エレックが倒産したので、1976年1月にはナイアガラはコロムビアに移籍します。其れで、年間4枚を3年で12枚と云う契約を大瀧詠一師匠はしてしまうのです。ナイアガラは元々は大瀧師匠と伊藤銀次さんのココナツ・バンクにタツローとター坊がいるSUGAR BABEの3本柱で行く心算だったらしいのですが、ココナツ・バンクは1973年9月22日(はっぴえんど解散コンサートの翌日)に解散していて、SUGAR BABEもアルバム1枚の契約で1975年夏頃には切れていて、結局はバンドも1976年4月1日に解散してしまいます。故に、大瀧師匠の思惑はコロムビアに移籍する頃には崩壊していたので、何故、3年で12枚なんて無謀な契約に応じたのかは謎です。其れで、タツローも銀次もナイアガラから去るので、大瀧師匠は3人でのオムニバス盤を提案して、1976年3月25日に発売したのが「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」です。元ネタは「TEENAGE TRIANGLE」と「MORE TEENAGE TRIANGLE」と云うアルバムで、コルピックス・レコードのジェームス・ダーレン、シェリー・フェブレー、ポール・ピーターセンの3人でのオムニバス盤と其の続編で、全体の流れとしては「MORE TEENAGE TRIANGLE」の方に近いです。更にはキャロル・キング、クッキーズ、リトル・エヴァの3組による「THE DIMENSION DOLLS VOL.1」と云うオムニバス盤もあるので、そちらにも影響は当然受けています。
アナログ盤はソニーに移籍して1981年4月1日に再発され、VOXにも入って、1986年6月1日には初CD化され初代「NIAGARA CD BOOK T」にも収録されましたが、5曲(「ドリーミング・デイ」「パレード」「遅すぎた別れ」「新無頼横町」「フライング・キッド」)が吉田保さんによるリミックスになっていて、「ココナツ・ホリデイ'76」はエンディングがフェイドアウトします。そして、1995年3月24日にはオリジナルマスターでスリムケース廉価盤が「大瀧詠一」と「NIAGARA MOON」と「NIAGARA CM SPECIAL」と同時発売されて、2006年3月21日には30周年記念盤が発売され、2011年3月21日発売の2代目「NIAGARA CD BOOK T」にも収録されました。今回取り上げるのはスリムケース廉価盤と30周年記念盤ですが、一見同じような2枚は結構違っております。スリムケース廉価盤は「ココナツ・ホリデイ'76」がフェイドアウトするので5分強しかありませんが、30周年記念盤はオリジナル通りなので7分以上もあります。更にボーナストラックはスリムケース廉価盤は3曲ですが、30周年記念盤は5曲に増えています。何やらスリムケース廉価盤は廃盤の様でプレミアも付いたりもしている様子ですが、ここは30周年記念盤一択でよろしいかと存じます。(つづく)
(小島イコ)