何故ビートルズのCDが、同じタイトルのモノばかり棚に並ぶのかってぇのは、MIX違いが在るからです。あたしはコレクターでもマニアでも無いので、全然持ってない方なんだけど、どうしたってステレオとモノの二枚くらいは集めないわけにはいきません。
例えば「RUBBER SOUL」と云う1965年に発表されたアルバムが在ります。現在、何処のCD屋さんに行っても買える作品ですけど、此れはCD化された時にサー・ジョージ・マーティンがリミックスしたステレオ盤です。ですから、現行オフィシャルCDでは、当時の「RUBBER SOUL」は聴けないのですよ。
(【注】2009年に発売されたリマスター「モノ箱」を買えば、一応、聴ける様になりました。)其処で、そばに並ぶ「Another tracks of RUBBER SOUL」なんて妖しげな二枚組を見てみましょう。此れは全60曲入りで、まずオリジナル・モノ盤が全曲、其の後には「RUBBER SOUL」セッションでの様々なミックス違いやアウト・テイクが並んでいます。(私は所有していませんけど、4枚組の「RUBBER SOUL SESSIONS」なる代物も存在します。)
(【注】1987年の公式初CD化の際に「全世界統一規格」となりまして、長い間「公式CDではひとつのミックスしか聴けない」と云う状況が続きました。米盤などの多種多様な各国盤ばかりか、本国・英国盤もモノもしくはステレオのどちらかに統一されていたのです。そんなつまんない世界を、海賊盤業界が見過ごすはずはなく、アナログ落としのブートCDが蔓延る事になったのでした。)此れでええじゃん、と思ったら「HELP!/ RUBBER SOUL」なんてのも並んでました。なんだべさ?と思ったら米盤仕様のステレオ盤なんですよ。当然「YESTERDAY AND TODAY」のモノとステレオ盤も並んでますね。更にジャケット違いのモノ盤やオリジナル・アナログ落としのステレオ盤、挙げ句にデジパックのロシア盤なんかが仲良く並びます。
英国オリジナル盤と米編集盤(「RUBBER SOUL」と「YESTERDAY AND TODAY」)のステレオとモノ、そして現行CD、計那奈枚でとりあえずはコンプリ、他は同時期のシングルやEP、編集盤での別ミックス、スタジオ・レコーディングの別ミックスに関してなら其れで充分でしょう。なんだかんだで10数枚は在るのだけど、たぶんすべてのミックス違いは在ると思います。アナログ盤にこだわる方は、もっともっと大変な道なので、全く大したことでは在りません。音源としての違いを求めて集めた結果が、同じタイトルの羅列です。其れが面白いのか?と云うと、やはり面白いわけですね。
(【注】此の後の記述にも関わる事ですが、ミックス違いってのは奥が深いってゆーか、単なる莫迦ってゆーか、こだわると大変です。此処で語っている「RUBBER SOUL」なんかは、アナログでは「ラウド・ミックス」と呼ばれる盤も存在しておりますが、其れは厳密には「ミックス違い」ではなく「カッティング違い」だと思います。当然乍らアナログとCDでは耳で聴いた時に明確な違いもありますしCDのリマスターもまた別音源として響きますが、元のミックス的には同じだったりもするわけです。)で、片瀬那奈ちゃんはどーなんだ?ってぇと、例えば今年
(【注】此の「今年」とは、当然乍ら記事が書かれた「2005年」を指します。)出た「Reloaded」と云うベスト盤が、棚には5種並んで居ます。此れはどーゆーことなんだって話ですよ。市販されたのは三種で、初回限定DVD付きと通常初回生産盤と通常盤です。そして、私が所有するのは其の内の二種で、通常盤はまだ買っていません。となると残りの三枚って何なんだ?片瀬クンの此の作品は、私が知る限りで最低でも10種類の同名異作品が在ります。当然DVD版を含めないでのことです。其れを、効率良く入手した結果が5種類なんですよ。たぶん、もっと増えるけどさ。ね、だから、私はコレクターでもマニアでも無いので、此の程度で我慢出来るんですよ。頑張れ!コンプリちゃん。
(【注】「突然カタセ固め」に出てしまうイコ姐さんは、既に此の時点で「片瀬音源を解明する」作業に入っていた様子です。かつてアントニオ猪木は「国会にプロレスを持ち込み」と非難されましたが、小島藺子が正に其の轍を踏み出したと思える記述です。)前言をいきなり撤回するけど、あたしは「ABBEY ROAD」のCDを一枚しか持っていない。「THE OTHER WAY OF CROSSING」と云うアウトテイク集は在るけど、其れは未発表音源集なので公式音源としての別モンとは云えない。
(【注】なんかエラソーに云ってますけど、「THE OTHER WAY OF CROSSING」ってのはブートですし、小島は他にも「ABBEY ROAD」関連ブートをしこたま買いました。)1969年以降発表されたビートルズのオリジナル・アルバムは厳密に云うとステレオ・ミックス盤しか存在しない。其れは簡単に云うと、サントラ盤が二枚と「ABBEY ROAD」ってことになる。「YELLOW SUBMARINE」と「LET IT BE」は、サントラ盤なのだ。でも映画とは違う音源が発表されて居るので、と云うか、此の二作は語り尽くせない程の別音源が在るわけだよ。
