1966年になって、ビートルズのマネジャーであるブライアン・エプスタインは、例年通りに映画を撮影してサントラ盤を出しツアーする計画を立てますが、ビートルズに拒否されて、ビートルズはデビュー以来初めての3か月間の休暇を取りました。そして、同年4月6日から6月21日にかけて英国では7作目となるアルバム「REVOLVER」をレコーディングしました。ソレで、最初にレコーディングした曲がジョン作の「TOMORROW NEVER KNOWS」だったのですから、其の段階でライヴでは披露しないと決めていたと云うか、ライヴは止めると考えての事だったのでしょう。此のアルバムからは若干19歳だったジェフ・エメリックがエンジニアで参加するのですが、ソレはみんなビートルズのエンジニアは無理難題を云われてしまうのでやりたがらず、若造だったエメリックに押し付けたからだったらしいのです。そうしてレコーディングは新たなる挑戦に傾いていったので、アウトテイクや別ミックスなども多くなり、ブートレグ業者の格好のエサとなりました。まずはお馴染みハーフオフィシャル盤の「ETERNAL GLOOVES」からの「REVOLVER SESSIONS」ですが、毎度の事で別テイクや別ミックスをアルバムの曲順に並べたもので、セッションに関しても他のブートレグからのコピーです。あたくしが持っているのは「SECRET TRAX」の「REVOLVING」、「SWEET ZAPPLE」の「Another track of REVOLVER」、「JPGR」の「REVOLVER Some Product」、「MOONCHILD RECORDS」の「REVOLVER MATRIX 1」と云ったところで、他にもあるんですけれど、まあ、此の辺からは色々と出てはいます。「REVOLVING」は2枚組で、1枚目がデモ音源(「SHE SAID, SHE SAID」)から始まり、セッション音源とモニターミックスの全33曲入りで、2枚目はオリジナル・モノラル・ミックスとシングル「PAPERBACK WRITER / RAIN」のモノラルとステレオなど全23曲で、計56曲入りです。
「Another track of REVOLVER」も2枚組で、1枚目がオリジナル・モノ・ミックスに「TOMORROW NEVER KNOWS」のマトリックス1・モノラル・ミックス、更に「PAPERBACK WRITER / RAIN」も含めた別ミックスで全29曲で、例の「YESTERDAY AND TODAY」の別ミックスなども含まれています。2枚目は「Anthology 2」の別テイクも含めた更なる別ミックスの全30曲入りで、計59曲入りです。別ミックスが聴きたければコレがオススメです。「REVOLVER Some Product」も2枚組で、1枚目も2枚目も別テイクや別ミックスをアルバムの曲順に並べたものにシングル「PAPERBACK WRITER / RAIN」も含むボーナストラック入りの全40曲入りで、ETERNAL GLOOVES盤の倍近いボリュームがあるので、こっちがあればあっちはいりません。そして「REVOLVER MATRIX 1」も2枚組で、初回プレス盤で「TOMORROW NEVER KNOWS」が別ミックスになっているモノラル盤が1枚目にそのまんま収録されていて、2枚目はオープンリールから全14曲で、計28曲入りです。「TOMORROW NEVER KNOWS」の別ミックスに関しては、昨年(2022年)にリリースされた「REVOLVER」のCD5枚組スーパーデラックスに収録されましたので、ソレを聴く為にわざわざプレミアがついているオリジナル・モノラル初回プレス盤を買わなくともよくなったわけです。米国キャピトル盤に関しては前回にも触れましたが、オリジナルから3曲をカットしただけと云う酷い盤です。但し、「RUBBER SOUL」から「YESTERDAY AND TODAY」そして「REVOLVER」と米国では水増しして改ざんされてスカスカな3枚に分けられた為に、ビートルズが突然に1967年の「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」で爆発したと受け取られたと思います。英国オリジナル盤だと「RUBBER SOUL」から「REVOLVER」と来て「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」なので、流れが分かるのに、米国盤では其の唐突感が半端ではなかったでしょう。
(小島イコ)