジョージには貯めがなかったのでしょう。其の辺が、湯水の様に曲が出来て貯めがあり捲りのポール・マッカートニーとは違うところではありますが、ジョージも貯めさえあれば名盤が出来る事は後の歴史が証明しています。「DEAR ONE」はアコースティックな曲にシンセ・ベースを加えた革新的なアレンジで、1977年のビーチ・ボーイズの「LOVE YOU」みたいです。「BEAUTIFUL GIRL」や「SEE YOURSELF」や「IT'S WHAT YOU VALUE」はジョージ節全開だし、シングル・カットして全米25位の「THIS SONG」は「MY SWEET LORD」の盗作問題から出来た曲で、モンティ・パイソンが協力したMVも爆笑モノです。「CRACKERBOX PALANCE」もシングル・カットされて全米19位のヒット曲で、こちらでもモンティ・パイソンの面々が出ていて楽しい曲です。ジョージはラトルズの映像版にも出演しているし、ソノ勢いで「HERE COMES THE MOON」を書いちゃうし、映画プロデューサー時代にはモンティ・パイソンの映画を制作しています。「TRUE LOVE」は意外なカヴァーで、「PURE SMOKEY」はまたしてもスモーキー・ロビンソンに捧げた曲です。そして最後の「LEARNING HOW TO LOVE YOU」は、A&Mのハーブ・アルパートへ捧げられていて、何で自分を訴えようとした相手にこんな美しい曲を書いて捧げるのかが、一般人には理解不能です。現行のCDには、1981年のアルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」から外された4曲の内の1曲「TEARS OF THE WORLD」が、ボーナス・トラックとして収録されています。

(小島イコ)

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2023年10月07日

「ポールの道」#154「WINGS OVER AMERICA」



ジョン・レノンが引退して、レコード会社を移籍したジョージ・ハリスンとリンゴ・スターは新作アルバムのセールス面で苦戦していた1976年に、最早一人勝ち状態となったのが、ポール・マッカートニーが率いたウイングスです。1975年9月から1976年10月までワールド・ツアーを敢行したウイングスは、間の1976年3月には新作のスタジオ・アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」もリリースして、内容は全11曲中6曲しかポールが歌っていないにも関わらず、ツアーの煽りで7週連続全米首位を獲得する大ヒットとなりました。そして、ポールは1976年3月から5月にかけての米国ツアーのライヴ音源からベスト・テイクを選曲して、1976年12月10日にMPL/パーロフォン/EMI(MPL/キャピトル)からリリースしたのが、アナログでは3枚組だったライヴ・アルバム「WINGS OVER AMERICA」です。内容は、A面が、1「VENUS AND MARS / ROCK SHOW / JET」、2「LET ME ROLL IT」、3「SPIRITS OF ANCIENT EGYPT(遥か昔のエジプト精神)」、4「MEDICINE JAR」で、B面が、1「MAYBE I'M AMAZED」、2「CALL ME BACK AGAIN」、3「LADY MADONNA」、4「THE LONG AND WINDING ROAD」、5「LIVE AND LET DIE(007死ぬのは奴らだ)」で、C面が、1「PICASSO'S LAST WORD(DRINK TO ME)(ピカソの遺言)」、2「RICHARD CORY」、3「BLUEBIRD」、4「I'VE JUST SEEN A FACE(夢の人)」、5「BLACKBIRD」、6「YESTERDAY」で、D面が、1「YOU GAVE ME THE ANSWER(幸せのアンサー)」、2「MAGNETO AND TITANIUM MAN(磁石屋とチタン男)」、3「GO NOW」、4「MY LOVE」、5「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID(あの娘におせっかい)」で、E面が、1「LET ’EM IN(幸せのノック)」、2「TIME TO HIDE(やすらぎの時)」、3「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」、4「BEWARE MY LOVE(愛の証)」で、F面が、1「LETTING GO(ワインカラーの少女)」、2「BAND ON THE RUN」、3「HI, HI, HI」、4「SOILY」の、全28曲入りです。

