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2012年09月11日

「サイケデリック・ペイン」東京公演、最終日(23/23)

sp-b.jpg ベガーズ・バンケット


13:30開場、 14:00開演 サンシャイン劇場

片瀬那奈 as レディー・パンドラ

SYMPATHY FOR THE DEVIL


「サイケデリック・ペイン」公式サイト


いよいよ、片瀬那奈ちゃんがレディー・パンドラを演じるロック・オペラ「サイケデリック・ペイン」の東京最終日を迎えます。サンシャイン劇場の入り口では、森雪之丞さんといのうえひでのりさんがお出迎えしておりました。初日にはパンフレットしか購入しなかったので、サントラCDを買いました。劇中で歌われる楽曲が全曲収録された劇場販売のみの商品で、スタジオ録音ですからライヴとは印象が異なりますけど、片瀬那奈ちゃん演じるレディー・パンドラの歌声もバッチリと聴けます。片瀬那奈ちゃんのCDは、2008年の「bash」(「THE SBK RETURNS」収録)以来ではありませんかっ。「歌のおにいさん」(2009年)での童謡はDVDのみだし、「カエルの王女さま」(2012年)で歌われたシャンソンズの楽曲は、Blu-ray & DVD とネット配信のみでCD化されていませんからね。コレは、貴重です。

さて、平日の昼公演と云う事もありまして、東京千秋楽の客席は九割は女性でした。そして、おそらく半数以上はリピーターとも思われました。チケットは完売だったようで、当日券は販売されていなかったようです。マジで超満員で、二階席の奥までギッシリ!そして、多くの観客がペンライトやメムバーの役名が書いてあるお手製の団扇などを持参し、演者が煽るまでもなくノリがいい曲になると一斉に総立ちになって盛り上がっておりました。あたくしは、初日は一階席で其の総立ちの中に居たのですけど、本日は二階席二列目中央でした。サンシャイン劇場は二階席はスタンディング禁止ですので、ずっと座って観ていられました。一階席で立ってノリノリになるのも好いのですけど、只突っ立って居るわけにもいかないわけで、手拍子とかしているとじっくりと観れないのよさ。でも、欲を云えば「初日が二階席で、最終日が一階席の方が好かったナァ」とは思いました。

一階席前方から観る世界と、二階席から見下ろす世界は、かなり印象が違っていました。一階だと平面的だし、片瀬那奈ちゃんを追っているとほとんどまわりで何をやっているのか分かりませんでした。でも、二階からだと舞台の奥行きまで丸見えなのです。舞台全体もしっかりと観れましたし、セット・チェンジのカラクリまで見えてしまったじゃまいか。麗次が弾くキーボードの指の動きまでバッチリ見えて、本当に弾いているとハッキリ分かりましたよ。只、二階からだと演出上で死角になってしまう場面があるのが難点ではあります。二階からでも片瀬那奈ちゃん演じるレディー・パンドラの表情は肉眼でハッキリと観れました。本当に、舞台栄えするし、向いていると思います。お客さんは前述の通り女性ばっかでしたけど、レディー・パンドラは大受けしておりました。歌を歌って拍手が起こるだけではなく、セリフにまで何度も拍手喝采が起きていました。其処まで一般の女性客からの評価も高くて驚いたけど、凄く嬉しかったナァ。

基本的には初日と同じ演出でしたが、やはり20公演以上も連日連夜務められただけあり、しかも東京千秋楽でもありますから、演者全員が気合充分の痛快な舞台でした。会場の熱気も凄くって、お客さんがみんな本当に楽しそうで、幸せな空間でした。片瀬那奈ちゃんに関しては、もう既に初日で完璧に仕上がっていました。然し、流石に毎日の公演で上積みを重ねてこられた事がハッキリと分かる素晴らしい演技でした。歌もダンスも殺陣もギャグも初日よりも、更に良くなっていました。其れは、他の出演者全員にも云えることです。だからと云って、初日が悪かったわけではありません。観客全員が何が起こるのか分かっていない緊張感は、其れは其れでとても面白いのです。東京千秋楽は、もう観客もリピーターが明らかに多く、始まる前から温まっているんです。「ノッテノッテ、ノリ捲くるのだ!」と待ち構えているんですから、そりゃ盛り上がりますよ。アレだけ盛り上がっちゃうと、初めて観た方々もつられてしまうでしょう。其れ程に、千秋楽での観客のノリは尋常ではありませんでした。

東京千秋楽なので、カーテンコールではリピーターにとってもサプライズな演出がありました。具体的には未だ明かしませんけど、やっぱり千秋楽に行くと「少しお得」です。ファンには堪らなかったでしょうし、実際に黄色い声援が飛んでおりました。そして全員での最後の手繋ぎ御挨拶があり、キング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」をバックに終演アナウンスが流れましたが、拍手が鳴り止まず再度登場!再び終演アナウンスが流れるも拍手が続きまたしても全キャスト登場!後方の段にいたキャストも全員降りて来て、舞台狭しと一列になって御挨拶。三度、終演アナウンスが流れてもまだ鳴り止まぬ拍手に、とうとうサイケデリック・ペインのメムバー五人だけで登場し、詩音が「大阪も応援して下さい!」と挨拶し、魁人が「皆さん、気をつけてお帰り下さい」と云って、ようやく観客が納得し帰りました。カーテンコール後に、トリプル・アンコールかよっ。

