未亜:銀河系那奈億人の萌える片瀬那奈ちゃんファンの皆さん、こんばんは!「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」一回戦も遂に最後の試合となりましたが、実況は姫川、解説は「歯に衣着せぬガチンコ・コメント」で御馴染みの小島藺子さんでお届けいたしますっ。さあ、小島さん!いよいよ優勝候補ナンバーワンと云われる「美月うらら姫」が登場しますねっ!
イコ:うらら選手はチャンピオンですから、一回戦なんかでつまずくわけにはゆきません。大会を主催したあたくしとしましても、うらら選手には「準々決勝で妙子選手を破り、準決勝で大久保選手も撃破し、決勝戦でエレナ選手か高瀬選手と闘う」と云うブックを書いています。
未亜:小島さんっ、だから、そーゆー「身も蓋もないネタバレ」はやめてけろっ。
イコ:然しですね、対戦相手の小野未来選手はバーリトゥードの実戦を数多くこなした強敵です。リアル・ファイトの戦歴では、平山まどか選手をも凌ぐと云われています。未来選手の場合は大会場だけでなく地方の小さな会場などにも出場し、所謂ひとつの「野試合」も経験している様ですから、手ごわい相手と云えますね。但し、うらら選手も多くの場数を踏んでおりますし、かつては高松塚にある「キトラの穴」で修行しておりますので、華麗なファイトだけでなくセメントでも強いですよ。
未亜:そうそう、そーゆー解説でお願いしますよっ。さて、小野未来の入場です!おっと、会場に「Fight for YA right」が鳴り響いたっ。拓明高校の制服姿で白いヘルメットを被った小野未来が、クラスメイトを引き連れてやって来たっ。おや?革命同志は観客席で応援しておりますっ。では、アノ集団は何だぁ!
イコ:森福みちる選手と夏目理恵子選手、そして小野あやか選手がいますね。三選手は、未来選手と道場で共に修業していました。他の集団は「書き割り」でしょう。未来選手、一寸、盛りましたね。
未亜:なかなかの曲者を三人も味方に付けているとは、小野未来もやりますねっ。さあ、曲が「パピプペポン体操」に変わったっ。美月うらら姫です!ピンクのセーターにサロペット、赤いベレー帽の「歌のおねえさん」ファッションで、踊りながら笑顔で入場ですっ。健太&守、そしてマカロン・キッズ、さらに多くのチビッ子が一緒に踊っておりますっ。おっと、其の後方には巨大な「片瀬那奈キューピー」が続いております!小島さんっ、うらら姫らしい派手な演出ですね!
イコ:うらら選手には王者としてのプライドがありますから、書き割りで誤魔化した未来選手とは違って大勢動員しましたね。チビッ子たちも、多くの人気子役を起用しています。でもですね、未来選手のセコンドは三人とも「試合に介入可能」ですが、うらら選手には居ません。まあ、其れだけ自信を持っているのかもしれません。
未亜:確かに、小野未来のセコンドには「森福みちる、夏目理恵子、小野あやか」が付きましたがぁ、対する美月うらら姫には誰も付いておりませんっ。「みなうた」の仲間やチビッ子たちは、入場が終わったら帰ってしまった!
イコ:皆さん人気者ですからね。でもホラ、大輝くんだけ帰らずに残っていますよ。
未亜:おおっと、第二試合で激闘の末に敗れた倫子ママと一緒に花輪大輝くんがリングサイドで観戦しておりますっ。おや?其の隣には先ほど狂乱ファイトを演じた小早川妙子とみーちゃんもいますねっ。三浦純や森瑠衣も子供を連れて応援していますっ。そして、鳴海京子が教え子と、三浦真由が遊園地に集まったチビッ子たちと共に駆けつけております!小島さんっ、チビッ子大集合ですね!