最初の「VENUS AND MARS / ROCK SHOW / JET」が3曲のメドレーなので、実質的には全30曲入りで、1973年のアルバム「BAND ON THE RUN」と、1975年のアルバム「VENUS AND MARS」と、前述の通りツアー中の1976年の最新アルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」の3作からの楽曲を中心にしたセットリストで、実際のライヴ通りの順番で並べています。以前も書きましたが、1975年に始まったワールド・ツアーでは、ポールが遂にビートルズ・ナンバーを解禁しています。ソレもライヴの中盤で、ピアノを弾いて歌った「LADY MADONNA」と「THE LONG AND WINDING ROAD」を、アコースティック・セットでの「I'VE JUST SEEN A FACE」と「BLACKBIRD」と「YESTERDAY」と、5曲を固め打ちしています。映像で観ると「YESTERDAY」を歌い出すと、観衆が次々と泣き崩れてしまうんですけれど、そりゃあ、まあ、そうなりますわな。何せウイングスの初期には、ポールはビートルズ・ナンバーを演奏しなかったし、ビートルズも1966年にライヴ活動を休止していたのですから、「YESTERDAY」以外の4曲はライヴ初披露でもあったのです。そして、切り札とも云えるビートルズ・ナンバーをメインにはせずに、ソロとウイングスの曲の間に入れても納得のセットリストとなっているのですから、文句なしの内容ではあります。リード・ギタリストのジミー・マカロックに「MEDICINE JAR」を1曲と、便利屋のデニー・レインに「SPIRITS OF ANCIENT EGYPT」と「RICHARD CORY」と「GO NOW」と「TIME TO HIDE」の4曲を歌わせていて、デニー・レインには歌わせ過ぎだとは思うものの、30曲中5曲ならば許せる範囲ではあります。何せホーンの4人も含めた9人組のウイングス史上最強のメンバーによるライヴなので、悪いわけがありませんし、2時間近くを一気に聴かせます。LP3枚組はレコードをひっくり返すのが大変でしたが、今はCD2枚なので楽にはなりました。

初期のウイングスは、アルバム「McCARTNEY」と、アルバム「RAM」と、アルバム「WILD LIFE」と、アルバム「RED ROSE SPEEDWAY」からと、シングル曲からのセットリストだったので、此のライヴ盤とは全く違っていますが、現在では公式盤でも当時のライヴも聴ける様にはなりました。ソノ頃からの楽曲で生き残ったのは「MAYBE I'M AMAZED」と「LIVE AND LET DIE」と「MY LOVE」と「HI, HI, HI」と「SOILY」位で、ソノ内の1曲「MAYBE I'M AMAZED」はシングル・カットされて、全米10位(全英28位)のヒットとなりました。コノ曲は、アルバム「McCARTNEY」では邦題が「恋することのもどかしさ」で、ライヴ盤では「メイビー・アイム・アメイズド」で、シングル・カットでは「ハートのささやき」となっていますが、全部同じ曲です。アコースティック・セットでデニー・レインが歌っている「RICHARD CORY」は、サイモン&ガーファンクルの1966年のアルバム「SOUND OF SILENCE」に収録されているポール・サイモン作のカヴァーですが、何故こんなマイナーな曲をカヴァーしてデニー・レインに歌わせたのかは分かりません。「GO NOW」はデニー・レインが在籍していたムーディー・ブルースの1964年の全英首位曲ですが、オリジナルは1964年のベシー・バンクスです。デニー・レインが歌っている曲ばかり取り上げているわけではなく、ウイングスのオリジナル・スタジオ・アルバムには収録されていない曲を取り上げているだけです。ハッキリ云って、デニー・レインが歌っている曲なんてどうでもいいんですけれどね。最後の「SOILY」は、ウイングスとしては以前からライヴの定番曲だったのですが、此のライヴ盤がリリース当時は公式盤では初収録で、シングル「ハートのささやき」のB面にもなりました。2時間近く演奏してきてからの、此のポールのシャウトとベースを聴け!なのです。公演を観たジョン・レノンは「ビートルズが観たければ、ウイングスを観ろ」と云っています。アナログ3枚組であるにも関わらず、全英8位、全米首位を獲得しています。

(小島イコ)

