出演作:『荒川アンダー ザ ブリッジ』(MBS)
放映日:2011年7月27日〜9月28日(水曜日 0:55〜1:25、TBSでの放送時間)
全10話 平均視聴率 2.0%
撮影日:2011年3月6日〜5月18日
映像作品:Blu-ray「荒川アンダー ザ ブリッジ Blu-ray BOX」(キングレコード)
DVD「荒川アンダー ザ ブリッジ DVD-BOX」(キングレコード)
2011年11月23日発売
映画化作品:『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
公開日:2012年2月4日
映像作品:Blu-ray「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(アニプレックス)
DVD「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(アニプレックス)
2012年8月8日発売
片瀬那奈ちゃんが「マリア様」を演じられた「荒川アンダー ザ ブリッジ」は、ドラマは放送されましたが映画公開は2012年2月です。ゆえに「映画が公開されてから」とも考えていたのですが、映画まで待つのは「長げぇ〜」し、ドラマ版で壱度語っておく事にしました。映画がどんな作品になるのかは分かりませんが、此の作品はドラマと映画が併行して撮影されており、其の片瀬那奈ちゃんの撮影時期は「2011年3月6日〜5月18日」と思われます。つまり、同時期に放送された「美男ですね(2011年6月10日〜9月20日撮影)」や2011年10月に放送された「ボクら星屑のダンス(2011年5月14日〜6月1日撮影)」よりも前に撮影された作品です。映画公開が2012年2月なので「片瀬那奈ちゃんの最新作!」と謳われておりますが、実際には東日本大震災が起こる直前から余震が続く頃に茨城県で撮影されたのです。
此のドラマは同名のマンガが原作で、登場人物は所謂ひとつの「コスプレ」姿で原作に忠実なキャラクター作りをしております。片瀬那奈ちゃんは以前から「マンガ原作」のドラマや映画にも数多く出演されて来ましたが、例えば「西豪寺エレナ様」や「高田清美」などでは原作を超えた役作りをしておりましたし、昨年(2010年)の代表作となった「闇金ウシジマくん」では「ドラマ版のオリジナル・キャラクター」である「大久保千秋」を熱演しました。果たして、此の「荒川アンダー ザ ブリッジ」では、そんな片瀬クンには珍しく「原作に忠実な模倣」をやらかしております。いえ、片瀬クンは以前にも「小早川伸木の恋」や「ビバ!山田バーバラ」などでも「かなり原作に沿った役作り」をした事もあります。然し乍ら、此の「マリア様」ほどの「コスプレ」と「原作をなぞる」と云った試みは無かったと思われます。
髪の色を染めなかった辺りには片瀬クンなりの拘りも感じられたものの、他のキャラクターも大胆に「コスプレ」する中で、結局は「仮装大会」の一員になってしまったと、厳しい様ですが云わせて頂きます。確かに「どどS」モードの「マリア様」は「片瀬那奈ちゃんだからこそ演じられる役柄」と思えましたし、シスターや星との絡みは抜群ではあります。何て云うのかナァ、よーするに「片瀬那奈にしては、当たり前過ぎる」と思えてしまったのです。レイナとかRINAとかマリアって、先が見えてしまうのですよ。「片瀬那奈ちゃんが演じているのだから、次はこー来てあーやって」と予想通りに動いてしまうわけです。其れは其れで「流石は、片瀬那奈だ!」とは思うものの、延髄斬りとかスリーパーで決める落日の猪木を思い起こさせて納得がいかないのだ。
突然に橋の上で土下座した「柏木礼奈」を観て「何じゃ、こりゃ?」と思ったのです。ミクロちゃんも驚愕した「ピンクのきのこ頭」で現れた「西豪寺エレナ様」に度肝を抜かれたのです。単なる脇役だと思っていた「美月うらら姫」が完全にドラマを乗っ取ってしまったり、敵役のはずだった「高瀬リコちゃん」が主役を食ってしまった姿にシビレたのだよ。そして「小野未来」や「まどか先生」や「マリリン」や「大久保千秋」に、圧倒されたのです。だから、片瀬クンに期待してしまうのだ。マリアが片瀬クンの最新作?冗談じゃないよ。確かに、片瀬那奈だからこその「マリア様」なのでしょう。でも、僕が知っている片瀬那奈ちゃんは違う。もっと、もっと、デカイのだよ。トンでもなく「どエライ」のです。「スジナシ」での破天荒な演技を観れば、役者としての片瀬那奈の凄さが分かります。来るべき作品で、完膚なきまでに捻じ伏せて下さい。怪優・片瀬那奈の新作がマリア様じゃ、僕は満足出来ません!
2012年に映画も公開されました。内容は、約半分がドラマと重複すると云うトボケタもので、しかもドラマと映画でエピソードのオチを変えるなど、制作者のお遊びとしか思えない悪ふざけも目立ちました。さっぱり訳が分からなくオチもなかったドラマとは違い、キチンと物語は成立してはいます。マリアを演じる片瀬那奈ちゃんは磐石の面白演技ですが、撮影は当然の如くドラマと映画が同時進行で、ドラマで散々に意味不明な謎かけをして映画で解決との手法です。それゆえ、どうしてもドラマでも使ったシーンを沢山入れなければならないわけです。だったら、最初から映画だけでいいじゃん!と思わずにはおれませんでした。舞台挨拶があった関係上、あたくしはこんな凡作を映画館で四回も観てしまったのですよ。但し、仮装大会の一員ではあるものの、マリアは最もコスプレ度が低いとも云えます。其れでも堂々と、被り物の村長や星をも食いそうな怪演を魅せているのは流石でしょう。
「2013年9月24日 補足改訂」 (小島藺子/姫川未亜)