「私、、、花くれた人を放っとく人なんかより、私の方が白石くんに合ってると思う」
(「不機嫌なジーン」2005年)
2004年10月期の月9ドラマ「ラストクリスマス」で女優回帰した片瀬那奈ちゃんは、つづく2005年1月期の月9ドラマ「不機嫌なジーン」にもゲスト出演ながら連投するという破格の復活劇を果たしました。天下の「月9」に2クール連続出演って記録だけだと素晴らしいのですけど、個人的には其の「ラスクリ」から「ジーン」の流れで「片瀬那奈は終った!」とすら思った程に期待外れな展開となったのです。
今でこそ敢えて「ラスクリ」や「ジーン」からのセリフを取り上げたりしていますが、リアルタイムでは悪夢の様な時期でした。元々、あたくしは女優の片瀬那奈ちゃんを好きになってですね、応援していたら歌手に転向されまして「ふざくんな!」と思いつつも実演に通っていたらハマりまして「よーし、それなら歌手の那奈ちゃんを応援しちゃうぞっ」と思ったら、女優に戻っちゃったわけですよ。
いえね、那奈ちゃんが女優回帰するのは大歓迎だったのよさ。問題はだ、そこで演じた藤澤律子と岡元めぐみってのが「何じゃこりゃ?」だった事なのです。何度でも云いますけど、こんな役は誰が演じても好いじゃん。片瀬那奈ちゃんが、そーゆー「大根女優道」へ進むって全くの想定外だったので、呆れ返ってしまいました。其れは決して片瀬クンの責任ではなくってですね、そーゆー没個性な単なる美人女優路線を敷いたスタッフの愚挙でしょう。
「不機嫌なジーン」には第4話から第7話までのゲスト出演で、主人公ジーン(竹内結子さん)の恋人である白石健一(黄川田将也さん)の幼馴染みで偶然に再会した花屋の店員さん「岡元めぐみ」という役どころでした。物語にアクセントをつける為の「捨て役」で、いきなりだナァで再会し、偶然にもすぐにまた逢って、何となくデートもして取り上げたセリフでめぐみちゃんから告白って事になるものの、次のデートでジーンが居合わせて、白石くんはジーンを追い、無惨にも「めぐみちゃんは置き去り」で出番終了!なのです。おいおい、それはないでしょ。
完全なる「ジョブ」を演じたのですが、流石は片瀬クンです。それなりに見せ場は作っておりました。告白場面の前に白石くんとジーンが携帯で会話する時に、白石くんと一緒にいるめぐみは「彼女?」と「あたし、女だよ!」とのセリフを無音で表現しております。そして、「ラスクリ」よりも救われたと感じたのは、バスに偶然に乗り合わせた時にめぐみちゃんが白石くんに「よっ!」と挨拶する場面です。此れが実に好い。「嗚呼、那奈ちゃんだ」って納得できる場面でした。マジで其の「よっ!」を選ぼうと思ったのですけど、またしても文字だけでは伝わらないんですよ。片瀬那奈ちゃんは、そんな「一音」での表現も素晴らしいんです。西豪寺エレナ様の「あっ。」とか最高ですからね。「片瀬那奈のあいうえお」とか企画して、単音だけでの演技をやらかす映像作品でも充分に成立すると思います。
(小島藺子/姫川未亜)