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2023年10月08日

「24 JAPAN」第17話、第18話(再)



テレ朝チャンネル1 7:00〜9:00

第17話「4:00P.M.-5:00P.M.」
第18話「5:00P.M.-6:00P.M.」

片瀬那奈 AS 氷川七々美(消息不明)

「24 JAPAN」第17話と第18話の、今年5回目の再放送です。本放送された2020年から2021年に掛けて以来、全く再放送がなかったのに、今年(2023年)になって狂ったかの様に5回目で、既に6回目の再放送も予定されているのですが、正直に云って、那奈ちゃんが演じた氷川七々美は第3話で退場する事も分かっているので、もういいやと云う感じです。主人公の現馬の娘である美有が乗った車が逆走して爆発までして、妻で母親の六花はショックで記憶喪失になるのですが、美有は怪我すらしていないって無理があるし、六花を記憶喪失にさせる為にやらかしたとしか考えられない演出で、舞台を日本にした事での違和感だけではなく、色々とツッコミどころは満載です。

本放送:2021年2月5日、2月12日(テレビ朝日)

(小島イコ/姫川未亜)

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「ポールの道」#155「WINGS OVER AMERICA」Deluxe Edition(3CD+1DVD+4BOOK)「ROCKSHOW」



1976年12月10日にリリースされたウイングスのアナログ3枚組のライヴ・アルバム「WINGS OVER AMERICA」は、2013年5月29日に「アーカイヴ・コレクション」として、3CD+1DVD+4BOOKを収めたデラックス・エディションと、2CDのスタンダード・エディションがMPL/ヒア・ミュージックから、更には映像作品の「ROCKSHOW」のDVDとBDがMPL/ヤマハからリリースされました。まずは映像版の「ROCKSHOW」ですが、コレはアルバム「WINGS OVER AMERICA」の全28曲(メドレーも入れれば全30曲)が完全ノーカットで収録されていて、ボーナス映像として「A VERY LOVELY PARTY」と云うツアーのドキュメンタリー映像(約10分)も収録されています。ライヴ盤なので、こちらの映像版があれば良いと考える方々もいるでしょう。2CDの通常盤は、アナログ3枚組を2枚に収めた最新リマスター音源です。内容は、繰り返しになりますが、CD1が、1「VENUS AND MARS / ROCK SHOW / JET」、2「LET ME ROLL IT」、3「SPIRITS OF ANCIENT EGYPT(遥か昔のエジプト精神)」、4「MEDICINE JAR」、5「MAYBE I'M AMAZED」、6「CALL ME BACK AGAIN」、7「LADY MADONNA」、8「THE LONG AND WINDING ROAD」、9「LIVE AND LET DIE(007死ぬのは奴らだ)」、10「PICASSO'S LAST WORD(DRINK TO ME)(ピカソの遺言)」、11「RICHARD CORY」、12「BLUEBIRD」、13「I'VE JUST SEEN A FACE(夢の人)」、14「BLACKBIRD」、15「YESTERDAY」で、CD2が、1「YOU GAVE ME THE ANSWER(幸せのアンサー)」、2「MAGNETO AND TITANIUM MAN(磁石屋とチタン男)」、3「GO NOW」、4「MY LOVE」、5「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID(あの娘におせっかい)」、6「LET ’EM IN(幸せのノック)」、7「TIME TO HIDE(やすらぎの時)」、8「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」、9「BEWARE MY LOVE(愛の証)」、10「LETTING GO(ワインカラーの少女)」、11「BAND ON THE RUN」、12「HI, HI, HI」、13「SOILY」の、全28曲(メドレーも入れれば全30曲)入りで、一気に聴けるのでCDの方が良いと云う方々も多いでしょう。曲名を繰り返したのは、アナログ3枚組6面と、CD2枚組2面では、印象が違うからです。