ロック・オペラ「サイケデリック・ペイン」は、興行的には連日満員の大盛況で成功だったようです。内容に関しては賛否両論ありますが、少なくとも片瀬那奈ちゃんのファンは絶対に観劇すべきだと思います。レディー・パンドラ様は、絶対に期待を裏切りません。大阪公演のチケットも売れ行き上々で完売に近いとも聞きますが、入手可能なのであれば是非とも劇場に足を運んで頂きたい。歌って踊って刀を振り回しつつ、観客を爆笑の渦に陥れる悪魔「レディー・パンドラ」を見逃したら、確実に後悔します。DVDを観て「嗚呼、生で観ておくんだった!」と思っても遅いのです。東京公演は終わりましたが、大阪五公演が残っているのだ。とりあえず、片瀬那奈ちゃん、東京公演お疲れさまでした。やっぱり、片瀬那奈ちゃんは素晴らしいです。レディー・パンドラに関しては、全く何の文句もありません。ただただ、大絶賛するしかない、期待を上回る名演でした。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 19:49| ACTRESS | 更新情報をチェックする

FAB4-199:CARRY THAT WEIGHT

Come & Get It: Best of Apple Yesterday 3 Abbey Road


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:フィル・マクドナルド、ジェフ・エマリック(7/30-8/19)
 2E:クリス・ブレア(7/2-4)、ジョン・カーランダー(7/30-31)、アラン・パーソンズ(8/15-19)
 録音:1969年7月2日(take 1-15)、
    7月3日(take 13&15 を編集した take 13 に SI 「歌、ギター」、編集し take 16-17)、
    7月4日(take 17 に SI)、
    7月30日(take 17 に SI 「歌」)、
    7月31日(take 17 に SI 「歌、ドラムス、ティンパニー」)、
    8月15日(take 17 に SI 「オーケストラ」)
 STEREO MIX:1969年7月30日(take 17 より 1)、8月18日(take 17 より 1-2)、8月19日(メドレー編集)

 1969年9月26日 アルバム発売 (「ABBEY ROAD」 B-9)
 アップル(パーロフォン) PCS 7088(ステレオ)


ポール・マッカートニーが書いた楽曲で、前曲「GOLDEN SLUMBERS」とは最初からメドレーとして録音されました。ゆえに、ジョン・レノンは参加していないと思われます。コーラスにジョンが参加したとの説もありますが、リンゴの声がやけに目立っていて聴き取れません。たぶん、ジョンは全く関わっていないのでしょう。「お前は、重荷を背負い続けるのだ!」と歌われる内容は、「ポールがジョンに向けて歌った(ヨーコに現をぬかして、ビートルズを蔑ろにしている事への恨み節)」とも、「ポールがエプスタインの死後にリーダーシップを取って、慣れないマネジメントなども背負い込み疲れ果てた事を歌った」とも云われています。どちらにせよ、余りハッピーな歌とは云えませんね。

中間部で「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」のメロディーがふたたび登場するので、どちらかと云えば、やはり「アップルの経営困難に直面したポールの辛い気持ち」を歌ったとも思われます。でも、ジョンは「アレは俺に向けて皮肉を云っているんだろ」と発言しています。映画「イマジン」でラリったヒッピーの青年がジョンの家にやって来て、あろうことか、ジョン本人が対応し説得する「トンデモ場面」があります。其の時に青年が「あなたは、Boy, you're gonna carry that weight と書いたよね?オレはアレを聴いて、、、」と云うと、ジョンはアッサリと「ん?アレはポールが書いたんだ。俺は書いてないぞ」と返し、青年が「ええっ。ポールが書いた?」と呆然となると、畳み掛ける様に「あんなのは、只の歌詞だ。俺が書いたのもポールが書いたのも、ビートルズの曲には深い意味なんてないんだ。只の歌だよ」と優しく諭すのです。挙句の果てに「腹へってないか?」と自宅へ招きいれて、一緒に食事して満足させて帰すのでした。

其の場面を初めて観た時に猛烈に感動しましたが、「ああ、ジョンはこんなにも無垢で無防備な人だから、イカレた野郎に撃ち殺されてしまったんだナァ」と、やりきれない気持ちになりました。天下無敵のビートルズのリーダーともあろう御方が、わざわざ一寸いっちゃったファンと向き合って真摯に話す必要などないのです。ガードマンに追っ払ってもらえば済む事なのです。でも、ジョン・レノンは自分で対応しちゃうのだ。彼は、自分の曲を聴いて影響を受けたと云うファンに対して責任を持っていました。それこそ「重荷を背負って」生きていたのでしょう。「CARRY THAT WEIGHT」は、ジョージ・マーティンが指揮するオーケストラも加わって盛り上がり、いよいよ最後の「THE END」へと繋がります。ビートルズの終焉が近づいてまいりました。

ところで、アルバム「ABBEY ROAD」が発売されて、所謂ひとつの「ポール死亡説」が語られるようになります。ジャケットで、ポールが裸足で、左利きなのに右手で煙草を持っているとか、停車しているワーゲンのナムバーが「28 IF」(実際には「281F」だし、ポールは「28歳」ではなく「27歳」ですけど)とか、「COME TOGETHER」で「One and one and one is three」と歌っているからとか、色々と云われ、過去の曲やジャケットなどにも多くのヒントがあったとされました。それで、「ポール・マッカートニーは、1966年に交通事故で死んでおり、ビートルズは替え玉を用意してポールを演じさせて来た」なんぞと云われたのです。えっと、だったら、アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」以後は替え玉だったわけでしょ?おいおい、いよいよポールの脂が乗って来た時期からじゃん。此のアルバム「ABBEY ROAD」B面メドレーを仕切った輩も、ポールのニセモノなのですか?そんなスゴイ奴だったら、もうニセモノじゃないじゃん。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする