w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ジェフ・エマリック
2E:フィル・マクドナルド(4/17、19、5/20、6/21)、ジェリー・ボイズ(5/12)
録音:1966年4月17日(take 1-7)、4月19日(take 7 に歌を SI)
MONO MIX:1966年4月19日(take 7 より 1-3)、5月12日(take 7 より 4)、
6月21日(take 7 より 4-6、6 に編集)
STEREO MIX:1966年5月20日(take 7 より 1、2)
初出:1966年6月20日発売 (「YESTERDAY AND TODAY」 A-4)
キャピトル T 2553(モノ)、ST 2553(疑似ステレオ)
1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-4)
パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)
ジョン・レノンの作品で、データで書いた通りに、「I'M ONLY SLEEPING」、「AND YOUR BIRD CAN SING」、「DOCTOR ROBERT」の三曲のジョン・レノン作品が、何故か米国キャピトルの要望で英国よりも一ヶ月半も前に編集盤「YESTERDAY AND TODAY」に収録されてしまいます。挙げ句の果てに、米国盤の「REVOLVER」は其の三曲を抜いた「11曲入り」で発売されたのでした。米国盤だと、ジョンは「REVOLVER」にたったの二曲しか提供していないって事にされてしまったのだ。アノですね、そりゃイカンでしょ。
「YESTERDAY AND TODAY」は、数ある米国編集盤での最もハチャメチャな内容で、アルバム「HELP !」、「RUBBER SOUL」、「REVOLVER」、そしてシングルから寄せ集めた11曲入りで、なな、なんと、2曲もリンゴが歌う曲が収録されています。怒り狂ったビートルズは伝説の「ブッチャー・カヴァー」で不満を爆発させますが、発売禁止となり「トランク・カヴァー」に変更された為に、ヘッポコ内容なのにジャケットの希少性のみで高額なコレクターズ・アイテムとなってしまいます。そんな不幸な運命に逢ってしまったジョン・レノン作品のひとつである此の楽曲なのですが、そんな経緯が在った御蔭で別ミックスが聴けるってマニアには嬉しい展開にもなるわけです。米国編集盤の「YESTERDAY AND TODAY」のモノでは、エンディングでジョンが「オーケー、ファブ」と云っているのが聴けます。其れはやはり「OK ! FAB」なのでしょう。正に、自画自賛。そして、ジョンが如何にビートルズと云うバンドを愛していたのかが伝わって来る「ひとこと」です。
詩は、当時のジョン・レノン楽曲に共通するドラッグ体験を直接的に連想させる内容です。実在のモデル(ロバート・フライマン)もいて、ビートルズとは面識はなかったものの、其の筋では有名な人物でした。楽曲も、これまた此の時期のジョンが凝っていた「単調なマイナー7コード中心で展開するブルージーなロケンロール」ですが、ミドル8はおそらくポールが手伝ったと思われるメロディーも顔を出します。其れでも、ジョンの屈折度が半端じゃないです。アルバム「REVOLVER」でのジョン・レノンは、たぶん、壱番、トンでます。其の後も益々トビまくるわけですが、其れを楽曲へ昇華させたピークは1966年だったと思います。
(小島藺子)