未亜:銀河系那奈億人の熱狂的な片瀬那奈ちゃんファンの皆さん、こんばんは!熱戦が続く「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」一回戦の模様を、実況は姫川、解説は小島藺子さんでお届けしておりますっ。小島さんっ、先ほどの大久保千秋は強かったですねぇ!
イコ:後半はスパーリングでまどか選手を指導するかの様な展開で、大久保選手には余裕がありました。やはり、寝技に関しては大久保選手が抜きん出ています。
未亜:グラウンド中心の玄人好みな試合でしたが、まどか先生も大久保千秋も魅せましたねっ。さて、次は迫田七海ちゃんと高田清美の一戦ですが、小島さんっ、どーなりますか!
イコ:高田選手にはデスノートと云う飛び道具がありますし、既に柏木選手、山口選手、マリア選手などと結託しておりますから、圧倒的に有利に見えます。此処は、七海選手の無鉄砲な若さと行動力に期待したいですね。そして、おそらく此の大会では「デスノートは役に立たない」と思いますよ。
未亜:さあ、両選手の入場です!まずは、迫田七海ちゃんがデニムに白いセーター、白いブルゾン姿で現れましたっ。
イコ:此れは、七海選手が惨殺された場面で着ていた衣装です。七海選手の覚悟が感じられますね。セコンドはアニキですか。彼は総合格闘技の大会に出場経験がありますから、コーチとして妹の七海選手を鍛えたと思われます。其れから、姫川さん何度も云いますけど「七海ちゃん」とお気に入りの選手を贔屓する実況は直りませんね。
未亜:そして、高田だ、高田だ、高田清美が天狗のお面を付けて真っ黒なミニスカート・スーツ姿で登場です!予想通り、柏木礼奈、山口梨香、マリアがセコンドですっ。おっと、もう一人いるぞっ。レムだ、レムだ!高田清美は死神も引き連れての入場だっ。小島さん!コレは反則なんじゃないんですかっ。
イコ:あたくしは、何故に姫川さんが死神を見えるのかが気になります。まあ、見えないと実況も解説も困難ですから、あたくしにも見えているんですけどね。それから、死神を帯同するのは高田選手の個性ですから、問題ないでしょ。そんな事より、天狗のお面の方が気になりますし、うっかり「スタント・ウーマンが高田選手と同じ格好で待機している」のも見逃せません。
未亜:完全に高田が有利な状況だっ。今、無情にもゴングが打ち鳴らされました!おや?レムが七海ちゃんに自分のデスノートを渡したぞっ。コレは、一体どーゆー事でしょうっ。
イコ:フェアにやれと云う事なんじゃないですか。レムは女の子に甘いですからね。
未亜:コレで、もうデスノートを使っても相打ちになってしまいますっ。さあ、どうする両者!おおっと、セコンドの柏木、山口、マリアが乱入して七海ちゃんに襲い掛かったっ。ああっ、七海ちゃんのデスノートを奪って燃やしてしまったぞ!高田が勝ち誇ってデスノートに「迫田七海」と書いたっ。勝負あったかぁ!おや?七海ちゃんがピンピンしておりますっ。
イコ:そりゃ、姫川さん、「迫田七海」は役名ですから、書いたって無駄です。
未亜:おおっと、高田も気が付いた様子で、今度は「片瀬那奈」と書いてから「しまった!」と頭を抱えていますっ。そうです!其の名前を書いたら自分も死んでしまいますっ。
イコ:いえ、大丈夫ですよ。「片瀬那奈」は芸名です。
未亜:しかし!本人ですので、当然乍ら高田清美は「片瀬那奈ちゃんの本名」を知っていますよっ。
イコ:其れを書いたら自分も死んじゃうし、出場選手も全員死んじゃうでしょ。だから、あたくしは「デスノートは役に立たない」と申し上げたのです。
未亜:なるほど!確かに小島さんのおっしゃる通りですねっ。おやおや、デスノートが役に立たないと分かったレムは、ばつが悪くなったのか逃亡してしまったっ。こうなりますと、此の勝負はガチンコのタイマンですね!
イコ:いやいや、高田選手には三人もセコンドが付いています。
未亜:七海ちゃんにもアニキが付いてるじゃん!
イコ:此の大会では「片瀬那奈ちゃんが演じたキャラクター以外が試合に介入する事は出来ない」と云うルールがありますから、アニキは只リングサイドで見守るしかないのです。
未亜:そ、そんにゃ酷いよっ。では、七海ちゃんは「1対4」で負けてしまうではありませんかっ。ま〜た悪役の高田が勝つなんて、ボキは納得がいかない!
イコ:姫川さん、一寸待って下さい。七海選手が「アニキ、遅いよ、遅すぎるよ!」と決め科白を絶叫しました。あらまあ、リング中央で胸を刺されて死んでいます。
未亜:うわっ、ホントだ!誰だっ。誰が七海ちゃんを殺したのでありましょうかっ。セコンドのアニキが「ななみ〜!」と絶叫し号泣しておりますっ。おおっと、其の光景を見ていた高田がセコンド陣に指示して目隠しさせ腕を後ろに回し縛らせておりますっ。何だ、何をしてる!小島さん!どーなっているんですかっ。
イコ:七海選手の見事な死体パフォーマンスに対抗して、高田選手もやらかそうとしていますね。
未亜:あーっ、高田が悶絶しておりますっ。死んだ、死んだ!高田清美も死んでしまったぁ!ココで内山レフェリーがゴングを要請しましたっ。両者死亡KOによる引き分けです!小島さんっ、コレは予想外の結末でしたねっ。しかし、なぜ高田清美だけがデスノートで死んだのでしょう?
イコ:相打ち覚悟で七海選手が放った罠に、まんまと高田選手が嵌ってしまいました。確かに理論上では、高田清美がデスノートで死んだら他の出場選手も全員死ななければいけません。其の為に、スタント・ウーマンを用意していたんでしょ。死んだのはスタントって事で、説明がつきます。もしもスタントを使ったとなると高田選手の反則負けになりますが、七海選手は死んでしまいましたから、もう此れは両者失格ですね。準々決勝の大久保選手の相手は、リザーバーから選ばれる事になるでしょう。
未亜:アニキが七海ちゃんの亡骸を抱きかかえて退場し、高田清美の遺体もマリアが牛に乗せて柏木と山口と共に退場したっ。無人となったリングに、今、ゆっくりと大久保千秋が近づいて来たっ。そして、リングインだ!おっと「マイクをよこせ」と云っていますねっ。
イコ:準々決勝の相手を、大久保選手が自ら指名する心算なんじゃないですかね。此処にある台本には、そう書いてあるから間違いないでしょう。
未亜:ひゃっほーっ!小島さん、、、夢を壊さないって云ったじゃん!
イコ:こんなアングルは、もう誰だって知ってますよ。
未亜:さあ、マイクを持った大久保千秋がアピールだっ。「千秋!上がって来いっ!そして、あたしと闘え!」おおっと、大久保千秋は混乱しているのでありましょうかっ。自分に酔っているのかっ。
イコ:違います。大久保選手は、藤田選手を指名したんですよ。
未亜:おっと、そうでしたっ。「もうひとりの千秋」こと「藤田千秋」がいましたねっ。さあ、大久保千秋の指名に、藤田千秋がやって参りましたっ。かなり怒っています!
イコ:藤田選手も、実は「大久保選手、高瀬選手、姫様選手」と同期生です。他の三人が「カタセ三銃士」として売り出された時に、一人だけ出世街道から外されてしまいました。当初は「カタセ四天王」として四人でユニットを組む計画だったとも云われますから、心中穏やかではないでしょう。
未亜:リングに入った藤田千秋が、いきなりだナァと大久保千秋にビンタだ!倒れた大久保千秋を見下ろして、マイクを持った!「リザーバーのあたしが、こんなカタチで大会に出れるのはチャンスだよっ。それでも、出ない理由を考えたら、いくらでもあるっ。でも、あたしはやるよ!」小島さんっ、コレは、準々決勝で「大久保千秋 VS 藤田千秋」が決定したと見ていいんでしょうかっ。
イコ:ま、台本通りなんでしょ。こんな事が都合よく決まってゆくわけないんです。藤田選手は「都合のいい台本」を得意としています。でもですね、此の対戦は「千秋」の名を賭けた勝負とも云えますので、期待しましょう。
未亜:両者失格から、思わぬ展開となった「KNKGP」ですがぁ、次回は「小早川妙子 VS 山田バーバラ」戦をお伝えいたしますっ。小島さん、ありがとうございました。それでは皆さん、ごきげんよう!
(小島藺子/姫川未亜)