フジテレビTWO 12:30〜13:40
「幸せのオーロラ」(本放送:2004年12月20日)
片瀬那奈 as 藤澤律子さあ、いよいよ「ラストクリスマス」も最終回でございます。平均「21.6%」と「AKB48総選挙」もシャッポを脱ぐ数字を叩き出したドラマですので、最終回は、なな、なんと、強気の「30分拡大!」でありました。ゆえに、今回の再放送でもコレまでとは時間帯が違っておりますので、お気をつけ下さい。前回で横断歩道を境にした「切ない別れ」をやらかした片瀬那奈ちゃん演じる藤澤律子ですが、空港へ向う途中で寄り道し日垣と逢うのです。おいおい、アノ名場面は何だったのかしらん。ハートスポーツの受付で律子は日垣に
「今度は、あたしが片想いする。ニューヨークへ行っても貴方のことを忘れない。いつ戻って来れるか分からないけど、貴方のことを想って頑張るから、また振り向いてくれるまで想い続けるから」と一気に熱い想いを告白します。日垣が
「無理だよ」と云えば、律子は
「無理じゃない!片想いだって想い続ければいつか両想いになることもあるわ。だって、ココにソノ証人がいる。それだけ云いたかったの」と、甘い殺し文句をぶちかまします。
云いたい事だけ云って空港へ向おうとする律子に、日垣は
「律子!俺はお前みたいな女が嫌いなんだよ。迷惑なんだよ。女なんて、幾らでもいるんだよ。お前のことなんか」と云い、律子を抱きしめ
「片想いなんて無理だよ。俺はもう迷わないから」と、真っ昼間の会社の受付での大胆なラヴ・シーン!周りのおねえさん達は呆然としたり泣き崩れたり失神したりするのですけど、もしかして全員が日垣に「やられちゃった女の子」なのかしらん。「俺はもう迷わない」のひとことで捨てられた多くのおねえさん達には、同情するしかありません。此の場面での片瀬那奈ちゃん演じる藤澤律子は、悪戯っぽく微笑んで日垣の駄々っ子発言を「うん」「うん」「うん」と受け流す辺りは魅力的です。当時、撮影中に23歳になったばかりの片瀬那奈ちゃんにとって、26歳の藤澤律子を演じるのは大変だったでしょう。しかも、片瀬那奈ちゃんは二年半振りの本格的な女優復帰作だったわけで、プレッシャーも大きく体調不良もあり御苦労されたとは思います。其れでも、此のドラマも藤澤律子も「最低最悪」だと断言します。
先ず以って、シナリオが酷過ぎます。「律子と日垣」の物語だけを追っても、前回での「横断歩道での別れ」を根底から覆す最終回での「受付での抱擁」でお分かりの様に、毎回が「次回へ如何にドラマチックに引っ張るか」しか考えていないので、登場人物の思考や行動が支離滅裂です。例えば、日垣は青井から手付かずで戻された「120万円」を「律子をニューヨークまで追う為に使う」と云ったのに、「行くな!」と引き止めます。律子も元々「一年だけ行く」と云っていたはずなのに「いつ戻って来れるか分からない」なんぞと云います。全てが其の場限りのテキトーなセリフなのだよ。主役カップルに関しても、終盤になって「難病ネタ」へ持って行くのが姑息過ぎます。アノですね、そりゃ、ヒロインが余命幾許も無いと思えて主役が必死で支えたら、視聴者は可哀相で泣きますよ。でもさ、其れって感動の涙なのかしらん。片瀬那奈ちゃんも劇中で何度も死にました。ほとんどが殺される役で、ファンだから「那奈ちゃんが死んじゃうのは可哀相だナァ」とは思いますよ。でも、あたくしは「歌のおにいさん」でカラスのコスプレをした片瀬那奈ちゃん演じる美月うらら姫が子供たちに語りかけた場面で、物凄く感動したのです。助演女優賞を獲得されたのは、伊達や酔狂ではありません。アンナ間抜けな格好で、其れでも真摯に語り、観る者に深い感動を与えられるのが「怪優・片瀬那奈」の真骨頂なのです。
