御蔭様で「THE BEATLES 全曲解説」の「FAB4」も、所謂ひとつの「赤盤」時代まで書き終わりました。赤盤と青盤ってのは、流石はジョージ・ハリスンが選曲しただけあって、其の区切りを1966年にしたのがツボをついてます。1966年に革新的なアルバム「REVOLVER」を発表したビートルズは、8月29日のキャンドルスティック・パーク公演を最後に実演活動をヤメます。11月からは後に「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」と呼ばれる次作の録音に没頭します。ゆえに、ライヴと併行して録音していたのが「赤盤」で、録音に専念してしまったのが「青盤」と簡単に云えば分けられるのです。
ところが、ビートルズには「年間に二枚のアルバムを出す」と云う契約が在りました。1966年には「REVOLVER」しか発表しておらず、当然乍ら次作となる「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」は更なる高見を目指していたので「やっつけ仕事」で録音なんか出来ないわけです。其れで、クリスマス・シーズンに合わせて現役時代には唯一のベスト盤である「A COLLECTION OF BEATLES' OLDIES」を発売します。此の作品は、あたくしが生まれて初めて買ったLPです。内容は以下の通り。
Side A
1.
SHE LOVES YOU (シングル)1963年
2.
FROM ME TO YOU (シングル)1963年
3.
WE CAN WORK IT OUT (シングル)1965年
4.
HELP ! (シングル、アルバム「HELP !」)1965年
5.
MICHELLE (アルバム「RUBBER SOUL」)1965年
6.
YESTERDAY (アルバム「HELP !」)1965年
7.
I FEEL FINE (シングル)1964年
8.
YELLOW SUBMARINE (シングル、アルバム「REVOLVER」)1966年
Side B
1.
CAN'T BUY ME LOVE (シングル、アルバム「A HARD DAY'S NIGHT」)1964年
2.
BAD BOY (英国未発表曲)1965年
3.
DAY TRIPPER (シングル)1965年
4.
A HARD DAY'S NIGHT (シングル、アルバム「A HARD DAY'S NIGHT」)1964年
5.
TICKET TO RIDE (シングル、アルバム「HELP !」)1965年
6.
PAPERBACK WRITER (シングル)1966年
7.
ELEANOR RIGBY (シングル、アルバム「REVOLVER」)1966年
8.
I WANT TO HOLD YOUR HAND (シングル)1963年
1966年12月9日 英国アルバム発売
パーロフォン PMC 7016(モノ)、パーロファン PCS 7016(ステレオ)
2010年の現在では、カラフルなイラストのジャケット位しか魅力が無い編集盤と思えるでしょう。あたくしが買った時(1974年だったと思います)でも、既に「赤盤」と「青盤」が出てしまったので「中途半端なベスト盤」みたいに云われていました。でもですね、1966年の発表時を考えれば、通常なら14曲入りとしていたアルバムに16曲も詰め込み、其の内シングルのみでの発売で初アルバム収録曲が7曲!(当然乍ら、マスターが消された「SHE LOVES YOU」以外は初ステレオ化!)英国未発表曲「BAD BOY」も収録!!と半数が此の作品でしかアルバムでは聴けなかったわけで、正に「ベスト盤の鑑!!!」と呼ぶべき豪華絢爛なサービス盤なのです。ビートルズは多くのシングル曲をアルバムには入れなかったので、こんなトンデモなベスト盤が成立してしまったのだっ。
中学生だったあたくしが此れを選んだのは、何度も書いてますけど「16曲も入っている」って事と、「イエスタデイ(あたし好きだな by 片瀬那奈ちゃん)」と「ミッシェル」が入っている!ってのが重要だったのですけど、当時は二枚組で高い「赤盤」以外では「シー・ラブズ・ユー」も「抱きしめたい」も「恋を抱きしめよう」も此れにしか入ってなかったからってのもあったのです。其れが何故なのかを知るのは、もう少し後の事でした。あたくしの「ハジレコ」である「オールディーズ」は、未だに「嬉し恥ずかし」って気分にさせてくれる宝物です。此処から、目くるめく広大な世界へ誘われたのです。ゆえに、あたくしは名盤だと強く思います。
(小島藺子/姫川未亜)