1981年3月21日に発売された「ロンバケ」こと「A LONG VACATION」は、当然ながら最初はアナログ盤とカセットテープでの発売でした。同年の7月21日には「Sing ALONG VACATION」と云う透明仕様盤がアナログ盤で出て、其れは「ロンバケ」の9曲(「さらばシベリア鉄道」なし)で、カラオケにギターやキーボードで歌メロをダビングしたモノです。漏れた「さらばシベリア鉄道」は、同年の9月21日にフィヨルド7名義でシングル盤で出ております。翌年の1982年10月1日には世界初のCD20作のひとつとして初CD化されますが、何せ世界初だったので音が悪くて、大瀧師匠はまだリマスターと云う概念がなかった頃にリマスターを2回やり直したので、同じ品番で3種類のCDが出回りました。1989年6月1日には全9曲(「さらばシベリア鉄道」未収録)のリマスター盤CDを出して、1991年3月21日に全10曲に戻したリマスター盤がCD選書シリーズで出たわけですが、此の選書盤のリマスターは大瀧師匠が関与していなかった為に、後にオリジナル・マスターではなく、企画倒れとなった「ロンバケ」のシングルVOX用のマスターで、当然ながら1度も再生されていなかった素材を使っていたと発覚しました。「ロンバケ」のCDとしては、廉価でオリジナル通りの曲順の選書盤が、一般的にはオススメです。
そもそも1991年には「1991」と云うアルバムを出すなんぞと予定は未定な事を大瀧師匠は語っていて、其の代わりに選書盤が出たわけですが、2001年にも「2001年ナイアガラの旅」と云うアルバムを出すとも云っていて、其の代わりに2001年3月21日に出たのが20周年盤である「A LONG VACATION 20th Anniversary Edition」なのです。当然、当時の最新リマスターでしたが、オリジナル・マスターのテープは劣化して使えず、1989年のデジタル・マスターを元にリマスターしていて、つまりは未収録だった「さらばシベリア鉄道」のデジタル・マスターは此の時に初めて使用したわけです。最初のアナログ時代の「ロンバケ」は1年後に100万枚を突破していますが、10年後の選書盤も45万枚位売れて、20年後の20周年記念盤も10万枚近く売れました。此の20周年盤にはオリジナル通りの全10曲に加えて、前述の「Sing ALONG VACATION」全9曲をボーナストラックとして加え、全19曲のお買い得盤となっております。「Sing ALONG VACATION」に関しては、師匠は以前は「出さなきゃよかった」とも語っておられたものの、20年が経過してやはりコレも一興と考え直して下さったのでしょう。此の後に30周年記念盤と40周年記念盤もあって、全てジャケットは同じなので、よーく確かめてから購入しましょうね。
(小島イコ)