そして、箱のデラックス・エディションは、ソノ2CDの他にもCD3の「ライヴ・アット・カウ・パレス」が加わっていて、内容は、1「LET ME ROLL IT」、2「MAYBE I'M AMAZED」、3「LADY MADONNA」、4「LIVE AND LET DIE」、5「PICASSO'S LAST WORD(DRINK TO ME)」、6「BLUEBIRD」、7「BLACKBIRD」、8「YESTERDAY」の、全8曲入りで、全てが未発表音源です。DVDは「WINGS OVER THE WORLD」と云う75分のドキュメンタリー映像が収録されていて、「VENUS AND MARS / ROCK SHOW / JET」、「MAYBE I'M AMAZED」、「LIVE AND LET DIE」、「YESTERDAY」、「MAGNETO AND TITANIUM MAN」、「GO NOW」、「LET ’EM IN」、「SILLY LOVE SONGS」、「BEWARE MY LOVE」、「LETTING GO」、「BAND ON THE RUN」、「HI, HI, HI」、「SOILY」の13曲(15曲)のライヴ映像やリハーサル映像も含んだ内容です。加えて「フォトグラファーズ・パス」と云う、8分位のコノ箱の為に制作されたフォト・ムービーが収録されています。そして、コノ箱のメインとも云えるのが4冊の豪華本で、1冊目はツアー写真とポールのインタビューなどで112頁、2冊目はツアー・スケジュールやツアー・プログラム、レコーディング・データ、歌詞などで136頁、3冊目は「LOOK!」でリンダ・マッカートニーによる写真集で60頁、4冊目はハンフリー・オーシャンによる画集で80頁、他にもツアー関連のレプリカなどのオマケがたっぷりと付いています。コレで1万8千円なので、まあ、宜しいのではないでしょうか。但し、コノ「WINGS OVER AMERICA」と云うライヴ・アルバムは、ポール・マッカートニーが90時間にも及ぶライヴ音源からベスト・テイクを選んでセットリスト通りに並べたわけで、つまりは90時間分のサウンドボード音源があるわけですよ。あたくしも何種類かブートレグで持っていますが、同じ曲順でもベスト・テイクを並べたのとは、ぶっ通しのライヴでは聴いた感覚が明らかに違うわけで、特にCD3が8曲のみって出し惜しみじゃないのか、とも思えます。が、しかし、「リンダとジミーに捧ぐ」と書いてあるのですから、文句は云えないリイシュー盤ではあります。

(小島イコ)

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2023年10月09日

「ポールの道」#156「DECEPTIVE BENDS」



1976年1月に4作目のアルバム「HOW DARE YOU!(びっくり電話)」をリリースした10ccは、同年10月にケヴィン・ゴドレイとロル・クレームが表向きには「ギズモ」の開発と実践の為に脱退してしまい、グレアム・グールドマンとエリック・スチュワートの二人だけとなり、存亡の危機を迎えます。グレアムとエリックは「10cc」の名前を継ぐ事となり、サポート・ドラマーであったポール・バージェスにドラムスとパーカッションを担当させた以外は、グレアム・グールドマンとエリック・スチュワートの二人だけでレコーディングを敢行して、1977年5月に10cc名義で5作目のアルバム「DECEPTIVE BENDS(愛ゆえに)」をマーキュリーからリリースしました。内容は、A面が、1「GOOD MORNING JUDGE」、2「THE THINGS WE DO FOR LOVE(愛ゆえに)」、3「MARRIAGE BUREAU RENDEZVOUS」、4「PEOPLE IN LOVE(恋人たちのこと)」、5「MODERN MAN BLUES」で、B面が、1「HONEYMOON WITH B TROOP」、2「I BOUGHT A FLAT GUITAR TUTOR」、3「YOU'VE GOT A COLD」、4「FEEL THE BENEFIT(Part 1,2,and 3)」の、全9曲入りで、全曲が「スチュワート=グールドマン」作で、プロデュースは10cc名義です。アルバム・タイトルは「DECEPTIVE BENDS(見誤りやすい屈曲)」で、A面2曲目は「THE THINGS WE DO FOR LOVE(愛の為にやる事)」ですが、邦題はどちらも「愛ゆえに」になっていますが、こう云う何だかいい加減な邦題は1970年代にはよくあって、ケイト・ブッシュのデビュー・アルバムもタイトルが「THE KICK INSIDE」で、A面1曲目が「MOVING」だったのに、どちらも「天使と小悪魔」になっていました。エリック・スチュワートは「ケヴィンとロルが辞めても、僕とグレアムは“5cc”ではなく、ちゃんと傑作が作れると証明したアルバムだ」と語っております。確かに、分裂後の此のアルバムは全英3位(全米31位)と大ヒットしましたし、同年にリリースされた「ロル・クレーム&ケヴィン・ゴドレイ」名義のアナログ3枚組の大作「CONSEQUENCES(ギズモ・ファンタジア)」の全英52位には大きく差をつけてはいました。