16歳で水着キャンペーン・ガールとしてデビューした時も、17歳で女優デビューしグラビアでも活躍していた「第一期女優時代」も、20歳で歌手転向を決意しファンの前に立ち続けた「歌手・片瀬那奈」も、目まぐるしい変化に戸惑ったものの、常に片瀬那奈ちゃんは輝いていました。然し、歌手を辞めて女優回帰へと向った2004年下半期に、あたくしは「片瀬那奈は終わった!」と思ったのです。其れで、輝いていた片瀬那奈ちゃんの記録を遺す為にココを立ち上げました。史上最悪なドラマ「ラストクリスマス」を、いや、藤澤律子を演じる「余りにも無様な片瀬那奈」を観て、心の底からやり場の無い憤りを感じました。「何故、片瀬那奈は僕たちをあんなにも夢中にさせた音楽活動を辞めてまで女優回帰したのに、こんな誰にでも出来そうな端役で、体調もボロボロで気合の入っていない演技をやらかしているのだ?」と、悔しくて悲しくて仕方なかったよ。以前も書きましたが、此の「the diary of nana katase 片瀬那奈全記録」を産んだのは、藤澤律子です。だからこそ、今回の再放送で徹底的に叩き潰そうと思いました。
青井はシアトルへ行って手術すべきと云われるのですが、病院から脱走してしまいます。心配した春木が帰宅すると青井がいて、病院へ連れ帰ろうとしますが、青井は「ココでケンジと一緒にいたい!」と駄々をこねます。然し、春木の深い愛情に勇気づけられた青井はシアトル行きを決意します。伍郎の粋な計らいで、春木も同行する事となります。見送る主治医の「アタック・チャンス」が「アタック・チャンス」ポーズを決めるのは、些かふざけ過ぎな演出です。伍郎は「達平と彩香」の仲も取り持ち、最終回で男気爆裂!達平は彩香がアルバイト中のお店に乱入しズッコケ・プロポーズでお客さんの前で熱烈なキス!そして、律子と日垣の受付での熱い抱擁!と、周辺のカップル(登場人物は全員が、他人の迷惑などお構いなしで痴話喧嘩をやり、人目も憚らず抱き合う「バカップル」ばかりです)が次々とハッピーエンドを迎え、主役カップルはシアトルへ。場面は、初回の冒頭で描かれた春木がイエローナイフを歩く場面になります。つまり、ココまでが長い回想だったのだ。青井の手術結果を待つ春木に連絡が入り、激しく取り乱して「シアトルへ戻る!」と云い出します。青井が託したプレゼント(青井の遺言ヴィデオ)を観て、春木はさめざめと泣きます。もう、視聴者は「青井が死んだ!」と思い号泣ですよ。
そして、一年後へいきなりだナァと話が飛び、ニューヨークから律子が帰って来ます。達平と彩香には子供が出来て、春木の隣室には別人が引っ越して来ます。嗚呼、やっぱり青井は死んでしまったのね。アタック・チャンスと春木の母も熟年再婚。みんなに花が届き、其れはシアトルの青井からでした。
ズガーン!散々勿体つけておいて、青井の手術は奇跡的に成功して生きていたのでした!ハラホレヒレハラでズッパパズパパズパパーン!です。退院した青井を、春木はサプライズでシアトルまで迎えに行き、雪だるまでおびき寄せサンタのコスプレでお出迎え!回想シーンが流れ、雪の中、教会の前で抱き合う二人!二人の結婚式が行われ、回想シーンが交錯し、もうお腹いっぱいです。神聖な式の途中でイエローナイフへ行くと云い出し、神父様も黙認!カップル達がダンスして、春木と青井は「幸せのオーロラ」を観て熱いキッスを交わしましたとさ。めでたし、めでたし。って、アノですね、何じゃこりゃ。こんなスットコドッコイな展開で、片瀬那奈ちゃんの演技もダメダメなのですから、リアルタイムであたくしが怒りを通り越して呆れ返りマトモに記録しなかった気持ちを察して頂きたい。
「ラストクリスマス」は「女優・片瀬那奈」にとって「最低最悪の駄作」です。「ラストクリスマス」INDEX(小島藺子/姫川未亜)