ナンダカンダ云っても週に壱度の「ワールドプロレスリング」を録画視聴しているわけですが、今週はゴルフ中継で飛んじゃいました。あたくしが録画しているのは、片瀬クン関連番組以外では「ベストヒットUSA」と「ワールドプロレスリング」だけなのに、両方共ゴルフが録画されていて「しょぼ〜ん」ですよ。
其れで、DVDで大昔のプロレスを観ました。何度も観た試合ばかりなのですけど、此れが面白いのですよ。片瀬クンが推すからサッカー番組を沢山観ましたけど、日本戦のゴール・シーンとか「何度観ても好いですね」なんて云われても「もう、飽きた」としか思えませんでした。リアルタイムで観た時には「どっちが勝つのかしらん」と其れ也に興奮したのですけど、結果が分っている再放送とかダイジェストでは燃えられません。
プロレスってのは、予め結末が決まっているらしいのです。あたくしも子供の頃からマッチメイクを見て「あ、此れはこっちが勝つな」と予想して、十中八九的中します。かつて未だ全日時代に小橋と秋山がシングルで闘った試合を生観戦した時に、ま、当時は誰が考えても「小橋が勝つ」って消化試合みたいなもんだったのですけど、秋山ファンの男の子が大声で応援していて、始めは「アキヤマ!勝てるぞっ!!」とか威勢が良かったのですけど、30分一本勝負だったので20分過ぎたあたりで彼は「アキヤマ!あと10分、せめて引き分けっ!!」と絶叫して場内に失笑が起きたのです。試合は当然乍ら小橋が勝ちましたけど、あたくしは其の青年のピュアなハートは好きだな。
猪木と谷津がシングルで闘った試合を観たら、序盤から猪木は谷津を相手にせず反則パンチで場外に叩き落として置き乍ら、今度はなかなかリングに入らない谷津に怒り出したりと勝手気ままです。アリ戦の様に寝転んで挑発したり、谷津のスープレックスを受けまくったり、ほとんど一人で試合を作っています。中盤で谷津がアマレス仕込みのグラウンドで猪木をコントロールして、見栄えは悪いのですけど変型の卍固めの様な体勢で猪木を攻め込む場面があるのです。猪木はわざと耐えているのか、本当に外せないのか分りませんが、其の直後に所謂ひとつの猪木の「風車の理論」で、いきなりだナァと喧嘩殺法に転じた猪木が殴る蹴るの暴行で谷津をリング下に叩き落とします。
谷津はバッチリとカメラに映るトコで自分で額を切って、エプロンに上がると猪木は容赦なく谷津の額を鉄柱に打ち付けます。そこで解説の桜井サンが、おっとりとした口調で「谷津の額が切れたみたいですねぇ」と云うわけですよ。別に谷津は反則なんか全くやってなかったのですけど、猪木は額めがけて拳固で殴りまくります。実況のフルタチは「猪木の鉄拳制裁だっ!」と大興奮で、長州が乱入しようとするのも軽く受け流して「延髄斬り」を谷津に炸裂させるのですけど、右足で延髄、左足で額を蹴ると云うエグイ蹴りです。リング下で見守る当時の付き人「後藤達俊」の冷めた目線も好いですね。
此の試合は「正規軍vs維新軍 4対4 綱引きマッチ」って聞いただけではよく分んないカードでの出来事で、よーするにリング上にグチャグチャにされて隠された四本の綱を引いて対戦相手が決まるって試合です。ま、全部マッチメイクは決まってたんでしょう。「長州vs前田」と云うビッグマッチもあるのですけど、時は1983年ですのでアキラは健闘虚しく長州に負けちゃいます。でも、此れも何度観ても面白い試合なんですよ。試合序盤で桜井サンは「長州はね、勝って当たり前ですからね」と素晴らしい解説をぶちかまします。終盤で前田に少しだけ花を持たせた後は、バックドロップ→サソリ固め、自ら解いて、リキラリアット→サソリ固め、と長州がやりたい放題です。此の1983年に猪木も前田とIWGPリーグ戦でシングルを闘いましたけど、終盤で前田がラッシュするのを、猪木は長州よりもかなり多く受けて攻め込まれて魅せましたね。
さらに此の時は「ドラちゃんvsキラー・カーン」って美味しい試合もありました。全盛期の藤波の試合を観ると「相手を光らせるのが上手いナァ」と感心しますが、そんな藤波でも猪木との試合では逆に光らされてしまいました。ま、猪木は別格ですね。其れにしても「アルバトロス殺法」を仕掛ける為にトップロープに登ったキラー・カーンを「雪崩れ式ブレーンバスター」で逆に投げる時に、思いっきり藤波の背中を両手で支えているミスター高橋はヘボだナァ。
ピーターの大根役者振りは枚挙暇が無いのですけど、例の「長州顔面狙撃事件」もピーターが裁いているのよさ。前田が長州の顔面を背後から蹴った時に、ピーターは何をしていたのでしょう。久しぶりに観たら、長州が木戸にサソリ固めを掛けたのって自軍コーナーのすぐそばなのですよ。前田は、のんびりと反対側のコーナーから歩いて来るんです。普通ならレフェリーのピーターが止めますよね。ところが、何故かピーターは長州の顔を覗き込んでいて、全く前田が背後に来た事に気付いていません。そして前田が蹴った時に、ミスター高橋は顔を手で覆って逃げたのでした。完全なる職務怠慢です。
(小島藺子)