出演作:『ラストクリスマス』全11話(フジテレビ系)
放映日:2004年10月11日〜12月20日
(毎週月曜日 21:00〜21:54、初回15分、最終回30分拡大)
平均視聴率 21.6 %
映像作品:ヴィデオ「ラストクリスマス」1〜6
(ポニーキャニオン V-045942〜045947)2005年4月20日発売
DVD「ラストクリスマス DVD BOX」
(ポニーキャニオン PCBC50699 )2005年4月20日発売
約二年間歌手活動に専念した片瀬那奈ちゃんは、2004年秋に女優回帰しました。「プリティガール」から二年半、歌手時代に例外的にゲスト出演した「こちら本池上署 2ndシーズン」第2話からでも壱年半、かくも長き沈黙を経て「女優・片瀬那奈」は復活したのです。其の舞台は「月9」のレギュラー出演!と此れ以上無い待遇で、正に華々しい凱旋に思えました。然して其処で片瀬那奈ちゃんが演じた「藤澤律子」は、「プリティガール」まで培った「第一期女優時代」の面影など欠片も無い「クールビューティー」な役柄でした。「女優回帰=歌手活動停止」が既成事実となる中で、再び「片瀬那奈のイメージ戦略」は完全なる方向転換を余儀なくされていました。「藤澤律子」を演じる傍らで、那奈ちゃんは「AUBE」のイメージ・キャラクターとして大量にメディア露出します。其れ等に共通するのは「大人っぽいお嬢様路線」でした。「三代目きれいなおねえさん」は、其の呼称に反して「おもしろいおねえさん」な片瀬クンの魅力を観る者に強く印象づけましたが、女優回帰した「新生・女優・片瀬那奈」は本当の「きれいなおねえさん」に成り下がってしまったのです。
藤澤律子は、主人公である春木(織田裕二さん)が勤務する会社に関わる新進気鋭の若手イラストレーターで、美大時代の同級生であるデザイン部門の日垣(玉木宏さん)と共に仕事をしています。日垣は学生時代から4年越しで律子に想いを寄せていますが、律子は死んでしまった恩師で婚約者を忘れられずに拒否して来ました。其れでも日垣の一途な求愛に心を動かし、目出度くカップルになるのですが、亡くなった婚約者が託したニューヨーク行きに再び心が揺れて、、、てな恋愛ドラマを主人公たちと共に彩ってゆきます。天下の「月9」ブランドにも翳りが見えていたので、夢よもういちどとばかりに「東京ラブストーリー」の主役やスタッフを総動員して描いたベタベタなラブストーリーは、思惑通りに高視聴率を記録しました。
2004年夏に片瀬那奈ちゃんが女優回帰すると知り、当然乍ら「荒木理恵子」のつづきをあたくしは求めていました。歌手時代のステージでも明るく愉快な那奈ちゃんは不滅でしたから、また楽しい演技を魅せてくれると信じて疑わなかった。なのに、其処に居たのは「別に那奈ちゃんじゃなくたって誰でも出来そうじゃん」としか思えない「藤澤律子」でした。しかも、一本気な性格の片瀬クンは歌手活動に専念した時と同じ様に「今後は女優に専念する」と平然と云い放ったのです。
「こんなつまんない役の為に、片瀬那奈は歌手をヤメるのかっ」底知れぬ怒りが込み上げて来ました。「片瀬那奈は一体どこまでファンの気持ちを踏みにじれば気が済むのだっ」と、「もう那奈ちゃんに振り回されるのは沢山だよっ」と、「てゆーか、こんなんじゃ片瀬那奈はおしまいじゃん!」と、長い那奈ヲタ歴で最大の危機的状況を迎えたのです。「あたくしが愛した片瀬那奈は、こんなもんじゃねーんだよっ」と荒ぶる想いに突き動かされ、PCに向かい「the diary of nana katase」を鬼の様に打ち込みました。2004年の終わりに、此処は突然、既に100記事を超えるブログとして公開されます。あたくしは「藤澤律子やAUBEが、那奈ちゃんのすべてではないのだ」と云いたかった。つまり、此処を創ったのは余りにも不甲斐ないと映った「藤澤律子」なのです。決して、那奈ちゃんの演技が稚拙だったわけでは在りません。逆に普通に上手く収まってしまったからこそ、あたくしは許せなかったのでしょう。此の路線でゆくと云うのなら、もう捨てられても構わないと思いました。「単なる美人女優」を求めて、那奈ちゃんを好きになったんじゃないんだ。折角満を持して女優回帰してくれたのに、此れじゃ悪夢じゃまいか。
(小島藺子/姫川未亜)