毎週木曜日のお楽しみであった片瀬那奈ちゃんが桜井玲奈さんを演じられたドラマ「カエルの王女さま」は、先週で感動の最終回となりました。其の直後から新たな作品である舞台「サイケデリック・ペイン」や映画「闇金ウシジマくん」の情報がドドンガドンガラガッタ!と出て、たった一週間しか経っていないのに「カエルの王女さま」は忘却の彼方へとなってしまいそうです。然し乍ら、ドラマが完結した時から真の評価は始まるのです。片瀬那奈ちゃんが演じた桜井玲奈さんは、約半年ぶりに「女優回帰」された役柄でしたが、気合充分で「待った甲斐がありました」と心から絶賛すべき名演でした。此のドラマは、片瀬那奈ちゃんが三十路になって初めて挑まれた「女優作品」でありますので、髪を切った那奈ちゃんの演技も初となりました。渾名をつけるのがお好きな澪コーチに「キラキラ女」と命名されただけあって、美脚全開!のミニスカやショーパンにキラキラのジャケットと云うスタイリングは全話を通して貫かれております。主役だった第5話では、ラーメンを食べずに頑張って「ヘソ出しルック」まで披露されました。
でもですね、其のキャラクター設定は、ダンダンダン!と変化してゆくのです。当初、玲奈さんは確かに歌もダンスも好きだからシャンソンズのオーディションを受け合格するわけですが、不倫関係にあると思われる係長の妻である忠子さんに接近する邪悪な目的もあったわけですよ。更に、ぼんくら亭主は玲奈さんに対して「如何にも男女関係がある素振り」も見せています。練習中にも玲奈さんはケータイでツイッターをやっていて、あんまり合唱には興味が無い御様子でした。いえ、其の辺は「シャンソンズで活動してゆく内に本気になった」とか、「ぼんくら亭主との関係もキッチリと清算した過程が、なな、なんと那奈話も引っ張って解決した」とかで説明できるのでしょう。
でもでもですね、シャンソンズは第1話で「風になりたい」の譜面を渡されて、初見でハモってしまうのです。知っている歌だから歌えるってわけじゃなく、しっかりとパート分けして歌えてしまうって変でしょ。第2話での「桜まつり」での初ライヴでは、もう結構お上手なショークワイアを披露できているのですよ。幾らなんでも、半分以上がど素人だった寄せ集めのシャンソンズが、しかも新たな挑戦となったショークワイアを「あっ。」と云う間にそれなりに出来ちゃうって、無理があり捲くりじゃん。御蔭で、其の後に最終回までにシャンソンズは目覚しい成長はしないのです。テレビ出演とか県大会とかコンサートとか舞台はステップアップしますが、シャンソンズのショークワイアは第2話の「桜まつり」で「ほぼ完成」しちゃってるのよさ。練習風景になると途端にヘナチョコになるのですが、決める時にはガッツリと決めちゃうわけで、何が何だか分かりません。
ぼんくら亭主との三角関係も、引っ張り過ぎた挙句にスットコドッコイな解決に持って行った為に、整合性が無さ過ぎです。玲奈さんが「あたしが一方的に好きになって、、、二年前もあたしが誘って、呑んで、、、でも、係長は酔っ払っていて何も覚えていなかった」と衝撃の告白を第那奈話でぶちかますまで、もっと深いしがらみを感じさせる描写が多かったと思います。ぼんくらは、うっかり「玲奈」とか呼び捨てにするし、玲奈さんは「前みたいに二人っきりで話せるトコで」とラブホへ誘うわけです。其れで、「係長は酔っ払っていて何も覚えていなかった」わけないでしょう。何だか玲奈さん主導の「一夜の過ち」みたいに誤魔化されてしまいましたけど、ぼんくらの玲奈さんをスパイにさせる顛末とかが「係長は酔っ払っていて何も覚えていなかった」で済まされる事とは到底思えません。だったら「ふたたび酔っ払って玲奈さんの同情を買い澪コーチの私信文書を得た(第6話)」のも芝居ですか?其れも「係長は酔っ払っていて何も覚えていなかった」なのですかっ。到底、許されることではありませんよっ!
散々引っ張った不倫ネタを強引に終わらせた後の第8話からは、何事もなかったかの様にシャンソンズにぼんくら亭主も協力し、何だか「おいしい役」に変貌してしまいます。全11話で第7話まで引っ張り捲くった三角関係が「ウエディング・ベル」の合唱で綺麗さっぱり流れてしまうって、どー考えても無茶苦茶です。第9話まで引っ張ったサリーとの確執も「たしかなこと」の合唱で解決なんですから、もう其れまでの展開は何だったのか?となりますよ。挙句に「最終話だけで、あっさりとラスボスを在ろう事かぼんくら亭主如きが倒してしまう」のですから、もう此のドラマのストーリーに関しては「ふざくんな!」と怒る気力すら失せます。ショークワイアを中心に観ていると楽しいのですけど、脚本の出鱈目さは観れば観るほど露呈されてゆきます。
最終回に関しては結構ツッコミを入れましたが、まだまだ足りません。第10話のラストでシャンソンズは「ハピネス」を歌うわけですが、歌い終わった途端に音楽堂解体の事実を知って澪コーチたちは現場へ駆けつけるのです。其の場で、澪コーチは玲奈さんにケータイで連絡を取りますが、玲奈さんは市役所で制服を着て受けていますね。えっと、玲奈さんはまひるちゃんと「まひるちゃんの通う大学」で「ハピネス」を歌っていたはずではなかったのでしょうかしらん。玲奈さんは、グレーのショーパンに白いシャツに県大会で着たシャンソンズのユニフォームである紺のベストを着て歌い踊っています。それで、様々な場所での歌が終わり、桜ママが工事の車を見て澪コーチの元へ走り、現場へ向うわけですよ。てか、何故か現場へは「澪コーチ、忠子さん、南さん、一希くん、忍ちゃん」しか走りません。桜ママは、伝達して燃え尽きたの?
其れで、電話を受けた玲奈さんは「上から下まで着替えて制服ジャンバーを着ている」のでした。えっと、どー考えてもおかしいでしょ。「ハピネス」をまひるちゃんと歌い踊ってニコニコだった玲奈さんが、もう直後に市役所で対応しているのです。誰が玲奈さんに「さっさと市役所へ戻れ!」と命じたのでありましょうかしらん。サリーもぼんくらも、それどころじゃない危機的状況でした。そもそも、市役所職員である玲奈さんは、何ゆえ職務を放棄してまでシャンソンズの為に「サリーをおびき出そうと罠を張ったり(第9話)」、「公開練習で歌い踊ったり(第10話)」できたのでしょう?そして、コンサートが一週間も早まりセット作りもギリギリとの描写があったのに、一体「Hello, my friend」は何時なんどき、澪コーチに内緒でガッツリと練習していたのでありましょうかしらん。「カエルの王女さま」は、観れば観るほど、謎は深まるばかりです。
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「カエルの王女さま」INDEX
(小島藺子/姫川未亜)
「カエルの王女さま」フジテレビ公式サイト