かつて、あたくしは「片瀬那奈ちゃんは、俳優界の藤波だ!」と自論を述べました。「かたちん」こと片瀬那奈ちゃんと絡んだ俳優さんたちが、其れによって大きくステップアップして「大スター」へとなっていく姿を、幾たびとなく目撃したからです。片瀬那奈ちゃんは、相手役の好さを最大限に引き出す技を持っています。「かたちん」は納得がゆくならば、どんな舞台にでも如何なる役柄でも厭わずに挑んで来ました。例えば、あたくしが大いに推す「大久保千秋」は「元・AV女優で、闇金社員」と云うトンデモな設定で、共演した他のメイン女性キャラは「現役のAV女優」でした。既に女優としてのキャリアが10年以上もある中堅美人女優である「かたちん」が、オファーを受ける必要などなかった。当時の片瀬那奈ちゃんは「高瀬リコ」も同時進行で演じ乍ら、「藤田千秋」と「姫様」までやらかしていたのです。其れでも「かたちん」は「カタセ四天王」を見事に演じ分けて魅せた。そして、通常のドラマ出演は「ど素人同然」であった「現役のAV女優」たちを、時には優しく、時には厳しく、包み込むように指導したのです。其れは「モコ」を演じた希崎ジェシカちゃんの証言だけでも、充分にお分かりになられるでしょう。
「シャンソンズ」で同じパートを担当された「馬場みぞれ」役の大島蓉子さんも、片瀬那奈ちゃんが自宅でわざわざ「アルト・パート練習用CDR」を制作してフォローしてくれたと感謝していました。当時、大島蓉子さんは「カエルの王女さま」と「梅ちゃん先生」を掛け持ちしていらしたので、優しい「かたちん」は気遣っておられたのでしょう。でも、片瀬那奈ちゃんだって「シューイチ」と「どや顔」もあったし、舞台「サイケデリック・ペイン」を控えて、激烈に多忙だったはずです。其れでも「みんなで好いドラマを作るんだ!」とばかりに、人知れず「かたちん」は細やかなまわりへの気配りも行っています。こうした「好い噺」は山ほど在るのだけど、決して片瀬那奈ちゃん御本人は明かしません。そうしたエピソードは、まわりのみんなから伝えられるのです。片瀬那奈ちゃんの好評価は、彼女と関わった人々によって広められて来ました。一度でも那奈ちゃんに逢ったなら、誰もが好きになります。大昔に「お見送り」をした時に、那奈ちゃんの余りにもフランクでファンを大切にして下さる応対を目撃した「他のアイドルのファン」から、「片瀬さんって、素晴らしい人ですね。僕は色んなタレントさんを見てきたけど、あんなにもファンに対して誠実な人を初めて見ました!」と声を掛けられた事があります。アノ時は、本当に嬉しかったナァ。思わず「那奈ちゃんは、エライべ?えっへん!」とぶちかましたくなる程に、誇らしかったよ。那奈ちゃんファンではない方々に那奈ちゃんを褒められると、気分が最高になっちゃうのよさ。
おっと、「ドラちゃん」の記事を書く心算だったのに、思いっ切り「かたちんゾッコン☆LOVE」の展開になってしまって、どーも、すいません。「藤波辰巳(現・藤波辰爾)」は、かつて「対戦相手を光らせる天才」と賞賛されました。長州も健悟も前田も、藤波と闘う事で「スター」へとのし上がったのです。更に云ってしまえば「落日の闘魂」と呼ばれた晩年の猪木との「60分フルタイムの師弟対決での激闘」は、相手が藤波だったからこそ成立した名勝負です。長州は「俺はお前の噛ませ犬じゃない!」と名言を遺しましたが、本当に「噛ませ犬」だったのは藤波です。前田のキックを真っ向から受け捲くった藤波がいたからこそ、「前田のキックはおっかねえ!」と万人に伝わったのです。ピーター本ではケチョンケチョンに貶された藤波ですが、「名勝負製造機」であったのは事実です。でも、藤波って本当に何を云っているのか全く分かんないのよさ。「ワールドプロレスリング クラシックス」で、所謂ひとつの「1988年の飛龍革命」が流れて、猪木に自らの髪を切って直訴する名場面が試合からほぼ「ノー・カット」で観れました。どうも、猪木が試合後に藤波に何か耳打ちしているし、カメラや報道陣がワラワラと控え室まで追うから、決まっていたのでしょう。よーするに、「ベイダーには今の猪木さんじゃ勝てないから、ボクにやらせて下さい!」と訴えているのは分かります。でも、其れは猪木がハッキリと聞き取れるコトノハで返答しているからであって、藤波が何を主張しているのかは、マジで全く聞き取れないのだ。
確か、当時の「東スポ」でも「猪木は体調不良だから、ベイダーとシングル連戦は無謀!沖縄で何かが起きるのか?」とか煽っていたから、やらかすんだろうとは思っていたのよさ。ドラちゃんは其の後もずっと「何を云っているのか分からない」けど、其れは長州とか天龍とかもおんなじで「昭和のプロレスラーの美徳」なのかしらん。其れで、藤波が決意表明でどーして髪を切るのかも「意味不明」です。「やれんのか?」と威勢が好かった猪木も、余りにも突拍子もない藤波のアドリヴに「素」になってしまい、「まて!まて!」と戸惑って「もう、オレは何も云わんぞ!」と呆れております。藤波って、札幌での長州戦を「テロリスト・藤原」に潰された時も、裸で雪が降りしきる会場の外へ出て「こんな会社、辞めてやる!」と絶叫したり、マスクマンである「スーパー・ストロング・マシン」にテレビ生中継なのに「お前は、平田だろ!」とズバット!云ったりとか、もしかしたら「切れたら何をするか分からない人」なのかもしれません。そりゃ、まあ、日プロからずっと猪木について来たのだから、マトモなわけないのだけどね。ところで、ケンスキー&北斗は大丈夫なのかしらん。騒いでいるのは、地元だけなのかもしれないけどさ。「ケンスキーがヤバイ」なんて、プロレス者なら大昔からみんな知っているのだけど、苛められた当事者にとっては「笑い話」では済まないのでしょうね。あたくしは、現役時代の北斗にはサインしてもらって握手もしてもらったのだけど、もう「大昔の好い思い出」です。
(小島藺子/姫川未亜)