
w & m:
LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ケン・スコット
2E:リチャード・ラッシュ(7/19、24)、ジョン・スミス(8/13、21、10/14)
録音:1968年7月19日(take 1-21)、
7月24日(リメイク take 25-47)、
8月13日(再リメイク take 100-107、take 107 を編集し take 108-111)、
8月21日(take 107 を編集した take 112 に SI し編集して take 113-115、
take 115 に SI し編集して take 116-117、
take 117 に SI 「歌、オルガン、ベース、コーラス、タンバリン」)
MONO MIX:1968年8月21日(take 117 より 1-5)
STEREO MIX:1968年10月14日(take 117 より 1-3)
1968年11月22日 アルバム発売 (
「THE BEATLES」 C-5)
アップル(パーロフォン) PMC 7067-7068(モノ)、PCS 7067-7068(ステレオ)
ジョン・レノンがインドで書いた曲のひとつで、当初のタイトルはズバリ「マハリシ」だったと云われています。マハリシの講義を受けていたジョンが「マハリシが参加していた女性に手を出した」との噂を聞き「おいおい、聖人だと思っていたのに、単なる俗物じゃん!」と大いに失望した事を歌にしました。始めはあからさまにマハリシを貶し捲くった内容でしたが、ジョージ・ハリスンが説得し、過激な歌詞(「Maharishi, you little twat / Who the fuck do you think you are? / Who the fuck do you think you are? / Oh, you cunt.」など)は削除されタイトルも「SEXY SADIE」となりました。但し、ビートルズがインドでの修行を去った原因は「マハリシが、ビートルズや取り巻き連中がインドでもドラッグを服用していた事に怒って追い出した」との証言もあります。
レコーディングは、再リメイクまでした上でオーヴァーダビングして完成しています。完成版は「take 117」となっておりますが、再リメイクの最初を「take 100」から始めたからで、実際に「117」もやったわけではありません。其れでも、50テイク以上はやらかしています。演奏は、ジョン・レノン(リード&ハーモニー・ヴォーカル、リズム・ギター、ハモンド・オルガン)、ポール・マッカートニー(ピアノ、ベース、バック・ヴォーカル)、ジョージ・ハリスン(リード・ギター、バック・ヴォーカル)、リンゴ・スター(ドラムス、タンバリン)と云う「これぞ、ビートルズ!」の布陣であります。
個人的には、「SEXY SADIE」が「ホワイト・アルバム」でのベスト・トラックだと思います。先ず以って、ジョンが書いた楽曲が、どんなに動機がマハリシへの失望感からだったとは云え、途轍もなく美しいのです。中間部でテンション・コードを使ったトコなんか、もう失神モンです。毎度の事ですが、ジョンの歌が上手過ぎる。余りにも美しい絶唱だ。そして、ビートルズの四人による演奏も完璧です。ジョンのヴォーカルに、ポールとジョージの♪ワワワワ♪とか♪セークシーセディー♪とコーラスが絡む辺りは、涙モンでございます。其の名も「Sexy Sadie」と云うバンドや、ポールの曲からバンド名を頂いた「Jet」、そして「Radiohead」などに影響を与えた名曲です。然し、此の楽曲を四人で完成した翌日(1968年8月22日)に、リンゴはポールにダメ出しされ脱退するのでした。
(小島藺子)