w & m:LENNON / McCARTNEY
(ピーターとゴードン盤:1964年2月28日発売 Columbia DB7225)
「愛なき世界」の邦題でも御馴染みの「A WORLD WITHOUT LOVE」は、「ピーターとゴードン」のデビュー曲で全英10位・全米首位を獲得した名曲です。クレジットは「レノン・マッカートニー」ですが、書いたのはポール・マッカートニーであります。手抜きのクズ曲を平気で後輩に提供するポールが、何ゆえこんな素晴らしい曲を譲ったのかと云いますとですね、「ピーターとゴードン」のピーターとは、当時ポールの恋人で婚約者となります「ジェーン・アッシャー」の実の兄「ピーター・アッシャー」なのだ。よーするに、身内でございます。何せ、ポールはアッシャー家に「マスオさん」として同居していたのですよ。お兄さんの為に、渾身の傑作を提供し、見事に大ヒットさせたわけでして、コレだけ聞くと「ええ話やのぉ」となります。ポールは義理のお兄さんに次々と好い曲を書いて、全部ヒットします。ま、其の後の展開はもう何度も言及いたしました。でも、何度でも繰り返してポールを糾弾しましょう。在る日、美人女優のジェーンが自宅へ戻ったら、自分の寝室のベッドで、ポールが他のおねえちゃんを連れ込んで「フン、フン、フン」とやらかしていたのです!何じゃ、そりゃ?当然、婚約破棄で、ポールはアッシャー家から追い出されます。
ところが、正に「可愛さ余って憎さ百倍」との、しかも完全に下半身がだらしないポールが悪いのに、ジェーンにふられた事への逆恨みとしか思えない「鬼畜の如き所業」を、ポール・マッカートニーはピーター・アッシャーに行うのでした。「お兄さん、ボクたちの会社に重役として入ってよ」と入れておいて、ジェーンと分かれた途端に「おまえなんか、赤の他人さ」とばかりに窓際へ追いやります。哀れピーターは同じくクビになったジェームス・テーラーと共にアメリカへ逃亡!嗚呼、これぞ正しく本当の「愛なき世界」じゃまいか。然し、ピーターは「ポールに受けた理不尽な暴挙」をバネにして、プロデューサーとして大成功するのです。エライぞ、ピーター・アッシャー!でも、ポールのことですから「ピーター・アッシャーは、ボクが育てた」とか云いそうだぞ。そんな人の道に外れた様な事を平気でやり捲くるポール・マッカートニーですが、書いた楽曲は素晴らしいのだから困ってしまいますね。此の「A WORLD WITHOUT LOVE」は、ポールが1958年に書いた曲と云われており、まだ若干16歳の頃にこんな名曲を書いていたポールの才能はスゴイです。ポールは「ビートルズで演奏するにはイマイチだな、と思ってピーターへあげたら売れちゃった!てへぺろ」とかぬかしております。えっと、ポールは天然バカボンなので、発言を真に受けない方が宜しいと思います。
(小島藺子)