イコ:うらら選手は、チビッ子に人気がありますからね。但し、妙子選手は準々決勝で此の試合の勝者と対戦しますから、子供をダシにして次の相手となる選手を研究しようと云う「したたかな作戦」なのかもしれません。そして、多くの「片瀬那奈ちゃんが演じたキャラクター」が「うらら選手の応援」に集ったものの、あくまでも観客にすぎません。まぁ、うらら選手は端から援軍は当てにしていないでしょうけどね。
未亜:では、此の試合も「1対4」の様相になってしまうのかっ。おおっ、革命同志が集った応援席で山崎くんが立ち上がって、小野未来に何か叫んでいますねっ。其れを聞いた小野未来がセコンドの三人を観客席へ行くように指示したぞ!小島さんっ、コレはどうした事でしょうっ。
イコ:山崎くんの魂のアジテーションに、未来選手が応えましたね。「未来ちゃん!堂々とタイマンで闘え!セコンドなんか使っちゃダメなんだっ」と、涙ながらに訴えたのでしょう。いざとなったらハリケン・レッドに変身して加勢しようとしていた日比野くんも、山崎くんの熱いコトノハに思い留まった様子ですね。此の試合は、正々堂々とした一騎打ちとなりそうです。
未亜:さあ、ゴングが鳴ったっ。うらら姫が両手を高く上げて、余裕のポーズでリング中央に歩を進めたっ。小野未来はコーナーから出ないっ。うらら姫はぁ、じりじりっとコーナーの未来へ近づいていくぞっ。おっと、再び中央へ戻ったっ。うらら姫の顔が、いつもの顔ぢゃない!鬼の形相でコーナーの小野未来を睨みつけていますっ。小島さん!緊迫した立ち上がりですねっ。
イコ:うらら選手は、物凄い気迫でオーラが出捲くっていますね。未来選手は、怖くて入っていけないのかもしれません。
未亜:リング中央で待ち構える「女王・うらら姫」が、コーナーから出てこれない小野未来に対して檄を飛ばしておりますっ。小島さんっ、うらら姫は何と云っているんですかっ。
イコ:「来い!真ん中に来い!」と云ってますね。いつもの興行では「楽しく愉快で華麗なプロレス」でチビッ子にも大人気の美月うらら選手ですが、王者として君臨しているのは「真の実力者」だからなのです。セメントでも無敵と云われていますから、未来選手もビビッてしまいましたね。
未亜:おっと、遂にしびれを切らしたのかぁっ、うらら姫が猛然とコーナーの小野未来にスピアーだっ!串刺しにし、フロントスープレックスで投げたっ!其の侭、上からマウント状態になって、パンチを打ち捲くるっ。小野未来、何も出来ずに撃沈かぁ!凄いっ、凄すぎる猛攻に、うらら姫を応援していたチビッ子たちも「ドン引き」ですっ。内山レフェリーは、呆然としております!小島さん!もうコレは勝負ありましたねっ。止めないとアブナイんじゃないですかっ!!
イコ:いや、未来選手は、まだ「参った」はしていません。
未亜:もう完全に顔面が血だるまとなった小野未来に対してぇ、うらら姫の非情な攻撃が続いておりますっ。ああ〜っ、うらら姫が未来の両腕を決めたっ。コレはっ、小島さん!何と云う技ですかっ。
イコ:「WARスペシャル」ですね。天龍選手が開発した技ですが、あたくしも久しぶりに見ました。姫川さん、一見してマッサージしている様にも見えますけど、此れは危険ですよ。
未亜:「ゴキッ!」と鈍い音がしたっ。うわぁ!折れた、折れたぁーっ。小野未来の両腕が完全に粉砕されました!顔面は流血で真っ赤だっ。もうコレで決まったでしょうっ。余りにも凄惨です!チビッ子のアイドルである「うらら姫」が、鬼になったっ!!おっと、内山レフェリーは壮絶な展開を間近で観て失神してしまった!おおっと、西豪寺エレナ様、柏木礼奈、高瀬リコちゃん、大久保千秋と、準々決勝に歩を進めた選手たちがリングサイドへ集まって来たっ。不穏なムードを察知して、矢も楯もたまらず駆けつけたのでありましょうかっ。コレはセメントかぁ!女王・うらら姫が小野未来を潰しに掛かったのかぁっ!そして、大久保千秋に敗れた平山まどか先生がレフェリーとしてリングに入ったぁ!まどか先生、試合を止めてくれっ!!おや?どうしたことでしょうっ。まどかレフェリーは試合続行と指示しておりますっ。リング中央で仁王立ちの「王者・美月うらら姫」の足元で、ボロ雑巾の様になった小野未来がダウンしておりますっ。まどかレフェリーがダウン・カウントを取っているっ。もう、コレはカウントするまでもないでしょう!