最初の「GOOD MORNING JUDGE」は、まだケヴィンとロルが在籍中にライヴで披露された曲ですが、無論、二人は参加していないヴァージョンで、第2弾でシングル・カット(全英5位)もされています。「THE THINGS WE DO FOR LOVE(愛ゆえに)」は先行シングルで、全英6位・全米5位の大ヒット曲となり、10ccを代表する1曲で、名曲だと思います。「PEOPLE IN LOVE(恋人たちのこと)」は、第3弾シングル・カット曲ですが、以前も書いた通りにまだオリジナル10ccが活動中にエリックとグレアムが書いた曲で、「ブードゥー・ブギー」として4人でレコーディングまでしたのですが、ソノ甘ったるい単なるラヴ・ソングにケヴィンが怒って、ゴドレイ&クレームが色々とコーラスを加えたりしたものの、納得ゆく結果にはならなかったと云う、10cc分裂の原因のひとつとなった曰く付きの楽曲です。こちらも新たにレコーディングし直したヴァージョンでの収録ですが、2012年にリリースされた40周年記念盤の箱「TENOLOGY」にソノ問題の「ブードゥー・ブギー」が収録されています。小粋な「MARRIAGE BUREAU RENDEZVOUS」や、ブルース進行からサビでハード・ロックになる「MODERN MAN BLUES」、小技を効かせたB面の小品たちである「HONEYMOON WITH B TROOP」と「I BOUGHT A FLAT GUITAR TUTOR」と「YOU'VE GOT A COLD」と、新生10ccは捻くれたゴドレイ&クレームが脱退したので、ストレートなパワー・ポップ路線となってはいるのですが、最後の11分31秒にも及ぶ「FEEL THE BENEFIT(Part 1,2,and 3)」は、オリジナル10ccの得意技のひとつだった組曲で、コレを聴いちゃうと、如何にゴドレイ&クレームがそう云った曲では重要な役割を担っていたのかを、逆説的に証明しちゃっています。エンディングが突然に切れてしまうのも「DON'T HANG UP」と同じだしねえ。現在のCDでは、シングルB面のみだった「HOT TO TROT」と「DON'T SQUEEZE ME LIKE TOOTHPASTE」と「I'M SO LAID BACK, I'M LAID OUT」の3曲がボーナス・トラックとして収録されています。ところで、10ccは兎に角ベスト盤が多いバンドで、ソレも色々と内容が違っているので、洒落ではなく10種類以上持っています。

(小島イコ)

