1977年になって、ナイアガラには大瀧詠一師匠しか残っていない状況となりました。それでまずはCM集を出すわけですが、ソレが結果的にはコロムビア時代のナイアガラとしてはトップセールスとなって、其の後は売上が落ちてゆきます。そうした傾向は元ナイアガラであるタツローやター坊なども同じで、タツローは1978年の3枚目の「GO AHEAD!」はもう最後のアルバムだと思って作ったし、ター坊なんかは移籍した1978年の3枚目の「MIGNONNE」が全く売れなかったので2年間休業状態になったりもしています。それでもおそらく年に1枚の契約だったであろう他の人たちと決定的に違ったのは、ナイアガラはレーベルとして年間4枚3年で12枚などと云うとんでもない契約をしてしまった事によって、大瀧師匠はほとんどひとりぼっちで其の鬼の契約を消化せねばならなくなった事です。そんな時に大瀧師匠がプロデュースしたのが、1977年6月25日に発売されたシリア・ポールさんのアルバム「夢で逢えたら」です。此のアルバムは1984年4月1日発売の「NIAGARA BLACK VOX」にエコーがかかった違う印象のリイシュー盤が収められ、1987年6月21日にリミックス盤のCDが単品と「NIAGARA BLACK BOOK」に収められ、1997年6月21日にボーナストラック6曲入りのスリムケース廉価盤が発売されて、2000年代には何故か30周年記念盤は発売されませんでした。
2011年3月21日発売の2代目「NIAGARA CD BOOK T」にオリジナルと同じで収録されて、2018年3月21日に40周年記念盤として以前に紹介した「夢で逢えたらVOX」と「夢で逢えたら 40th Anniversary Edition」が発売されました。30周年記念盤が出なかったので1997年のスリムケース廉価盤以降には箱まで20年経っているので、箱と40周年記念盤は喜ばれたものの、前にも書きましたが、個人的にはスリムケース廉価盤で充分に満足しています。「ロンバケ」や「トライアングル2」や来年出るであろう「EACH TIME」の箱は、仕方なく買っている様な状態ですし、来週には出る「大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK / NIAGARA ONDO BOOK」なんか試聴したら明らかなデモ音源が多くて、もう盛大にズッコケる覚悟でいます。ナイアガラ作品のカヴァーや洋楽のカヴァーでまとめられた此のアルバムでは、大瀧師匠とのデュエットも聴けて、内容に関しては全く文句はありませんし、本編にシングルヴァージョンなど6曲をプラスしたスリムケース廉価盤は、もしもプレミアとかが付いていなければ40周年記念盤よりもオススメです。特に大瀧師匠とのデュエット2曲なんかは、もうサウンドも師匠の歌声も「ロンバケ」にかなり近いので、ソニー時代から入った新たなファンがコロムビア時代のナイアガラを聴くのならば、失望せずに済むと思います。
(小島イコ)