出演作:『暴れん坊ママ』全10話(フジテレビ系)
放映日:2007年10月16日〜12月18日(毎週火曜日 21:00〜21:54、初回10分拡大版)
平均視聴率 12.4%
映像作品:DVD「暴れん坊ママ DVD BOX」(ポニーキャニオン PCBC-61360)
2008年4月25日発売
2007年7月期の連ドラ「地獄の沙汰もヨメ次第」に続いて、10月期の連ドラ「暴れん坊ママ」にも片瀬那奈ちゃんは連投します。改変期の狭間にも単発ドラマやバラエティ番組へ絶え間なく出演し、翌年3月に放映される「いのちのいろえんぴつ」の撮影に北海道と東京を何度も往復し乍ら臨んでもおり、休む事なく「働く那奈ちゃん」振りを発揮しておりました。
「花輪倫子」は、主人公「川野あゆ(ウエッティ・上戸彩ちゃん)」と再婚した「哲(数字を持つ男!レイトン・モジャ公・大泉洋ちゃん)」が前妻「岩崎景子(あひるちゃん・紺野まひるさん)」との間にもうけた「佑樹(澁谷武尊クン:何気に「小早川伸木の恋」にも出演)」が編入した「さくらんぼ幼稚園」の「園ママ軍団」の一員です。父母会の「北条翠子会長=蓮くんママ(ともさかりえサン)」や「小南八重=さくらちゃんママ(山口紗弥加さん)」などと共に、新参者のあゆに意地悪をし追い出そうとします。てか、「小早川」とキャスティングが被り杉、、、いや、モジャ公がモテ杉、、、前妻があひるちゃんで後妻がウエッティって、「そんなの、あるわけないじゃん!」(9ちゃん声で)
「大輝くん(鏑木海智くん)ママ」である倫子(ちなみに読み方は「のりこ」ですが、此処では変換する時も呼ぶ時も「りんこ」です)は、エリート商社マンの夫(岡本光太郎さん)が仕事漬けで構ってくれないので、息子に過大な期待を寄せつつも、幼稚園の山口先生(向井理くん)に想いを寄せています。更に、北条会長の「デカ過ぎるコバンザメ」で「No.2」に甘んじている倫子は、会長選挙で敗れた過去があり、虎視眈々と下克上の機会を伺ってもいました。
一見すると「何故、こんなアホな息子を片瀬クンがお産みに成られたのかっ」と思われた大輝くんですが、サンタクロースの正体を知っていたり、母親が「パパよりも山口先生が好き」と見抜いているなど、実はなかなかの切れ者です。昼行灯を気取っていたのか、其れとも「もうママには大輝しかいないの」と倫子ママに抱きしめられた事で覚醒したのか、まさかまさかで難関有名進学校へ園内で唯ひとり見事に合格してしまいます。「合格の秘訣なんて無いから、困っちゃうのよぉ〜」と倫子ママが云ったのは、本心でしょう。あたくしも「ま、片瀬クンにハグされたら合格するわな」としか云えません。
機は敏なりとばかりに、息子の合格を境にして倫子ママの下克上が開始されます。自慢の息子がお受験全滅で傷心の北条会長を、正に傷口に塩を塗るが如く追い詰め、父母会主催のクリスマス会を自ら仕切り天下を穫ります。会長に虐げられて来たと勝手に思い込んだ積年の恨みから暴走は収まらず、合格した子供と不合格だった子供を差別して遊ばせようとまでするのです。息子の合格で頂点に立ったと確信した倫子ママは、夫の浮気疑惑など忘れ去り、想いを寄せていたはずの山口先生すら顎でこき使う高慢振りです。正に「俺様イズム炸裂」の無茶苦茶な「にわか女王」となった姿は、鬼気迫る熱演でした。しかし、明智光秀の三日天下さながらに、倫子ママの野望は真っ正面から受け止める北条会長と無邪気な子供たちによって頓挫し「あっ。」と云う間に元の「デカ過ぎるコバンザメ」に戻ってしまいます。されど、ガチンコで闘った北条会長とは心から信頼し合える関係となり、園ママ軍団の絆はより強く深まるのでした。めでたし、めでたし、、、ん?主役の話はどーしたって?何を云い出すのだね、君は。
「倫子ママが主役に決まってるでしょ」
「強きを助け弱きを挫く」精神を体現する花輪倫子を、片瀬クンは実に上手く演じました。園ママ軍団で最も「イヤな女」なはずなのに、やはりどこか憎めない愛らしさがあるのです。息子を溺愛する余り学芸会での小人役を一緒に練習する(名場面です!)に留まらず過剰な電飾衣装を着せてしまう等、走り出したら止まらないってトコが可愛いんだよナァ。謀反を起こすまでは黒い衣装で控えめにデカイ姿態を屈める様にオドオドしていたのに、天下を手中にしたと思ったら真っ赤な衣装でふんぞり返る「分り易い敵役スタイリング」もお見事です。ドラマ作品では、倫子ママ役が此の年のベストでしょう。
そして、息子役の鏑木海智くんが、これまた好い。アホな振りしてちゃっかり合格しちゃうし、卒園式での号泣する祐樹クンの肩越しで間抜け面で淡々と歌い続ける様は、完全に「主役の祐樹クンの懸命な泣きの演技」を破壊しまくっております。流石は「破壊女王の息子」だっ。「感情を押し殺した名演(単に何も考えていない様にも観えますが)をする大輝クン」と共に映ると「泣いてる祐樹クン」が「何をガキのくせしてオヤジ役のモジャ公みたいに臭い芝居をしてるんだよ、斜め後ろの大輝を観よっ!」と大根役者に見えて来て、感動すべき場面なのに爆笑してしまいました。海智くんは、ミクロちゃんが「愛する心太さん」に裏切られ自暴自棄になった時に「アカネ・スペシャル」を食べたくて幼い乍らも小銭を貯金し単身「ちゆき」に訪れ再起を促した事もあるのですよ。ミクロちゃん&エレナ様=倫子ママに抱かれた事が在る「トンデモな羨まし杉の神経歴を持つガキ」なのだよ。(←いや、だから其れ、違うドラマを混同してるから、、、。)
つーか、海智くんは翌年の舞台「フラガール」を観劇した際に、当然乍ら楽屋訪問をして片瀬クンと逢ったにも関わらず、其の後、我々一般人ファンと共に出待ちをしやがった「筋金入りの那奈莫迦」です。片瀬クンが車で去ってゆくまで、赤坂ACTシアター楽屋口付近から離れずにずっと待っていやがったのだよ。あんな天使の様な子供さえも虜にしてしまった「片瀬那奈の魔性」を、まざまざと見せつけられたものです。
「暴れん坊ママ」INDEX
(小島藺子/姫川未亜)