イコ:姫川さん、一寸待って下さい。未来選手は、まだやる気ですよ。
未亜:おおっと、信じられません!小野未来が立ち上がったっ。うらら姫も唖然としておりますっ。しかし、もう両腕を破壊された小野未来の勝ち目はないでしょう!しかし、うらら姫はトドメとばかりに小野未来のドテッパラにミドルキックを炸裂させたっ。もんどり打って小野未来がダウン!ピクピクと痙攣しておりますっ。まどかレフェリーもゴングを要請しようとしておりますっ。田中美紀が曾根崎理恵医師と清川吾郎医師を伴ってリングサイドへ来ておりますっ。小島さん!もう、コレはドクター・ストップでしょうねっ。うらら姫も勝ちを確信したか、背を向けてコーナーへ、、、おおっ!!フラリと立ち上がった小野未来が背後からぁ、うらら姫の延髄にハイキック一閃!不意を突かれたうらら姫は失神だっ!!大逆転で小野未来が王者・うらら姫を倒したぁっ!!
イコ:うらら選手、一瞬の油断でした。試合が決まるまでは、相手に背を向けてはなりません。しかし、勝った未来選手もアノ状態では準々決勝で闘えるとは思えませんね。美月うらら選手との試合に、選手生命を賭けて挑んだのでしょう。素晴らしい激闘でした。
未亜:優勝候補大本命の王者である美月うらら姫が、圧倒的な強さで一方的に攻め込んだものの、ゾンビの如く立ち上がる小野未来が放った執念の一撃に不覚を取って敗れてしまいましたっ。コレは大番狂わせだっ。リング上にはお客さんから投げ込まれた座布団が舞っております!そして、勝った小野未来も全治三ヶ月の重傷と診断され、準々決勝進出は不可能となってしまったっ。果たして、小早川妙子の相手は誰になるのでありましょうかっ。
イコ:リザーバーの四人では、既に藤田千秋選手は大久保千秋選手との対戦が決まっています。残る三人から選ばれるのでしょうけど、佐々木藍子選手は高瀬リコ選手によって再起不能となりましたし、清水茜選手は西豪寺エレナ選手の秘書として雇われてしまいましたので、もう手塚モモコ選手しかいませんね。
未亜:それにしましても、小島さん!アレだけ自信マンマンに「美月うらら姫を大本命」と推したのに、こうした番狂わせが起こってしまいましたねっ。
イコ:あたくしも吃驚しました。なかなかブック通りには行かないのが「片瀬那奈ちゃんらしい」んじゃないんですかね。とは云え、うらら選手が「一回戦で寝る」って筋書きは書いたんですけどね。でもですね、展開はアドリブに任せていますから、驚きましたよ。うらら選手があんまりシビアな攻撃をしてガチで未来選手を壊しちゃったから、ブック破りして勝つ気なのかと思ってハラハラしました。ホントは未来選手が準々決勝に進出する予定だったんですけど、まぁ、うらら選手にもプライドがありますから「簡単には寝ない」ってトコなんでしょ。ま、此れはもう、致し方ないですね。
未亜:えっと、小島さんが何を云っているのか、サッパリ分かりませんがぁ、白熱した「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」一回戦の全試合が終了いたしましたっ。小島さん、ありがとうございましたっ。では、熱狂冷めやらぬ東京ドーム地下競技場からお別れいたします!準々決勝で、またお目にかかりましょう!皆さん、ごきげんよう!
(小島藺子/姫川未亜)