三日間で過去全六話再放送を敢行し第那奈話へと繋いだドラマ「美男ですね」は、此処的には当然乍ら片瀬那奈ちゃん演じる「RINA」を注目して観ております。然し、片瀬クンの出番は多くなく、他のキャラクター中心の展開が続いておりますので、今回の再放送で改めて「柊」の悲運すぎる「生き様」に目がゆきました。
まず、初回拡大版で「柊」がいち早く「美男(ホントは美子)」が本当は女の子だと気付き、彼女に惚れてしまい、フォローし捲くる様になります。ところが「ツンデレ王子サマ」の「廉」がうっかり「RINA」と「美男(ホントは美子)」の会話を盗撮し、秘密を握って「美男(ホントは美子)」に迫ってゆくのでした。第2話では、其の辺の事情を何となく察知した上で「美男(ホントは美子)」を励まそうと豪華なディナーに誘う「柊」でしたが、偶然にも「廉」が同じホテルで社長と水沢麗子(廉の母親)に呼び出され、うっかり「海老」を食べ「海老アレルギー」の「廉」はトイレで悶絶。其処へ偶然にも(「柊」とのディナーで緊張して食べ物を落としてしまい、汚れた服を洗う為に行った)「美男(ホントは美子)」が現れ介抱する事になり、哀れな「柊」は料理を一緒に食べる前に置き去りにされました。食べたのは、待たされる間のひと口だけでしょう。
つづく第3話では、其れでもめげない「柊」が、原宿で迷子になった「美男(ホントは美子)」を携帯電話でナビゲートしつつ、ストーカー紛いに尾行し、店の支払いなどを全てフォローして、いよいよ「君の後ろに居るよ」と決めるはずが、絶妙のタイミングで「廉」から電話で呼び出された「美男(ホントは美子)」は脇目も振らずに彼の元へ。原宿の街角に呆然と立ちつくした「柊」は、益々「廉」へ憎しみの視線を送る様になりますが、「廉」は何で睨まれるのか全く分かっていません。然し、「美男(ホントは美子)」の秘密を守る為に「NANA」と偽装交際宣言をした「廉」を見て、チャンス到来とばかりに果敢なアタックを続けるのでした。注目すべきなのは、「勇気」だけは最初から「柊さんは美男(ホントは美子)に熱い視線を送っている」と見抜いているトコですね。「勇気」は勘は鋭いけど「美男(ホントは美子)」が女の子だとは見抜けず、異様な妄想に耽ってゆきます。
「俺はお前だけを見てるのに、お前は誰を見てるんだ!」なんぞと完璧な自己中心モードに入った「柊」が、第4話では「NANA」の件をダシにして「美男(ホントは美子)」が「廉」から離れる様に誘導しますが、速攻で自己嫌悪に陥ります。山で遭難(物凄く強引な展開)した「美男(ホントは美子)」と「廉」の前に「NANA」が現れ「空気読め!」と引き離すと、翌朝、残された「美男(ホントは美子)」を「柊」が迎えにゆくのですが、「廉かと思った?」と自ら敗北宣言まで飛び出すヘタレ振り。しか〜しっ、ソロ・レコーディングで「廉」を想って涙ながらに熱唱しスタジオを飛び出した「美男(ホントは美子)」を庇い抱きしめた「柊」は、「廉」に堂々の宣戦布告!でも、其の気遣いは肝心の「美男(ホントは美子)」には「一切伝わらない」のです。
此処まで事在るごとに「お前に何かあったら、いつでも俺が守る!(キリッ」と「美男(ホントは美子)」に告げる「柊」ですが、「美男(ホントは美子)」は「柊さんって、優しい人だナァ」としか思っておりません。アレだけの熱視線を注がれ、「廉」に対しても不気味な睨みを利かせている「柊」の態度から、全く何も感じない「美男(ホントは美子)」の天然ぶりは凄いですね。ま、そんな素朴なトコに「柊」は惚れたのでしょう。第5話では、母親に誕生日を忘れられていた傷心の「廉」を、これまた偶然に目撃してしまった「美男(ホントは美子)」がハグして慰めるのですが、予想を裏切らず其の現場を「柊」が見ていまして、最早「そっか、やっぱ、美男(ホントは美子)は廉が好きなんだ」と認識した模様。前回の反省からか、どう考えても「廉」の為にケーキを用意しようとする「美男(ホントは美子)」に「恋のアドバイス」をしてしまうピエロとなりますが、矢張りストーキングは辞められなかった様子です。
其れでも諦め切れない「柊」は、第6話で体調を崩した「美男(ホントは美子)」を覗き見し「もう見てるだけじゃ済まなくなる!」と勝手に想いをつのらせ、看病しようとすれば「廉」から「オレ様ひとりでやる!すこんでろっ」と拒否され、拳を握り締め怒りに震えます。ことごとく「廉」に美味しいトコをさらわれ続けた「柊」は、「NANA」の恫喝によって女の子の格好でマスコミの前に登場しようとした「美男(ホントは美子)」を守って男気を見せ「オレの、、、彼女です!」と自分勝手に交際宣言!そして昨夜の第那奈話となったのでした。
「男の子だと騙していて御免なさい」と謝る「美男(ホントは美子)」に、「柊」は「全然、気付かなかったよ」と大嘘をつきますが、「廉」に対しては「此れからは、オレも美男(ホントは美子)を守る!」とか「好きなコが出来た。今夜、告白する!」とかプレッシャーを掛け捲ります。ところが、「美男(ホントは美子)」には「彼女を紹介したい」なんぞとサプライズを仕掛け、「廉」にはバレバレで「美男(ホントは美子)」には全く想いが届かないと云う「いつもの展開」で結果的に「恋のキューピット」を演じるのです。
でもですね、此処までスカされ捲くった「柊」も、此の侭では終われないっ。毎回スッポカされ続けた「柊」の怒りは頂点に達し「美男(ホントは美子)」に「オレがどんな気持ちでお前を待っていたと思ってるん、、、」と絶叫するかと思えば、矢張り思い留まり「優しい柊さん」モードに転じます。「美男(ホントは美子)」に「遠まわしに」告白するものの、彼女は相変わらず全く理解しません。「NANA」にハメられ、元々「美男(ホントは美子)」は「柊」が好きと誤解している「RINA」のお膳立てで最高の舞台を演出され「NANA」と「廉」も登場し千載一遇の機会が訪れますが、在ろう事か「柊」は愛する「美男(ホントは美子)」に対して
「お前は、廉が好きなんだろ?想いを伝えなくていいのか?」と云ってしまった。其れを受けた「美男(ホントは美子)」が
「気付いていたんですか!」とあっさりと「廉」への想いを認める
「残酷な場面」が展開されました。放心状態でフラフラと其の場を去る「柊」の姿には「敗北の美学」を感じたものの、完全なる「自爆」ですからね。「柊」は「電流爆破マッチで自ら爆撃を受ける為に有刺鉄線へ突っ込んでいた大仁田」かよっ。今後の巻き返しに期待しておりますよ。ま、あのキャラじゃ無理でしょうけどね。岩清水弘や岩清水健太郎ですら「君のためなら、死ねる!」と云ったのに、「柊」の「情けなさ」は特筆に価します。アノ憎しみに満ちた目は「浦見魔太郎」ではありませんかっ。絶対に「うらみ手帳」を書いているナ。
(小島藺子)
「美男ですね」TBS公式サイト