「あらぁ、ちゃんと意味ありますのよ。『みんなでうたおう』通称『みなうた』は、未来を担う子供たちの為の音楽番組ですの。でも、今は少子化の時代、どんなに頑張ったって数字は取れやしない。数字が取れなかったら、番組自体が終ってしまう。番組が終ってしまえば、良い子は育たない。良い子が育たなければ、日本の未来は危うくなってしまう。そんな危うい未来に子孫を残すわけにはいかないっ、残すわけにはいかないから、少子化にますます拍車がかかるぅ〜!そんな負のスパイラルに陥ったあたくしたちを救ってくれたのが、此処におわします氷室王子なのです!王子の登場以来、幅広い層に支持を得た『みなうた』の視聴率はうなぎ上り!今やテレビ夕日の看板番組ですわっ、はっ!」(「歌のおにいさん」2009年)
片瀬那奈ちゃんが「美月うらら」役で「ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」助演女優賞を獲得した「歌のおにいさん」は、名実共に代表作と呼ぶべき作品でしょう。女優生活10周年での初戴冠は、少し遅過ぎたとも思えますが、積み上げて来た成果が花開いた名演技を正当に評価された事実は大いに意義があります。
「美月うらら」は子供番組の「歌のおねえさん」なので、数々のコスプレで全身タイツ姿や着ぐるみ姿も披露した凄まじい役どころです。「クールビューティーな、きれいなおねえさん」が此処までやるか?と思える弾けぶりですが、那奈ちゃんの「素」に近い適役でして、本人も嬉々として演じ、ファンも絶賛、世間は吃驚、助演女優賞も受賞!と相成ったわけです。
確かに、奇抜な格好や特異なキャラクター、そして踊りや歌唱にも目がいきますが、うらら姫には名セリフも多いのです。今回取り上げたのは、第1話で初めてうらら姫が放ったセリフです。かなりの長台詞ですが、一気に聞かせます。さらに、氷室王子から「僕のことはいいから、君の自己紹介を」と振られると、ふたたび長台詞で自己紹介をぶちかまします。
片瀬クンのセリフ覚えの良さは、舞台「僕たちの好きだった革命」や「フラガール」で定評があります。あたくしは「フラガール」の東京23公演を全て観劇しましたが、片瀬クンは僅かな言い淀みこそあったものの、一度もセリフを間違えませんでした。「フラガール」は主演ですし、「僕たちの好きだった革命」は語り部も兼ねた役どころで、どちらも最もセリフが多かったのですけど、完璧でした。片瀬クンには、それだけ抜群の記憶力と集中力があります。
ゆえに、長台詞も実に上手く、其の抑揚や表情の変化も多彩で、正に独壇場になってしまいます。多くの紀行番組などでも実証されておりますが、片瀬クンはナレーションも実に上手く、語り部としても充分にやってゆける実力を兼ね備えていると思います。那奈ちゃんはですね、セリフ回しが美しいんですよ。聞いていて、実に心地いいのです。だからこそ、此の連載も成立するわけですよ。那奈ちゃんが語るからこそ活きるコトノハなのよさ。長台詞も好いけど、前述の通り「あっ。」とか「よっ!」とか、単音でも演技出来るんです。本当に、素晴らしい女優さんです。
てか、「うたおに」のサントラ盤って発売されていたんですね。どーりで、色んな番組のBGMに「パピプペポン体操」のインスト版とかが使われているわけだ。片瀬那奈ちゃんの声が入っていなくともですね、出演した作品のサントラ盤も「カタセカイ」アイテムなんですよ。コアな楽しみ方ではありますけど、此の「セリフ篇」では、なるべくサントラ盤の画像を貼る様にしております。
さて、本日(9/16)は、内野聖陽さん(片瀬那奈ちゃんと「不機嫌なジーン」で共演、但し絡みなし)のお誕生日です。御目出度う御座居ます。映画「20世紀少年」の主題歌でも御馴染みの「T-REX」のマーク・ボランの命日でもあります。ロックを愛好する様になって、最初に知ったスターの訃報でした。浦沢サンとは同い年なので、「20世紀少年」で云いたい事は、イヤになる位に分っている心算です。
(小島藺子/姫川未亜)