1977年12月25日に発売された「NIAGARA CALENDAR’78」に先駆けて、1977年7月1日にはシングル「青空のように」が発売されていて、そっちはシングルヴァージョンですが、此の曲はコード進行が「夢で逢えたら」と同じです。バックはドラムが上原ユカリ裕さん、ベースが田中章弘さん、ギターが村松邦男さん、スティールギターが駒沢裕城さん、ホーンが稲垣セクション、ピアノが井上鑑さん、コーラスはOrange Blossoms(元・シンガーズ・スリー)、ストリングスアレンジがタツローで、他の楽曲も大部分が此のメンバーです。1980年代になるとナイアガラの作品では全面的にストリングスアレンジを担当する事になる井上さんは、スコアが書けるのに大瀧師匠には云っていなかったらしく、コロムビア時代のナイアガラではタツローが書いているのですが、何せ我流だったので、他のミュージシャンに「大瀧さんのストリングスはいいね」と褒められても「お願いだから、ウチも頼むよとか云わないでくれ」と思っていたそうです。1月「Rock'n'Roll お年玉」は冒頭に部屋に入って来てカレンダーの表紙を破るSE入りで「皆さん、明けまして、おめでとうございます!」と云う挨拶から始まります。ロックンロールの名曲を歌い込んだ上に、2番の歌詞は「お正月といえば炬燵を囲んでお雑煮を食べながら歌留多をしてた」と、はっぴいえんどの「春よ来い」まで歌い込んでいます。歌っているのは、多羅尾 “Rockn' Roller” 伴内(30才)です。
2月「Blue Valentine's Day」は、はっぴいえんどの前身であるバレンタイン・ブルーをもじっていて、ズバリ云って名曲で「ロンバケ」に入っていても不思議ではありません。歌っているのは、ちぇるしい(18才-精神年命)です。此の曲は翌1978年2月1日にシングルになりますが、別ヴァージョンです。3月「お花見メレンゲ」も「Blue Valentine's Day」のB面でシングルになりますが、別ヴァージョンで、歌っているのは、遠山 “桜吹雪” 金五郎です。4月「Baseball-Crazy」は野球好きの大瀧師匠らしい曲で、歌っているのは、ミズホの大滝(背番号16)です。3月と4月がノベルティ路線なので、此の辺から「何だこりゃ」となってゆきます。大瀧師匠のノベルティ路線は、一度ハマると抜け出せなくなるクセがある曲ばかりなのですが、まあ、普通に聴いていたら、くり返しますが「何じゃこりゃ」となるでしょう。5月「五月雨」は以前にシングルやファースト・ソロアルバム「大瀧詠一」に収録されていた曲をブルーアイドソウル調にアレンジした曲で、歌っているのはライチャス・ブラザーズのビル・メドレーにちなんで、Bill “The Rainmaker” メロメロです。6月は前述の「青空のように」のアルバムヴァージョンで、歌っているのは、大滝パパです。まあ、5月と6月で持ち直した感じで、ここまでがアナログ盤のA面です。此のA面だけならば、「ロンバケ」から入った方々も、そんなには違和感なく聴けるでしょうが、お楽しみはこれからなのです。(つづく)
(小島イコ)