w & m:LENNON /
McCARTNEY P:ジョージ・マーティン
E:ジョン・ティンバリー(8/22、23)、ケン・スコット(9/16、29、10/2)、ジェフ・エマリック(11/6)
2E:ジョン・アイルズ(8/22、23)、ジェフ・ジャラット(9/16)、
グレアム・カークビー(9/29、10/2)、ケン・スコット(11/6)
録音:1967年8月22日(take 1-8)、
8月23日(take 8 を編集し take 9、take 9 に SI)、
9月16日(リメイク take 20-30)、
9月29日(take 9 を編集し take 50-52、take 52 に SI 「オルガン、ベース」)
MONO MIX:1967年9月29日(take 52 より 20)、10月2日(take 52 より 21-25)
STEREO MIX:1967年11月6日(take 52 より 1-2)
初出:1967年11月27日発売 (
「MAGICAL MYSTERY TOUR」 A-5)
キャピトル MAL 2835(モノ)、SMAL 2835(ステレオ)
1967年12月8日 英国EP発売 (「MAGICAL MYSTERY TOUR」 A-2)
パーロフォン MMT-1(モノ)、SMMT-1(ステレオ)
ポール・マッカートニーの作品で、所謂ひとつの「ポール節」と呼ばれる同じ旋律を繰り返して展開され、とても印象に残る楽曲です。TV映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」の最後に「ビートルズが白いタキシードを着て階段を下りて来る場面」で使われています。其の場面でポールだけが黒い薔薇を胸につけているのが、後の「ポール死亡説」の根拠のひとつとされました。然し、其の場面が凄いのはですね「物語のエンディングなのにビートルズは唐突に白いタキシード姿になって、四人でステップ踏んで口パクで此の曲を口ずさみつつ、単に階段を下りて来るだけ」と云う事なのだ。其れまでも訳が分からない映画ですが、オチが「ビートルズが階段を下りて来るだけ」と云う「投げっ放し」ぶりには、目が点になります。
録音は難航し、当初は「チャペル・レコーディング・スタジオ」で録音されますが(8/22-23、アビイ・ロード・スタジオが予定で埋まっていた為)、ビートルズは出来に納得せず、9/16 にアビイ・ロードで11テイクもリメイクします。ところが、9/29 には其のリメイクをボツにして、チャペルでの録音を引っ張り出して、ジョンのオルガンとポールのベースを加えて完成しています。ボツになったリメイクは「アンソロジー2」で聴けますが、ポールの悪い癖が出て、かつての
「HOLD ME TIGHT」、
「WHAT YOU ARE DOING」、「THAT MEANS A LOT」でやらかしたリメイクを思い起こさせる様な改悪版へと進んでいた様子が伺えます。然し乍ら、1967年のポールはソングライターとして絶頂期を迎えておりましたので、楽曲の良さで聴かせてしまいます。但し、リメイクをボツにして最初のヴァージョンに立ち返ったのは、大いに協力しているジョンの助言もあったのでしょうけど正解ですね。ちなみに「take 10-19」と「take 31-49」は存在しません。たぶん、間にリメイクを入れたので気分転換に飛ばしてしまったのでしょう。モノ・ミックスがいきなりだナァと「20」なのも、番号がそうなっているだけで「20 から始まった」のです。
此の楽曲も「ビートルズ風な音楽」を作る時によく参考にされております。例えば、大瀧詠一師匠が1972年に発表したシングル「空飛ぶくじら」は、明らかに「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」をお手本としています。大瀧師匠の楽曲は基本的に多くの過去の音楽作品に対するオマージュとなっているのですが、ビートルズを分かりやすくネタにしたのは珍しいですね。なんて事を大瀧師匠に云ったなら「君はまだ、其れしか元ネタが分からないの?」とおっしゃるでしょう。確かに「空飛ぶくじら」は「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」だけでなく、タートルズの「HAPPY TOGETHER」の影響も感じられます。となるとですね、そもそも「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」と「HAPPY TOGETHER」が似てるんじゃまいか?と思えます。共に1967年の作品ですけど、「HAPPY TOGETHER」の方が先なんですよね。ポール、お前って奴は、、、。
(小島藺子)