1980年5月1日に発売されたシングル「RIDE ON TIME」で遂にブレイクしたタツローこと山下達郎さんですが、其の状況に完全に便乗して1980年7月10日には「TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA」と云うコンピレーション・アルバムがNIAGARA⁄COLUMBIAから発売されてしまいました。何度も書いて来ましたが、大瀧師匠はコロムビアと「年間4枚3年で12枚」と云うトンデモ契約を結んでしまったので、「レッツ・オンド・アゲン」は11枚目で、まだ1枚足りなかったし、販売権は1980年まで残っていたのです。「ロンバケ」こと「A LONG VACATION」が当初は1980年7月28日発売予定だったのが、妹さんを亡くした松本隆さんが詞が書けなくなってしまった事から延期になったとも云われておりますが、そもそも1980年までは大瀧師匠はコロムビアからしかレコードを出せなかったと云う説もあります。其れで其の契約を楯にして、大瀧師匠の与り知らぬトコロでコロムビアが勝手に出してしまったわけですよ。内容は「SONGS」と「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」からタツローが歌っている曲を11曲、まあ、つまりは全曲なのですが、中にはター坊とデュエットしている「すてきなメロディー」とか、銀次がいやらしく語っている「遅すぎた別れ」まで入っているわけです。
発売当時にはもう既にレア・アイテム化していた、銀次とタツローと大瀧師匠による元祖ナイアガラ・トライアングルの「幸せにさよなら」シングル・ヴァージョンが収録されているのが珍しかったものの「SONGS」と「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」の2枚を持っていたならば、目玉は「幸せにさよなら」シングル・ヴァージョン1曲だけだったし、今ではCDのボーナストラックで其れも聴けちゃうんですよね。其れもアレなんですけれど、ジャケットが紫地に水色と黄色の文字で斜めにタイトルが書いてあるだけと云うパチモンみたいなやる気のないアルバムだったわけです。それがですね、2009年3月21日に大瀧師匠による新装盤として「TATSURO FROM NIAGARA」として蘇ったのでした。こちらの方はですね、大瀧師匠ですから、気合が入った曲順になっていて、と申しましてもナイアガラでのタツロー関連曲は12曲しかないわけで、「TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA」に全部収録されちゃったわけで、其れで大瀧師匠は「幸せにさよなら」の別ミックス(タツローから歌い出すヴァージョン)と「すてきなメロディー」の幻のカズー入りリミックスと「ドリーミング・デイ」はアルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンを両方入れて、「SUGAR」のオリジナル・ミックスを入れているわけです。まあ、でも、やはり何だかよく分からないコンピ盤なので、もう既に廃盤になってプレミアが付いているみたいです。
(小島イコ)