フジテレビTWO 13:00〜13:50
「奇跡の夜」(本放送:2004年10月18日)
片瀬那奈 as 藤澤律子
思いっ切りネタバレしますが、第二話での片瀬那奈ちゃん演じる藤澤律子の出番も第一話と同じく僅か一分弱しかありません。過剰な期待はなさらずに、2004年に女優回帰して懸命にもがき苦しむ片瀬那奈ちゃんの御姿を御覧下さい。余りにも出番が少ないので、うっかりしていると見逃してしまいますよっ。そんでもって、今回の再放送では本放送や映像ソフトよりも画質が向上しております。どうやら、映像ソフト版ではなく、本放送当時のオリジナルをブラッシュアップしたと思われます。いえ、地デジになったから綺麗になった様に観えているだけかもしれません。本放送はアナログ視聴したし、当時の映像ソフトはヴィデオもDVDも地デジ映像に劣りますからね。
前述の通り、第二話での片瀬那奈ちゃん演じる藤澤律子の出番は約一分です。第一話と第二話を合わせて二分程度で「日垣(主人公の春木と同じ会社)と律子(人気デザイナー)は元・美大の同級生で、現在は同じプロジェクトで共に仕事をしていて、プレイボーイの日垣は実は一途で律子に学生時代から四年越しで想いを寄せアプローチしているが、律子は死んだ婚約者である恩師を忘れられずにいて、つれない態度を取っている」事が説明されます。たったの二分で此れだけの情報が説明され、第三話の予告では「あらま、もうくっつくの?」と示唆されます。九年前のドラマで本放送時に既に観ているからではなく、物語の行方はバレバレです。
そもそも初回が最終回で描かれるであろう雪山の場面から始まり、云わば回顧録として描かれるドラマです。主人公である春木(婚約者に逃げられた)と偶然に隣人となったヒロインの青井は日垣を好き(肉体関係もあり)で、その会社の御曹司(春木の学生時代からの親友)は青井を見初め秘書にしてモーレツにアタックする、さらに春木の高校時代の後輩で人気DJとかも絡み、青井の元・ヤンキー仲間である派遣社員と春木の後輩社員(受付嬢に想いを寄せている)は初回でうっかり寝てしまい、春木の母が入院していて、実は難病を抱える青井のかつての主治医も偶然に会社の健康診断で再会する、等々、ぐちゃぐちゃな恋愛模様が何故か狭い世界で都合よく展開します。
春木と青井がカップルとなる事は最初からの「お約束」で、取り巻く人物たちは主役カップルを成立させる為のコマに過ぎません。「勝手にやってろ」としか云い様が無い「ご都合主義全開の下らないシナリオ」です。「ヒロインはヤンキーで男関係も派手だけど、難病を抱えている」とかで「さあ、泣いて頂きましょう!ゲヘヘヘヘ」って姑息な制作陣の顔が浮かんでしまいます。第二話までで、既にオチまですっかり予想が出来て、寸分の狂いもなく最終回まで完璧に進行し、感動を強要するのです。おいおい、プロレスじゃまいか。いえ、其れじゃプロレスに対して失礼ですね。改めて観ても、本当に「ラストクリスマス」は、最悪のドラマです。
ところで「ラストクリスマス」と云うタイトルは如何なものなのかしらん。御丁寧に主題歌はワム!の同名曲を主演の織田さんが華麗にカヴァーしているのだけど、えっと、思いっ切り「失恋ソング」なのよさ。「去年のクリスマスに君に愛を捧げたけど、翌日に振られたから、今年は別のカワイコちゃんをみつけよう」ってサビざんしょ。正に「悲しみにさよなら」な内容(ええ、他意はあり捲くりです)じゃん。てかさ、有名な洋楽のタイトルを曲の雰囲気だけで安易にパクっているって時点で、視聴者を舐め捲くっています。「織田ちゃん主演でクリスマス絡みで、かつての東京なんちゃらみたいなテキトーなラヴ・ストーリーをスタッフも同じにしてでっち上げちゃったら、バカな視聴者は大喜びでしょ?タイトルは、クリスマスだから、定番のラストクリスマスで行きましょ」ってなノリでやらかしたんでしょうね。
「ラストクリスマス」INDEX
(小島藺子/姫川未亜)