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「ごちゃまぜの混乱のスターダム」



2023年9月30日に横浜武道館で、女子プロレス団体「スターダム」の興行が行われました。当日は7月23日に大田区体育館で開幕した「5★STAR GP 2023」の決勝戦「舞華VS鈴季すず」が行われて、鈴季すずが勝って初優勝しました。2か月にも及ぶ長期リーグ戦で、ジュリアも内部から批判的に「長過ぎる」と云っていますが、ソノ通りでございます。しかも、リーグ戦の期間中に、何度もリーグ戦とは別枠でタイトル・マッチを行ったばかりではなく、ファン投票による「ドリーム・タッグ」とか、ロッシー小川の伝手で、ジャガー横田や神取忍などのレジェンド・女子プロレスラーを参戦させた興行とか、鈴季すずが提唱した「世代抗争マッチ」も続行していたり、若手による「NEW BLOOD」大会も行っていたり、従来のユニットによるマッチメイクもしていて、もう、何が何だか分からない状態になっています。ロッシーは自宅でグッズに囲まれながら呑気にマッチメイクを考えるだけでいいでしょうけれど、やらされている選手としては堪ったもんじゃないはずです。リーグ戦決勝の翌日には後楽園ホールで興行しているんですから、ロッシーは未だに全女時代の感覚が抜けていないんでしょうね。個人的には推しの舞華に優勝して欲しかったものの、鈴季すずも嫌いじゃないので、スカイツイスター・プレスを初公開しての優勝には文句はないものの、解説をしていたジュリアが妹分だった鈴季すずが勝ったら涙ぐんでいて、おいおい、舞華は同門なのに、そりゃあないでしょ、とは思いました。まあ、ジュリアは其の辺の正直なところも魅力のひとつではあるんですけれどね。ロッシーはお気に入りの選手は強力に推すので、シンデレラ・トーナメントでMIRAIを連覇させてからの白いベルト奪取とかもしているんですけれど、鈴季すずに関してはプロミネンスとして初参戦させた時から「逸材」と公言して、結果的には引き抜いたわけで、「5★STAR GP 2023」優勝も驚きはなかったです。

しかし、前述の過密スケジュールもあってか「5★STAR GP 2023」の期間中に、まずは開幕戦の中野たむ戦で照明用のやぐらからダイブした上谷沙弥が自爆して大怪我を負って早くも戦線離脱して、終盤で林下詩美もヘルニアで離脱し、リーグ戦は完走したもののなつぽいもヘルニアで離脱し、スターライト・キッドも負傷欠場してしまいました。過酷なリーグ戦を謳い文句にしてはいますが、実際に選手に怪我をさせたんじゃダメでしょう。鈴季すずが決勝戦で初公開したスカイツイスター・プレスも危険な技で、あたくしは大昔に技を開発したチャパリータASARIが初公開した時に生観戦しているのですが、アレはチャパリータASARIが器械体操出身者だったから編み出せた技で、上谷沙弥にも云えますけれど、危険な跳び技は止めた方がいいと思います。それにしても、スターダムは所謂ひとつの「外様」に頼り過ぎです。現在のシングル王者は、赤いベルトが中野たむ、白いベルトがMIRAI、IWGP女子王者が岩谷麻優、STRONG女子王者がジュリア、と4人もいるのですが、ソノ内で生え抜きは岩谷麻優だけです。IWGP女子王座とSTRONG女子王座は新日本プロレスが管理するベルトなのでアレですけれど、スターダムの赤と白も、中野たむが二冠王者になったのに、MIRAIが白だけに挑戦して、案の定、勝っちゃったんですよ。幾ら最高峰の赤いベルトを保持していても、白いベルトは負けて失ってるじゃん、となって、何だかモヤモヤしますなあ。「5★STAR GP 2023」には、安納サオリもエントリーしていて、フリーの安納サオリは2018年から正危軍の一員として「OZアカデミー」の興行にも継続参戦中なので、昼夜連続参戦なんかも余儀なくされていました。「OZアカデミー」は「スターダム」ほどの試合数はないものの、フリーである安納サオリは基本的にはオファーがあればどこのリングでも上がるし、女子プロレスラーとしては現在がピークにきていると思うので、各団体、特にスターダムは、大切に使って欲しいです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:30| KINASAI | 更新情報をチェックする

2023年10月10日

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第8話(再)

離婚弁護士II~ハンサムウーマン~ DVDBOX


関西テレビ 14:45〜15:45

片瀬那奈 AS 緒方亜紀

第8話「鉄の女、号泣!!」

「離婚弁護士U〜ハンサムウーマン〜」第8話の今年6回目の再放送で、関西ローカルですが地上波です。此の回では、瀬戸朝香さんが演じたクールな佐伯先生に離婚歴があって、幼い娘がいる事が発覚するのですが、唐突に思える展開には伏線があって、第5話で犬の親権を争う回では、間宮先生に佐伯先生が「私は親権問題には詳しいんです」と助言しようとしていました。娘がガチャポンの動物シリーズでパンダを欲しがっているので、間宮法律事務所の面々もガチャポンをするのに、何故か本人に似た動物しか出なくて、那奈ちゃんが演じた亜紀ちゃんはカエルばかり出ます。最後に佐伯先生が号泣する展開が、泣かせる話になっています。

