1982年3月21日発売の「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」は、A面1曲目が大瀧師匠の曲で3人で歌う「A面で恋をして」で始まり、2曲目「彼女はデリケート」と、3曲目「Bye Bye C-Boy」と、4曲目「マンハッタンブリッヂにたたずんで」と、B面2曲目「週末の恋人たち」の4曲が佐野元春さんサイドで、A面5曲目「Nobody」と、6曲目「ガールフレンド」と、7曲目「夢みる渚」と、B面1曲目「Love Her」の4曲が杉真理さんサイドで、其の後のB面3曲目から6曲目の「オリーブの午后」「白い港」「Water Color」「♡ハートじかけのオレンジ」の4曲が大瀧師匠サイドとなっております。佐野さんの「彼女はデリケート」とB面の「こんな素敵な日には」と、杉さんのB面「ラストナイト」と、大瀧師匠の「♡ハートじかけのオレンジ」とB面の「ROCK'N' ROLL 退屈男」と、更には「A面で恋をして(CM Version)」の6曲がボーナストラックで追加されている「20周年記念盤」が、繰り返しますが、オススメです。前述の通り、個人的には大瀧師匠ありきのアルバムなので、正直に云って佐野さんと杉さんの楽曲には全くと云ってよい位に思い入れはございません。お二人共にビートルズを意識した楽曲も多いのですが、それだったらビートルズを聴けばいいわけで、大瀧師匠の「白い港」(ビートルズの「HOLD ME TIGHT」をフィル・スペクターがプロデュースしたトレジャーズによるカヴァー・ヴァージョンとアレンジが同じ)みたいに捻ってもらわないと、興味が持てません。
そんな中でも佐野さんの「週末の恋人たち」はモータウンのメアリー・ウェルズ「マイ・ガイ」を意識した楽曲で、とても好きです。此の曲が好きなので、佐野さんは2枚組のシングル・ベスト盤(「Moto Singles1980〜1989」)を購入したわけです。他の曲に関しては、やっぱりリヴァプール・イディオムが当たり前すぎて、一寸ねえ。杉さんに至っては、其れがもっと強くって、佐野さんも客演している「Nobody」なんか、トッド・ラングレンがユートピアでビートルズのマネをした「抱きしめたいぜ(I JUST WANT TO TOUCH YOU)」にソックリと云う、何だか捻っているのか、何とも云えない出来栄えだし、佐野さんの「Bye Bye C-Boy」と杉さんの「Love Her」はどちらもビートルズの「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」が元ネタなんですけど、幾らオムニバス盤だからと云って同じネタを2曲も収録するのはどうなんでしょうね。そこまでやるなら大瀧師匠の「空飛ぶくじら」も入れてしまえばよかったかと云うと、それじゃあ酷過ぎるわけでして、まあ、佐野さんも杉さんもビートルズの影響が強いので、此の後に「イエロー・サブマリン音頭」にも違和感なく参加出来たんでしょうね。「イエロー・サブマリン音頭」には銀次も参加しているから、タツロー以外のトライアングルは全員参加しているわけです。タツローは、ビートルズに全く思い入れがないと公言している稀有なミュージシャンなので、まあ、そうなったわけでしょう。
(小島イコ)