NHK 22:00〜22:50
ハーフ・クールのドラマでありますところの「マドンナ・ヴェルデ」は、気が付けば終盤になっておりました。来週は、早くも最終回です。ゆえに今回がクライマックスになるであろう事が予測されますね。
此処的な最大の注目点は、前回に理恵が「代理出産を公表するのだ!」と宣言したことで「おいおい、もしかしたら、田中美紀が登場しますか?」との期待が高まったってトコでしょうかしらん。結論から申しますと、矢張り「田中美紀は出なかった」のです。聖母である「みどり」が公表を止めたからって話で、演じる松坂さんは「熟年離婚」で片瀬クンの母親役でもあったわけですから、此処としてはとっても納得がゆきます。
ま、其れなら其れで「田中美紀は片瀬那奈ちゃんだけが演じた役柄」とのプレミアム感がでますね。然し乍ら、折角の機会ですので「おんなじ役柄を片瀬クンと別の女優さんで見比べてみたかったナァ」との願望も在ったのです。
奇しくも、映画版で桐谷美玲ちゃんが演じた役をドラマ版で演じているアッキーナは、片瀬クンが出演された映画「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」のドラマ版「傍聴マニア09」にも出演されていました。そちらでも、類似キャラは存在したものの映画で片瀬クンが演じた「マリリン・長谷部真理」は登場していませんでした。
あたくしが其れらを残念だと思うのは、あの早くも伝説化した舞台「フラガール(2008年)」を観てしまったからでしょう。映画版で松雪泰子さんが演じ多くの映画賞で主演女優賞を受賞された役柄を、片瀬那奈ちゃんは舞台版で見事に「カタセ流」に変えて演じ切りました。松雪さんの映画版も素晴らしかったけれど、既に確固たる評価が定まった役柄に真正面から挑んだ「片瀬那奈」に、僕は心底感動し惚れ直したのです。伊達や酔狂で二十七回も同じ演劇を観てはいません。舞台「フラガール」は映像作品としては遺されていませんが、あの時に出来得る限り生の舞台を追ったのは、正しい選択だったと云い切れます。本当に素晴らしい舞台でした。
おっと、話が逸れたナ。いや、逸れたんじゃなくて戻っただけなのです。「カタセカイ」は芳醇ですが、いつもいつだって「ど真ん中」に居るのは片瀬那奈ちゃんなのだ。僕は此処で「片瀬那奈ちゃんの話」しか書いていません。其れが、此処のおそらくたったひとつの「真実」です。
(小島藺子/姫川未亜)
「マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜」NHK公式サイト