本放送:2005年6月7日(フジテレビ)

(小島イコ/姫川未亜)

posted by 栗 at 15:45| ACTRESS | 更新情報をチェックする

「ポールの道」#157「CONSEQUENCES」



1976年10月に10ccを脱退したケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは、脱退理由としていた「ギズモトロン(通称・ギズモ)」の開発とアルバム制作を実行しました。ケヴィンとロルが10ccを脱退したのは、勿論、ギズモの為でもあったものの、10ccに残留したエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの二人とは音楽性が違ってしまった事が最大の原因です。ケヴィンとロルはギズモを使った楽曲を制作してはいましたが、10ccとしてライヴはエリックとグレアムに任せて、ケヴィンとロルはスタジオ・ワークに専念すると云った折衷案もあったらしいのですが、エリックとグレアムが書いた「PEOPLE IN LOVE」に激怒したケヴィンがロルを連れて脱退したと云うのが本当の理由の様です。そもそも10ccは1974年にリリースした2作目のアルバム「SHEET MUSIC」からギズモを使用していて、シングルのB面には「GISMO MY WAY」と云う4人で合作した曲までありましたので、何を今更「ギズモの為に脱退」だったわけです。そして、10ccに残ったエリックとグレアムは、サポート・ドラマーだったポール・バージェスに打楽器を担当させた以外は全て二人で曲を書いて演奏したアルバム「DECEPTIVE BENDS(愛ゆえに)」を1977年に、10cc名義での5作目としてマーキュリーからリリースして、大ヒットさせました。エリックは鼻高々に「僕たちは“5cc”ではない、二人になっても“10cc”だと証明したアルバムだ」と云っておりますが、聴いているこちらとしては、勿論素晴らしいポップなアルバムだとは思ったものの「5cc」だったのです。何かが違う、と思わされた原因は、同年にリリースされたフィル・マンゼネラのアルバム「LISTEN NOW」を聴いて解決しました。其のアルバムにはロル・クレームとケヴィン・ゴドレイがコーラスで参加しているのですが、コーラスだけで紛れもなく「10cc」していたのです。

其れゆえに、ロルとケヴィンがアルバム「CONSEQUENCES(ギズモ・ファンタジア)」をロル・クレーム&ケヴィン・ゴドレイ名義で、1977年にマーキュリーからリリースした時の期待度は、高まっておりました。ソレも、アナログ3枚組の大作なんですから、もうね、期待度マックスだったわけですよ。ところが、実際に聴いての印象は「何じゃこりゃ」でした。内容は、A面が、1「SEASCAPE(海景画)」、2「WIND(風)」、3「FIREWORKS(花火)」、4「STAMPEDE(暴走)」、5「BURIAL SCENE(葬礼)」で、B面が、1「SLEEPING EARTH」、2「HONOLULU LULU」、3「THE FLOOD(洪水)」で、C面が、1「FIVE O'CLOCK IN THE MORNING」、2「PETER COOK DIALOG 1」、3「WHEN THINGS GO WRONG(うまくいかない時)」、4「PETER COOK DIALOG 2」、5「LOST WEEKEND」で、D面が、1「PETER COOK DIALOG 3」、2「ROSIE(いとしのロージー)」、3「PETER COOK DIALOG 4」、4「OFFICE CHASE」、5「PETER COOK DIALOG 5」、6「COOL, COOL, COOL」、7「PETER COOK DIALOG 6」で、E面が、1「COOL, COOL, COOL(RIPRISE)」、2「PETER COOK DIALOG 7」、3「SAILOR」、4「PETER COOK DIALOG 8」、5「MOBILIZATION」、6「PETER COOK DIALOG 9」、7「PLEASE, PLEASE, PLEASE」、8「PETER COOK DIALOG 10」で、E面が、1「BLINT'S TUNE(MOVEMENTS 1-17)」の、全29トラック入りなのですが、曲と呼べるのは19曲で、他は俳優のピーター・クックが書いて一人で4役を務めた寸劇で、女性役はジュディ・ハックステーブルが演じています。内容は離婚調停中の夫婦と弁護士の会話で、音楽の方は世界中でハリケーンが起きて地球滅亡の危機になるものの、音楽のチカラで救われると云う、何とも壮大なテーマが繰り広げられています。楽曲は、全てクレーム=ゴドレイ作です。