(【注】またしても上から目線で語っておりますが、小島が云ってる「別音源」ってのは、ほとんどがブート音源です。)唯一「ABBEY ROAD」だけが、現行CDでも聴けるミックスのみしか存在しない彼等のアルバムだ。コレクターなら、フライングCD化した日本盤を買うのもええだろう。アナログも各国盤でマテリアルとしての魅力は在る。ピクチャー盤も出ていたはずだ。でも、音源的には「たったひとつ」なんだ。今後、此の作品だけは(勿論、他の作品もと云いたいのだけど、既に遅いわけで。。。)リマスターはして欲しいけれど、リミックスだけはしないでくれ。もしやるなら、別の作品として発表してくれ。
1969年9月26日「ABBEY ROAD」発売。此れは、やはり、ザ・ビートルズのラスト・アルバムだ。此れだけは、一枚あれば充分だ。
「ABBEY ROAD」には明確な違いが在るオリジナル公式別音源は無い。(【注】色々と御託を並べてはいますが、確かにステレオのミックスしかない「ABBEY ROAD」もアナログでの各国盤とかプロユース盤とかCDになってからのリマスター前と後とか、明らかに聴いた印象が違いますので「此れだけは、一枚あれば充分だ。」とか云ってる小島の発言の信憑性は限りなく無いでしょう。)モノ盤はステレオをモノにしただけのインチキ盤だ。ん?モノラルなんて全部そーなんじゃないのかって?あのね。。。そーだなー、例えば「PET SOUNDS」のモノとステレオ 2 in 1 ってのが売ってるから聴いてみてよ。話は其れからだ。ん?アレのステレオは後にミックスしたんだろって?良く知ってるじゃん。感心だな。じゃあ、バナナのモノとステレオが入ってる二枚組を聴いて頂戴。別に他のでもええよ。リアルタイムでモノとステレオが在った時代のモンなら何でもええから、聴き比べて御覧よ。最近じゃ便利な 2 in 1 が沢山出てるじゃん。何でアレが商売になるのかってのは聴けば分るよ。
(【注】えっと、確かに違いはありますけど、普通に健やかな生活を送られていらっしゃる音楽好きの方々は、小島のこんな発言に惑わされてはいけません。踏み入れてしまったら、トンデモな世界が待っていますよっ。)話を「ABBEY ROAD」に戻すとだ、今では「ANTHOLOGY 3」に入ってる別音源ってのが在る。此れは公式海賊盤みたいな代物なんだけど、ずっとブートを聴いてきた連中への配慮が伺える選曲になっていますな。所謂御馴染みの別音源が明らかにオミットされてる。其れは、例えばエンディングのコードが切れない「HER MAJESTY」だったり、延々とジャム・セッションに繋がる「SOMETHING」だったりするのだけど、此れはもう確信犯でしょう。「はいはい、ブートに無いのも持ってますよー!だって公式だもんねー」ってトコだな。
ブートってのは、本物もあればフェイクもある世界で、「ABBEY ROAD」で有名なフェイクでは、アナログB面のメドレーを捏ち上げたってのがありますなぁ。
公式発表されたレコードの最後に「HER MAJESTY」が付け足されたってのは、有名な話で、本来なら「MEAN MR. MUSTARD」と「POLYTHENE PAM」の間に入ってたのを、メドレーを編集中に聴いたポールが「やっぱ、いらね、あぼーん」と云ったので、切ったのはええんだけど、エンジニアは「ビートルズの音源は絶対に捨てるな!」って上司からのお達しに怯えて、ブランクの後にテープを繋いで残してしまったと。だから、あの突然始まる「ジャーン!」ってのは前の曲のエンディングで、途中で切れるのも次の曲の頭に被ってたからだってわけだ。で、ラフミックスを聴いたポールが「グッジョブ!」って認めちゃったわけですよ。
でもって、何時の頃からか、ブートでは「HER MAJESTY」が元の位置に収まってるメドレーが当たり前の様に収録されたんだよね。御丁寧にラフミックスのメドレー音源に繋いでるのよ。いや、ホントにピッタリ収まるんだなぁ。以前はメドレー前のセッションをツギハギした涙ぐましいフェイクなんかを聴いてましたから、此の完成度はすぎょい!
「おおっ!!此れが最初のメドレーかっ!!!!!!!」神様ありがとー♪ぼくにブートをくれーてー♪
なんて騙されると思ってんのか?そんなもんは無いんだよ。ラフミックスは確かに存在するけど、其の時にはもう「HER MAJESTY」は外されてたんだもんな。完全な捏造ですよ。
(【注】とか云っている小島も、最初に聴いた時には本当に「おおっ!!此れが最初のメドレーかっ!!!!!!!」と、コロリと騙されたのでした。)以前は、もっともっと稚拙なフェイクが罷り通って居て、明らかに別人が演奏してたり、片チャンネルだけ入れたり、ニール・イネスだったり(此れは嬉しい)、そりゃもー酷い目にあったもんですよ。現在は、ど素人でも簡単にフェイク音源なんか作れちゃう。もう、騙されないぞっ!
いや、絶対騙されます。。。だって、あたし、フェイク音源も大好きなんだもん。愛がなきゃ、出来ないからね。
(【注】最早「イソップの狐」みたいになってしまった姉御です。どんだけフェイク音源に騙されて来たのかが分かりますね。良い子のみんなは、決して海賊盤とかゆー非合法な代物には嵌らずに、アーティストが発表した公式音源を大切に聴きましょうね。公式でも、各国盤とか、なんちゃらかんちゃらとか、いっぱいありますけど、全部おんなじだと思って下さいね。跨がない方が絶対に好いと思います。「またぐなよ、またぐなよ」って長州風に云いたいです。「ウチはもう、跨いじゃったから。」←大久保千秋声で) (小島藺子)
初出「COPY CONTROL」
「大人買いはしないの☆」(2005-9-25)
「ABBEY ROAD」(2005-9-26)
「ケーフェイ」(2005-9-27)
(【注】執筆:鳴海ルナ 2011-1-20)