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2023年04月01日

「ナイアガラ考」#70「レッツ・オンド・アゲン」「LET'S ONDO AGAIN SPECIAL」(中)

LET’S ONDO AGAIN


アナログ盤の「レッツ・オンド・アゲン」のB面は、本来ならばオシャマンベ・キャッツによる「河原の石川五右衛門」が収録される予定でした。ピンク・レディーの「渚のシンドバッド」の替え歌で他のヒット曲からも引用して、音頭にしてしまったコノ世紀の快作は、オリジナル発表当時はクレームがついて歌詞のみの収録となったのですが、2009年に本家である未唯mieさんと渡り廊下走り隊が逆カヴァーしています。正にナイアガラのノベルティ路線が炸裂している楽曲ですが、其れに続くB面が全て音頭で構成されております。2曲目「ハンド・クラッピング音頭」は、1975年の「NIAGARA MOON」に収録されている「ハンド・クラッピング・ルンバ」を音頭にしていて、星セント・ルイスがゲストで持ち前のフレーズを歌い、大瀧師匠が受けるバカバカしい楽曲です。3曲目「禁煙音頭」は、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」を音頭にした替え歌で、歌っているのは竜ヶ崎宇童(鈴木雅之さんの変名)で、低音部は同じシャネルズの佐藤善雄さんが担当して、コーラスはBUZZ、タツローこと山下達郎さん、宿霧十軒(大瀧師匠の変名)と豪華キャストで、間奏ではタツローが「煙が目にしみる」を歌ってせき込んでいます。

そして、トリを務めるのは布谷文夫さんが歌う2曲で、4曲目「呆阿津怒哀声音頭」は、レイ・チャールズの「What'd I Say」を音頭にしたモノで、蘭越ジミー(布谷さんの変名)が歌い、歌詞カードにはほとんど全て漢字で当て字して載っています。そして最後の5曲目「Let's Ondo Again」は、チャビー・チェッカーの「Let's Twist Again」を音頭にしたカヴァーに出鱈目に英訳した「ナイアガラ音頭」を挿入した怪作で、アミーゴ布谷さんが歌っています。コレは「ナイアガラ音頭」と同じで、ラジオ番組「ゴー!ゴー!ナイアガラ」へのリクエストに応えた楽曲です。リスナーの方もおそらく冗談で「ナイアガラ音頭を作れ」とか「続編を作れ」とか無責任にハガキを書いたであろうネタを、実際に楽曲にして発表してしまうのが、ナイアガラ流なのです。此のアルバムはピーター・バラカンさんが「日本で一番好きなアルバム」と絶賛しているのですが、バラカンさんは此の怪作が日本では大ヒットしたのだろうと誤解していたらしいです。大ヒットどころか数百枚しか売れず、万策尽きたナイアガラは契約を1枚残した侭で崩壊してしまいます。故に、1981年の「ロンバケ」こと「A LONG VACATION」は、ナイアガラ的には此の次の作品なのです。何と云う振り幅なのでしょうか。(つづく)

(小島イコ)

posted by 栗 at 21:00| ONDO | 更新情報をチェックする