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2010年05月11日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 015「岡元めぐみ」

不機嫌なジーン DVD-BOX


 出演作:『不機嫌なジーン』第4話〜第7話(フジテレビ系)
 放映日:2005年2月7日〜2月28日(毎週月曜日 21:00〜21:54)平均視聴率 14.3%

 映像作品:DVD「不機嫌なジーン DVD BOX」
      (ポニーキャニオン PCBC-50720)2005年7月29日発売


女優復帰作「ラストクリスマス」に続いて、2クール連続で「月9」に片瀬那奈ちゃんは登板しました。とは云え今回はゲスト出演で、物語の中盤に登場し儚く消えてゆくのでした。正式にクレジットされたのは、4話、5話、7話ですが、6話にもノン・クレジットの回想シーンで登場します。

「岡元めぐみ」は、主人公ジーン(竹内結子さん)の恋人「白石健一(黄川田将也さん)」のかつての同級生です。健一が親に頼まれて注文した花を受取りに行った花屋さんで店員をしていて、偶然に再会します。其の後もバスの車中でこれまた偶然に出逢ったりして幼馴染みですので距離が縮まってゆき、多忙なジーンに逢えずに振り回されていると感じためぐみは健一に「あたしの方が白石クンに合っていると思う」と告白します。ところが、めぐみと健一がデートしている現場に居合わせたジーンを見掛けた健一は、在ろう事かめぐみを置き去りにしてジーンを追いかけるのでした。なな、なんと、岡元めぐみの出番は、分けも分らずに置き去りにされた(ジーンはめぐみを認識しているけど、めぐみは健一が追いかけたのがジーンだとは知りません)場面で終ってしまうのです。物語はいきなりだナァで数年後に飛び、果たしてめぐみが其の後どうなったかは全く描かれません。

「おいおい、噛ませ犬かよっ」

前作「ラストクリスマス」同様に、別に片瀬那奈ちゃんでなくとも構わない役柄でした。女優回帰した事を喧伝するには「月9」に連投は最上級の高待遇だったでしょう。でも、其れは顔見せにしか思えませんでした。此のドラマでの片瀬那奈ちゃんの出演場面が終った直後に、追い打ちをかける様に「歌手・片瀬那奈」の完全終了を意味するベスト盤「RELOADED」が発表されます。最早、退路無し。片瀬那奈ちゃんは、女優として生きてゆかねばならないのです。其れなのに、復帰後に演じた「藤澤律子」も「岡元めぐみ」も、余りにも期待はずれだった。もしも歌手活動専念で空白だった二年半も女優を継続していれば、片瀬那奈ちゃんは其れ也のポジションに居たと思えました。現に2005年の世界では、かつては手下役だったハセキョーや後輩のみーたんが堂々とゴールデンで主演を張って居たのです。此の侭、片瀬那奈ちゃんは消えてゆくのでありましょうかっ。ま、そんなわきゃーなかったんですけどね。次作から、いよいよ「待ってました」とばかりに片瀬クンは躍動し始めるのでした。

余談ですが、此の作品には「キッちゃん」こと吉瀬美智子さんも出ています。ジーンの眞の相手役である南原(内野聖陽さん)が自宅マンションに連れ込む女性役なのですが、空き巣被害に逢っていて帰ってしまうチョイ役です。南原教授に「こんな状況だから、今夜は帰ってくれ」と云われ去り際に「せんせい、あたし今度、女優になるんですぅ〜」って云うのですけど、2010年の視点から観ると預言の様で興味深いですね。


(小島藺子)



posted by 栗 at 01:07| ERENA | 更新情報をチェックする

「怪優・片瀬那奈・進化論」
中入りの陸:「2004」

EXTENDED (CCCD)


2004年は、片瀬那奈歴に於いて最も激動の時です。此の年の始めには、間違いなく片瀬那奈は歌手でした。冠イベントの「777」を開始してステージとDJを披露し、同時進行でカヴァー企画の「Extended」セッションを連続リリースしていました。ところが、7月の実演を最後に公的な音楽活動は途絶えます。

翌8月に「10月期『月9』ドラマで片瀬那奈が女優回帰!」との衝撃情報が明かされます。カヴァー路線は明らかに失敗だと感じていましたし、そもそもアイドル女優としての那奈ちゃんを好きになったのですから「女優回帰」は歓迎すべき事です。でも、僕たちは二年間も歌手としての那奈ちゃんを追い続け、其の新たな魅力の虜にもなっていました。

「歌手時代を経た片瀬那奈が再び演じる」のに過大な期待を寄せずにいられないのは、ファンとしては当然でしょう。復帰作は「月9」のレギュラーです。先を急げば翌2005年の1月期「月9」にもゲスト出演乍ら片瀬は連投します。申し分の無い復帰の舞台が整っていました。

なのに、僕は落胆した。復帰作の「ラストクリスマス」を観て、我が目を疑いました。二年半の不在はドラマ界に於いて、すっかり片瀬那奈を忘れ去るには充分すぎました。女優をつづけていれば片瀬が座っていたはずのポジションには、もう既に代わりがいました。第一期女優時代の積み重ねは無かった事になり、片瀬那奈は壱から出直すしかなかったのです。

其れでも、片瀬の歩んだ道は決して無駄ではありませんでした。おそらく、歌手活動に専念した「女優としては一見まわり道」と思えた期間が無ければ、其の後の「怪優・片瀬那奈」はいません。でも、其れは時が経って振り返り解った事です。2004年の終わりに、僕は只只、悔しかった。クリスマスに奇跡の復活を遂げた「歌手・片瀬那奈」最後の勇姿を観て、心の底から「那奈ちゃん、女優なんかいいから歌手をつづけてくれよ!」と叫びました。藤澤律子よりも「Shine」を歌った那奈ちゃんの方が、圧倒的に輝いていた。「次のライヴはいつですか?」と訊いたら、那奈ちゃんは申し訳なさそうに「それは、こちらに訊いて」と青うにょ師匠を観た。「なるほどね、もう歌手活動は無いんだナ、、、」と思うしかなかった。夢は終りました。

僕たちは、またしても片瀬那奈に置き去りにされたのです。


(小島藺子/姫川未亜)


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