1965年12月3日に英国のEMIパーロフォンからビートルズの6作目のアルバム「RUBBER SOUL」がリリースされますが、レコーディングは同年の10月12日から11月11日まで行われています。但し「WAIT」は前作「HELP !」からの蔵出しなので、同年6月17日にレコーディングされています。それで、アルバム13曲と、英国ではアルバム未収録のシングルで初の両A面「DAY TRIPPER / WE CAN WORK IT OUT」の15曲が約1か月でレコーディングされたわけです。其の前にビートルズは北米ツアーを行っていて、其の期間にボブ・ディランと逢ってマリファナを教えられたり、ビーチ・ボーイズのカールとマイクが楽屋に来たり、ジョンがピーター・フォンダとLSDをやったり、エルヴィス・プレスリーと逢ったり、バーズの面々に麻薬を教わったりしていて、ジョンはビートルズがレコーディング・バンドになったのは「RUBBER SOUL」からだと云っています。アルバムのタイトルは黒人ミュージシャンが「ローリング・ストーンズの音楽は悪くはないけれど、ミック・ジャガーの歌はプラスティック・ソウルだ」と揶揄した事にポールがヒントを得て「RUBBER SOUL」となったのですが、ソレを語っている音源が「Anthology 2」収録の「I’M DOWN」の後に入っています。セッションの様子は例によって「ETERNAL GROOVES」からハーフオフィシャル盤が出ておりますが、毎度お馴染みの別ミックスをアルバムでの曲順に並び替えたり、他のブートレグからコピーしたセッションなので、面白味はなく、単に入手し易い事位しか利点はありません。あたくしが持っているのは「SECRET TRAX」の「SOUL SESSIONS」と「SWEET ZAPPLE」の「Another track of RUBBER SOUL」と「MOONCHILD RECORDS」の「RUBBER SOUL SPECTRAL STEREO MIX」と云ったところです。
「SOUL SESSIONS」は2枚組で、1枚目が「WE CAN WORK IT OUT」と「MICHELLE」のデモに始まり、未発表だった「12-BAR ORIGINAL」も含んだレコーディング・セッションから40トラック入りで、コーラスをダビングする「THINK FOR YOURSELF」が完全収録されている辺りは退屈です。2枚目はモノラル・ミックスとシングルの16曲に別テイク4曲に別ミックス8曲の全28曲で、計68トラック入りです。「Another track of RUBBER SOUL」も2枚組で、1枚目はアルバムのモノラル・ミックス全14曲とシングル2曲のモノラル・ミックスに各国盤からの別ミックス13曲を加えた全29曲入りで、2枚目はセッションから15曲と更なる別ミックスを16曲の全31曲入りで、計60曲入りです。そして「RUBBER SOUL SPECTRAL STEREO MIX」は、もうお馴染みの「なんちゃってデミックス」で、ブートレグ業者が勝手にヴォーカルをセンターにしたりして遊んでいる音源なので、コレは本物のジャイルズ・マーティンがたぶん今年には「RUBBER SOUL」のデミックスをやりそうなので、どんだけ違うのかお手並み拝見ではあります。さてさて、「WITH THE BEATLES」と「RUBBER SOUL」の英国での初回プレスのモノラル盤は、通称「ラウド・カット盤」と呼ばれていて、音圧レベルが違っていて迫力があるとの事でプレミアが付いております。あたくしはそこまでマニアではないのですが、最近ブートレグCD3枚組の「CONTRA BAND MUSIC」からの「THE BEATLES THE GOLDEN ANALOG EXPERIENCE」を中古盤で2千5百円位で購入しました。それにですね、2 in 1で「WITH THE BEATLES」と「RUBBER SOUL」の英国ラウド・カット盤と、「ビートルズ!」と「A HARD DAY'S NIGHT」と「HELP !」の日本テストプレス盤と、「REVOLVER」の英国初回モノラル・マトリックス1の6枚が、所謂ひとつの「盤起こし」で収録されているんですよ。確かに「盤起こし」でも「ラウド・カット」である事は分かりましたので、ソレで充分です。
(小島イコ)