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2010年05月09日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 013「神崎今日子」

Shine/REVENGE〜未来(あす)への誓い〜(初回)(CCCD)(DVD付)


 出演作:『こちら本池上署 2ndシーズン』第2話「被害者の傷跡」(TBS系)
 放映日:2003年4月21日(月曜日 20:00〜20:54) 視聴率「17.1%」


片瀬那奈ちゃんが音楽活動に専念した時代に、例外として唯一出演したのが「こちら本池上署 2ndシーズン」第2話です。ドラマ主題歌「Shine」を「歌手・片瀬那奈」が担当していたがゆえのスペシャルな企画でした。普通なら俳優も歌手もこなせるタレントさんなら「当たり前田の誰が一番強いか決めたらええんやっ!」とばかりに「ドラマ出演&主題歌担当はお約束」なのですが、片瀬那奈ちゃんは頑固なので、相乗効果を呼ぶそんな美味しい企画に乗ったのは此れだけです。

歌手デビュー曲で在る「GALAXY」は、テレビ朝日系連続ドラマ「逮捕しちゃうぞ」のオープニングテーマ曲でした。主演は同僚の「みーたん&さっちん」ですから、当然の流れで那奈ちゃんのゲスト出演も期待されたのですが、何故かゲストはボブ・サップ!何ゆえ那奈ちゃん関連ドラマは、プロレスラーを起用しまくるのでありましょうかっ?そんなこんなで、歌手デビューから約半年後に、ようやく実現したのが「神崎今日子」です。其れは、たった壱度きりの「女優兼歌手・片瀬那奈」を観れる貴重な作品となりました。「神崎今日子」は、水野真紀さん演じる「麻衣」の娘「とも」が通う保育園の先生です。間近に結婚を控え、幸せいっぱいな今日子先生は、在る日突然にひったくり被害に逢い大切な婚約指輪を奪われてしまいます。心に大きな傷を負い婚約者にも理解されず悩む今日子先生を救う為に、本池上署の面々が活躍し事件を解決し、今日子先生も婚約者と和解してめでたしめでたしってな感じのお話です。

ドラマ自体はコメディタッチなのですが、被害者役を演じる片瀬那奈ちゃんは徹頭徹尾シリアスです。前作「プリティガール」で魅せた明るい姿は消え去り、壱年後に垣間見せたのは大人っぽい路線でした。別に「片瀬那奈でなければならない必然性」は、役柄からは感じられません。初代と三代目の「きれいなおねえさん共演作」としても記憶される作品ですが、以前とは明らかに違う那奈ちゃんの演技に戸惑いを感じました。「アイドル女優・片瀬那奈」は、荒木理恵子と共に去っていました。此処に居るのは「歌手・片瀬那奈」が主題歌を歌うがゆえにゲスト出演した姿です。そして、僕は此の直後に生まれて初めて片瀬那奈ちゃんと逢います。「アイドル女優・片瀬那奈」を愛して止まなかった僕の目前に現れたのは「歌手・片瀬那奈」でした。其の瞬間に、僕の心は「片瀬那奈を音楽家として認識」します。もう二度と「アイドル女優・片瀬那奈」には逢えないのだと、ハッキリと分りました。那奈ちゃんは、変わってしまったのです。


(姫川未亜/小島藺子)



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「怪優・片瀬那奈・進化論」
中入りの肆:「2002」

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


2002年は、今後もつづく長い「片瀬那奈歴」に於いて最初のエポック・メーキングとなった時でした。簡潔に云えば、片瀬那奈は其れまでの四年間で築き上げたグラビア・アイドルやアイドル女優のキャリアを捨てたのです。

「プリティガール」を最後に、唐突に片瀬は女優活動を休止しました。そして、其れは後になって解った事実です。「プリティガール」終了後の2002年の春に、これまた突然の「グラビア卒業宣言」が発せられます。そして、此の年限りで「きれいなおねえさん」も降板します。そんな不穏な動きの中で、女性向けファッション誌を飾る那奈ちゃんの姿を多く見掛ける様にもなりました。明らかに、那奈ちゃんが変わってゆく予感が在ったのです。

ハッキリ云っちゃうと、どんなにシークレットで進行していても、片瀬那奈が歌手デビュウするってのはファンには衆知の事実でした。問題は「歌手に専念する」なんてトンデモな事を企んでいるなんて、小指の先ほども想定していなかった事なのだよ。僕は「那奈ちゃんが歌もやるのか。そりゃ好いね!プロモとか楽しみだナァ」なんぞとお気楽に考えていました。イベントも沢山やりそうだって情報も得て、本人に逢えるかも?なんてウキウキ気分でいたのです。よもや、女優活動を休止してまで音楽活動に専念していたとは、、、。

2002年12月4日、片瀬那奈は歌手デビュウします。そして、其れは「女優・片瀬那奈の封印」をも意味していました。トリプルA面と云う破天荒なデビュウ盤を前にして、僕は底知れぬ怒りが込み上げて来るのを押さえ切れませんでした。確かに、那奈ちゃんが歌ってくれたのは嬉しかった。でも、だからって女優をヤメちゃうなんて有り得ないじゃん!「歌手活動をするので、グラビアや女優は休止して専念します」って、アノですね、そんな事をヌカして実行した芸能人なんて居ないっす。何を考えてんのよさ、片瀬クン!と叫びたいっ。ボキの大切な「グラビア・アイドル女優・那奈ちゃん」を返して下さいっ。

そんな那奈ヲタの勝手な期待を完全無欠に叩き潰して、片瀬那奈は音楽活動に専念してしまいました。こんな風にファンを置いてけぼりにする存在を、僕は初めてリアルタイムで体験したのです。「おいおい、此れってビートルズがライヴをヤメちゃったとかゆー感じなんじゃまいか?」とドキドキしてしまったのです。でも、其れは冗談半分なお遊び気分でも在りました。

「歌手専念とか分け分んない事を云ってないで、女優も併行して、普通にアイドルでいて頂戴!」ってのが本音でした。ズバリと云いますけど、当時の僕は那奈ちゃんに「音楽活動専念」なんて誇大妄想的な期待なんかしていなかったのです。アイドルの余技として歌も歌うって感じの、よく有りがちなお気楽な企画だと思っていました。だって、歌手デビュウ当時の片瀬那奈は21才ですよ。そんな崖っぷちに立つ様な「歌手専念宣言」なんてする必要がないじゃありませんか。多くのファンだって、おんなじ気持ちだったと思います。勝手に活動の場を完全に変えてしまったのですから、其れまでに培ったファンに対する明らかな裏切り行為です。なのに、片瀬那奈は我を通してやってしまいました。よくもまぁ、事務所が許したもんです。那奈ちゃんは、恵まれてるよ。そして、其れも才能です。


(小島藺子/姫川未亜)


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