後楽園ホールで初めてプロレス観戦をしたのは1992年8月15日で、全日本女子プロレスの「豊田VS山田」の敗者髪切りマッチがメインエベントの興行でした。当日券を求めて後楽園ホールへ行き何とか自由席を確保したのですけど、同日は昼夜興行で「WAR」も行われる事になっていて、北側の良席が残っていたのでうっかり購入してしまったのです。其れで、後楽園観戦デビューでいきなりだナァと「全女」と「WAR」の梯子を敢行したのでした。
当時の「全女」は対抗戦ブーム前夜のイケイケ状態で、観客も超満員札止めでした。あたくしは自由席なので後楽園ホールの汚い階段に並び南側最後列の後ろの柵越し一番前で立ち見出来たのですが、後で考えればバルコニーに行くべきでした。何せ初めての後楽園ホールだったので、其の辺の旨味は未だ理解していなかったのです。其れでも後楽園ホールは最後列でも充分にリングサイドと云える狭い会場ですから、充分に試合は楽しめました。
夕方からの「WAR」は北側の指定席で、もうリングは間近です。天龍とカブキくらいしかお目当てのレスラーはいなかったけど、新間が猪木の「天龍戦受諾書」を持って現れると云う見せ場がありました。ま、そんな事よりもですね、天龍の親友である楽太郎師匠(現・円楽師匠)のお弟子さんが前振りで出て来て「今日は満員ですねぇ、1,200人くらい入っているそうです」とガチ発言をしたのが引っ掛かったのだよ。確かに、後楽園ホールの客席数は「1,403」なのだ。どんなに詰め込んでも「2,005」がマックスで、消防法の規定だと「1,600」くらいなのです。
同じ様に「東京ドーム」は「46,314人収容」でありましてですね、アリーナ(グラウンド)を開放したとしてもせいぜい「55,000人」と云われています。「東京ドーム」のグラウンド面積は「1万3千平米」ですから、其処には「一万人も収容出来ない」のです。其れで考えたのですけど「明治公園」の集会広場に、果たしてどれだけの人が入れるのでしょうかしらん。全体の面積は「5万7千3百9.34平米」と広大ですが、其の大部分は「東京体育館」などの施設です。実際に人が集まる「広場」は、たった「1万平米」でありましてですね、「東京ドーム」のグラウンド面積よりも狭いのだよ。
もしも其処に「四万人」入ってしまったなら、スタンドに四万那奈千くらい座席もある「東京ドーム」には「十万人」近く入ってしまうよね。アノ広場には、せいぜい「16,000人」しか入らないよ。しかも、立錐の余地も無い状態でね。それなのに「広場に四万人で、溢れた人も含めれば軽く六万人」って、おいおい、頭、大丈夫か?空撮で沢山人がいるってのを見て「四万」って思うのは分からんでもないけどさ。少なくとも、ドームのスタンドからアリーナ席を観た事があるのなら、アレで「四万」とか、ましてや「六万」なんて数は出て来ないぞ。いやぁ、世の中には「プロレスよりも酷い水増し」ってのもあるんだナァ。
そもそも何万人集めようが「実現不可能な妄言」を垂れ流して、お祭り騒ぎみたいに闊歩する事で、一体何が変わるのよさ。「脱原発」は、ほとんどの国民の総意だし、みんな代替エネルギーを確保して原発を失くす方向に向かっています。いきなり「全廃」とか云って、其の後はどーすんの?なーんも考えてないじゃん。そんなもんで世の中は変わらないって、未だ分からないのかしらん。其れとも、単に騒ぎたいだけか、何らかの利権とか在るんですか?フジテレビ・デモの方が、未だ分かり易くて好いですよ。
だってさ、少なくともフジテレビ・デモでは「組織で人を集めて、交通費を支給もしくはバスツアーとか組んで、挙句に日当まで出した」なんて噺は聞こえてこないもんね。全体の六割以上とも云われている「召集された方々」の交通費や日当って、一体どこから出てるのかしらん。そんな巨額なお金が在るなら、義捐金にしたら好いんじゃまいか。でも、どうしても「大規模なデモを実現させたかった理由」が在るわけざんしょ?其れは本当に「反原発」なのですか?あたくしは、ライトもレフトもどっちにも賛同はしませんよ。なんちゃら思想とかって、何だかおっかねぇナァ。オラ、関わりたくないだ。ノンポリと蔑んでもらって大いに結構です。あたくしは「跳ぶまえに見る」よ。
(小島藺子)