プロデューサー:ジョージ・マーティン、フィル・スペクター、ジョン・レノン、ジャック・ダグラス、他
エンジニア:ノーマン・スミス、ジェフ・エマリック、ケン・スコット、他
歌と演奏:ザ・ビートルズ、ジョン・レノン
(録音:1963年2月11日〜1980年10月)
1988年10月10日 アルバム発売
01. REAL LOVE (1979年)
02. TWIST AND SHOUT (1963年)
03. HELP ! (1965年)
04. IN MY LIFE (1965年)
05. STRAWBERRY FIELDS FOREVER (1967年)
06. A DAY IN THE LIFE (1967年)
07. REVOLUTION (1968年)
08. THE BALLAD OF JOHN AND YOKO (1969年)
09. JULIA (1968年)
10. DON'T LET ME DOWN (1969年)
11. GIVE PEACE A CHANCE (1969年)
12. HOW ? (1971年)
13. IMAGINE(Rehearsal) (1971年)
14. GOD (1970年)
15. MOTHER(LIVE) (1972年)
16. STAND BY ME (1975年)
17. JEALOUS GUY (1971年)
18. WOMAN (1980年)
19. BEAUTIFUL BOY (1980年)
20. (JUST LIKE)STARTING OVER (1980年)
21. IMAGINE (1971年)
1987年から1988年にかけて、遂にビートルズがCD化されました。ところが英国オリジナル・アルバムを「全世界統一規格」とし、初期四作はモノラル、「HELP !」と「RUBBER SOUL」はジョージ・マーティンがリミックスしたステレオ、其の後はステレオのみで、米国編集盤「MAGICAL MYSTERY TOUR」のステレオを入れた「13作14枚」に、そこから漏れたシングルやEPのみの曲を集めた「PAST MASTERS」二枚を加えた「16枚」で「公式213曲」を全て網羅したとしてしまったのです。「全曲CD化されたのだから、それでええじゃん!」とはならないのがビートルズです。
1968年の「ホワイト・アルバム」まではモノラルとステレオで発売されており、どちらかに統一されてしまうとミックス違いが聴けません。補完版の「PAST MASTERS」も、オリジナルはモノラル音源が多いのにステレオ中心になっていました。御蔭で「THIS BOY」と「YES IT IS」のリアル・ステレオ・ヴァージョンが初めて聴けたりもしたのですけど、明らかに別ミックスをしていたのに片方に統一されたのでは納得がゆきません。2009年にはステレオもモノラルも全てリマスターされるわけですけど、22年間も待たされたのですよ。当然、編集盤やライヴ盤や各国盤なんかは、全部なかった事にされたのです。
そんな時に前述の「THE BEST OF GEORGE HARRISON」がCD化されているのですけど、当時はあんまりミックス違いは話題にならなかったと記憶しております。それで、此のジョン・レノンのサントラ盤が1988年10月に登場するのです。此れはジョンの生涯を追ったドキュメンタリー映画のサントラ盤ですので、約半数の9曲がビートルズ時代の音源です。後にビートルズ楽曲となる「REAL LOVE」とは全く違うデモや、「IMAGINE」のリハーサル・テイクも話題になりましたが、CD化が完結したばかりだったビートルズ音源の「A DAY IN THE LIFE」がメドレーではなくイントロから聴ける別ミックスになっていたのが衝撃的でした。後に1993年に「青盤」がCD化された時にも収録されましたが、此の時が初出です。
つまり、CD化の際に謳われた「ビートルズ音源の全世界統一化計画」は、「あっ。」と云う間にジョン・レノンのサントラ盤で覆されてしまったのだ。繰り返しますけど、ジョージのベスト盤でも違っていたわけです。「全世界統一規格」なんぞと云ったので、海賊盤業者は喜んで「公式盤のアナログ落とし」で儲けてしまいます。それじゃ困るので、シングル盤やEP盤の箱(基本的にモノラル・ミックス)を公式発売しちゃいます。そして、1993年には「コレは公式ベスト盤でしょ?」とばかりに「赤盤」と「青盤」をCD化します。それがまた、「赤盤」収録の初期音源をステレオにしてしまったのですよ。兎に角、ビートルズは出せば売れるのだから、レコード会社はおいしくてやめられません。「こうなったら、未発表音源を出そうじゃまいか!絶対に売れるのだっ」となってしまうのです。おいおい、「全世界統一規格」って何だったのよさ。
(小島藺子)