何となく短期集中連載となった片瀬那奈ちゃんの「第二期女優時代」回顧録の最終回です。2004年10月期の「月9」ドラマ「ラストクリスマス」で女優復帰した片瀬那奈ちゃんは、大手CMにも起用され順風満帆とも思えましたが、矢張り二年半のブランク(歌手時代)が在った為に「女優としては苦難の道を歩んでいた」と思います。簡単に云ってしまえば、片瀬クンは「もう一度、やり直した」のです。前述したように「第二期女優時代」の作品の多くは映像作品としても遺されず「幻の作品」とされておりますが、穿った見方をするなら「黒歴史」です。映画「デスノート the Last name(2006年)」への出演が発覚した時に起こったバッシングは、世間が「片瀬那奈如きが」と感じていたからでもあったのでしょう。
然し、片瀬クンは女優としてのカムバックに賭けておりました。2006年には「小早川妙子」や「山田バーバラ」などでの怪演で、一部の好事家には「片瀬那奈って何だ?」と注目される様にもなっており、バッシングにもめげずに「高田清美」も演じきりました。そうした流れで、正に「運命的な適役」である「西豪寺エレナ様」が登場します。そもそも「鉄板少女アカネ!!」と云うドラマは「存在しなかったかもしれない」急場しのぎだったと思われます。ゆえに、片瀬那奈ちゃんはうっかり「西豪寺エレナ様 VS 楓」と云う「大バッティング事件」までやらかしてしまったのです。
原作マンガでは端役にすぎなかった「西豪寺エレナ様」は、片瀬那奈ちゃんによって全く違ったキャラクターとして躍動し、完全無欠にドラマを支配してしまいました。当時の片瀬クンは、未だ自分がやらかした偉業に気付かず「エレナ様が思いのほかに受けてます」とか「飽きられる前に封印します」なんぞと語っておりましたが、其の後の「怪優・片瀬那奈」は「西豪寺エレナ様」で覚醒したのです。確かに「小早川妙子」も体当たりの熱演でした。「山田バーバラ」の弾けっぷりも好かった。でも、「西豪寺エレナ様」は、遂に世間に「片瀬那奈って、何だ?」を知らしめたのです。
此処の女優考察カテゴリ名は「ERENA」であり「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」の優勝者も「西豪寺エレナ様」であった様に、ハッキリ云って「エレナ様贔屓だっ」なのです。勿論、片瀬那奈ちゃんは其の後に更にデカクなりました。もう五年半前に演じた「西豪寺エレナ様」は、現在の視点では「美月うらら」や「高瀬リコ」や「大久保千秋」や「姫様」や「マリア」などには及ばないと云えるかもしれません。でもですね、間違いなく「西豪寺エレナ様」が存在しなければ、其の後の展開はなかったのだ。回を重ねるごとに「西豪寺エレナ様」はドドンガドン!とぶっ壊れてゆきます。正しく「怪優」が目覚めてゆく瞬間を、僕たちは目撃したのです。次に「らんぼう2」で真逆のシリアス演技を魅せ、2007年2月28日に片瀬那奈と名乗る彼女は初舞台「僕たちの好きだった革命」の初日を迎えました。其れは「奇跡の初舞台」と賞賛され、あたくしも感動しました。
其の理由は、当時も書いた通り「片瀬那奈の歴史が全て込められていた」と感じたからです。「第一期女優時代」も「第一期歌手時代」も、そして最も苦しかったであろう「第二期女優時代」をも、片瀬那奈は無駄にはしていませんでした。ズバリ云って、舞台初日を目撃した時点で、僕の想いは完結しました。「嗚呼、那奈ちゃんを追っかけて来て、本当に好かった!」と心底思えたのですから、もう其れ以上を望む事は無かった。でも、其れは新たなるスタートだったのです。
「鉄板少女アカネ!!」INDEX(改訂版)
「潜入刑事 らんぼう2」INDEX【第二期女優時代の苦闘シリーズ INDEX】 1.やはり「ラストクリスマス」はワーストだ。
2.「第二期女優時代の苦闘」
3.「続・第二期女優時代の苦闘」
4.「続々・第二期女優時代の苦闘」
5.「続々続・第二期女優時代の苦闘」
6.「続々続々・第二期女優時代の苦闘」
7.「西豪寺エレナ様、最強伝説」 (全那奈回で完結です。)
(小島藺子/姫川未亜)