此の夏に片瀬那奈ちゃんが挑んだ舞台「サイケデリック・ペイン」は、「ロック・オペラ」と謳われた所謂ひとつのミュージカルでした。ゆえに、全篇に渡って歌が披露され、片瀬那奈ちゃんが演じた悪魔「レディー・パンドラ」も歌って踊りました。其の楽曲を解説いたします。
01:“悪”ってなあに?
(作詞:森雪之丞、作曲:布袋寅泰)
片瀬那奈ちゃん演じる「レディー・パンドラ」が第一幕で初登場し歌われる楽曲です。ロック・オペラなのに、ボードヴィル風の曲調で、とてもコミカルでありしかもセクシーな演技も求められる見せ場でした。「レディー・パンドラ」が初めて現れる時に、彼女は椅子に座って観客に背を向けています。振り向くと美脚を組み替えるムーヴをやらかすのですが、其れは「西豪寺エレナ様」の初登場シーンを鮮明に思い起こさせるものでした。悪魔メイクでセクシーな衣装よりも、その登場シーンの動きが感動的でした。悪魔三人組は明らかに「タイムボカン」シリーズを意識したもので、片瀬那奈ちゃんはドロンジョ様の役どころです。
02:ザ・ミュージカル〜天使と悪魔は双子の兄弟〜
(作詞:森雪之丞、作曲:布袋寅泰)
結論から申しますと、「サイケデリック・ペイン」の本編で片瀬那奈ちゃんが歌ったのは二曲のみです。こちらは第二幕で披露された楽曲で、正にタイトル通りの内容。非常に表現力を要求された楽曲で、曲調もコロコロコロリンと変化します。歌手時代を彷彿とさせる見事なダンス、そして観客の爆笑を誘った演歌歌手パフォーマンスなど、片瀬那奈ちゃんの引き出しの多さを魅せつける凄技が連発されました。然し!最も素晴らしかったのは、片瀬那奈ちゃんの生歌です。本当に、歌が上手い!片瀬那奈ちゃんの生歌を聴けただけでも、「サイケデリック・ペイン」を観劇する価値は充分にありました。
以上、舞台本編では「たったの二曲」しか片瀬那奈ちゃんは歌っておりません。ゆえに劇場限定で発売されたCDでも此の二曲でしか那奈ちゃんの歌声は聴けません。いや、二曲も新たなる曲が聴けるだけでも「大事件」なのですけどね。其れでも宝の持ち腐れとも思えますが、実は劇場へ足を運ぶと他にも那奈ちゃんが歌って踊る姿が観れました。全公演でのカーテンコールで「Paychedelic Boogie Man」が披露されたのですが、「レディー・パンドラ」も乱入し、歌ったり踊ったり楽器を演奏したりと、やりたい放題でした。さらに、大阪千秋楽では「神様!アンタに喧嘩を売ってやる!」もオーラスで披露され、片瀬那奈ちゃんも参加しました。其の模様は、DVDの特典映像で観れます。那奈ちゃんはマイクを奪い、バッチリと歌っちゃっているではありませんかっ。此のカーテンコールでの大騒ぎを観る為だけでも「サイケデリック・ペイン」を観劇する意義は在ったと思います。
2012年は、片瀬那奈ちゃんが再び歌って踊る姿を魅せて下さった年でした。ドラマ「カエルの王女さま」で「シャンソンズ」の一員としてショークワイアを披露し、エキストラ参加して其の姿を目撃した時には感動しズバリ云って泣きました。つづく舞台「サイケデリック・ペイン」でも、歌って踊った!古くからの片瀬那奈ちゃんファンにとって、「歌って踊って演じる」と云うのは「夢」でした。何故なら、那奈ちゃんはかつて音楽活動をする為に女優をやめたからです。其のストイックな姿勢に、あたくしは惹かれた。でも、片瀬那奈ちゃんはデカくなりました。たったの二曲ですけど、其処に込められた魂が素晴らしい。歌手をやったから舞台に誘われ、其の奇跡の初舞台が初主演舞台へ繋がって踊った。そして、遂にミュージカルへと向った。片瀬那奈ちゃんは、才能溢れる素晴らしい女優です。那奈ちゃんは、何だって出来るんだよ。ガンガンとオファーして下さい。
「サイケデリック・ペイン」INDEX(完全版)
「片瀬那奈がきこえる INDEX」
(小島藺子/姫川未亜)