w & m:
LENNON / McCARTNEY / HARRISON / STARKEY P:ジョージ・マーティン('69-1/24、3/13)、フィル・スペクター('70-3/27)
E:グリン・ジョンズ('69-1/24、3/13)、フィル・マクドナルド('69-8/11)、マイク・シーディ('70-3/27)
2E:ニール・リッチモンド('69-1/24)、フィル・マクドナルド('69-8/11)、ロジャー・フェリス('70-3/27)
録音:1969年1月24日(version 1-2)(アルバム「GET BACK」、「LET IT BE」に収録)
MONO MIX:1969年8月11日(1969年3月13日のステレオ・ミックスをコピー)
STEREO MIX:1969年3月13日、1970年3月27日
1970年5月8日 アルバム発売 (
「LET IT BE」 A-5)
アップル(パーロフォン) PCS 7066(ステレオ)
ビートルズの四人が作者としてクレジットされていますが、ビリー・プレストンも加えた五人によるジャム・セッションが元になっています。録音は1969年1月24日に行われ、ジョン・レノン(歌、六弦ベース)、ポール・マッカートニー(ピアノ、コーラス)、ジョージ・ハリスン(ギター)、リンゴ・スター(ドラムス)、ビリー・プレストン(ハモンド・オルガン)で、2ヴァージョンが演奏されました。最初の演奏からは最後のジョンの裏声によるセリフ「That was ''Can You Dig It ?'' by Georgie Wood, and now we'd like to do ''Hark, The Angels Come''.」だけが次の
「LET IT BE」への繋ぎとして使われ(別に意識して云ったわけではないのですが、実に洒落た紹介となっています)、二度目の演奏の一部が幻のアルバム「GET BACK」や映画「LET IT BE」、そしてアルバム「LET IT BE」に収録されています。
中心となったのはジョンで、ポールとジョージとビリーもノリノリですが、リンゴは「やってらんねーナァ」とイヤイヤ付き合っている感じが映画を観ると伝わってきます。リンダの娘ヘザーがスタジオに居て、ちょこまか動き回っているのが可愛いですね。ポールとリンダは未だ結婚前ですが、ヘザーはすっかりポールに懐いております。まさか、遠い将来に娘とおんなじ名前で歳も下の後妻を娶って酷い目に遭うなんて思ってもいなかったでしょう。ジョンとポールは此の時期に「DIG IT」と云うフレーズが気に入っていた様で、「THE GET BACK SESSIONS」ではやたらと二人が「DIG IT」と云ったり曲に歌い込んだりしています。映画では、ジョージ・マーティンがシェイカーを振って参加している様子も観れます。実際には、二つのヴァージョンを合わせて20分近くも延々と出鱈目な即興演奏が続けられました。そりゃ、太鼓を叩くリンゴもイヤになりますね。アルバム「GET BACK」には後半の「4分26秒」が収録予定で、映画「LET IT BE」でも後半の四分近くが観れます。然し、フィル・スペクターは、たったの「50秒」に編集してしまいました。ま、スペクターの判断は正解でしょう。
確かに、元の長尺ヴァージョンを聴いたり観たりするのは楽しいのですけど、こんな即興演奏のお遊びを正式音源として遺す必要などないのです。そーゆーのは、イカレたビートルズ狂の輩たちが聴けばええだけなのだ。そんでもって「うわっ、ジョンがベースをストローク奏法で弾いてやがるぞ。すげぇー!」なんぞと盛り上がればええのよさ。あたくしは喜んで聴いたり観たりしますけど、オススメはいたしません。ところで、正式音源になった部分でジョンは「LIKE A ROLLING STONE」とボブ・ディランの曲を引用した後で「FBI、CIA、BBC、B.B.キング、ドリス・デイ」ときて「マット・バスビー」で「DIG IT」と歌っています。最後の「マット・バスビー」は当時の「マンチェスター・ユナイテッドFC監督」なんですよ。ジョンは、サッカーが大好きだったのですね。やっぱり、片瀬那奈ちゃんとどことなく似てらっしゃる。
(小島藺子/姫川未亜)