そもそも「ギズモ」と云うのは、ギターに取り付けてオーケストラなどの様々な音を出す装置で、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジがギターを弓で弾いているのを観て思い付いたと云われていて、ロル・クレームとケヴィン・ゴドレイが1971年には発想して、10cc時代にマンチェスター工科大学の協力で開発したのです。前述の通り、既に10cc時代には実際に楽曲に使用していました。ソレで、ロルとケヴィンは全てをギズモで演奏したシングルをリリースしようと考えたのですが、ドンドンと構想が広がって、16か月も掛けてアルバム3枚組の「CONSEQUENCES(ギズモ・ファンタジア)」となったのです。楽曲は、ドラムとピアノとヴォーカル以外は全てギズモによって作られていて、サラ・ヴォーンが「LOST WEEKEND」でケヴィンとデュエットしていて、メル・コリンズが「WHEN THINGS GO WRONG」でサックスで参加している以外は、全てロルとケヴィンによる演奏です。3枚組で寸劇入りと云う事で不評で、全英で52位と惨敗してしまい、後に音楽だけを1枚にした「MUSIC FROM CONSEQUENCE」をリリースしています。全部聴くと2時間も掛かるのですが、楽曲では、声が風になっている「WIND」や、音が燃えてしまう「FIREWORKS」や、水の滴りがドンドンと大きくなってハード・ロックのライヴになる「THE FLOOD」などは、今聴いても面白いし、「FIVE O'CLOCK IN THE MORNING」や「LOST WEEKEND」は美しいですし、やはり「10ccの肝」はゴドレイ&クレームだったと思わされる出来栄えです。ブックレットのコラージュを、2019年にケミカル・ブラザーズがそのまんまアルバム・カヴァーに転用していたりもします。現在のCDでは5枚組で、オリジナルの3枚に加えて「MUSIC FROM CONSEQUENCES」と、3枚のダイジェスト盤の5枚組となっています。

さて、前回に「10ccはベスト盤が多い」と書きましたが、気が早いのですが、来年(2024年)1月26日に「20 Years: 1972 -1992」と云う箱が発売される模様です。CD14枚組で、10cc名義の、1973年のアルバム「10cc」と、1974年のアルバム「SHEET MUSIC」と、1975年のアルバム「THE ORIGINAL SOUNDTRACK」と、1976年のアルバム「HOW DARE YOU!」と、1977年のアルバム「DECEPTIVE BENDS」と、1977年の2枚組ライヴ・アルバム「LIVE AND LET LIVE」と、1978年のアルバム「BLOODY TOURISTS」と、1980年のアルバム「LOOK HEAR?」と、1981年のアルバム「TEN OUT OF 10」と、1983年のアルバム「WINDOWS IN THE JUNGLE」と、1992年のアルバム「...MEANWHILE」の11作12枚に、シングル・ヴァージョンやシングルB面曲を収めた2枚を加えた145曲入りとの事ですが、ボーナス・トラック入りアルバムをバラで全て持っている方々には余り魅力はない箱になりそうです。ゴドレイ&クレームの作品に関しては、既に今回紹介した「CONSEQUENCES」CD5枚組の箱と、其の後の「L」から「GOODBYE BLUE SKY」にボーナス・トラック入りのCD5枚組の箱「BODY OF WORKS 1978-1988」があれば揃うし、昨年(2022年)には10cc以前の「FRABJOUS DAYS THE SECRET WORLD OF GODLEY AND CREME 1967-1969」まで出ているので、10ccに関しては以前に出ていた「STRAWBERRY BUBBLEGUM」の様な編集盤の方が嬉しいんですけれどね。ところで箱には1995年のアルバム「MIRROR MIRROR」がハブにされている様ですが、やっぱりアレは「10cc」じゃないって事なんでしょうか。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする