あたくしは、貧乏人根性が抜けないのか、百円レコードを物色するのとおんなじ感覚で古本屋サンの店頭百円コーナーでマンガを買うのも楽しみのひとつにして居ます。
其れで、昨年末辺りからハマってしまったのが、土山しげる先生の名作「喰いしん坊! 」のコンビニ仕様スペシャル版(壱冊百円!)なのです。ズバリ云って、単行本全24巻を大人買いしようと思ってしまう位に面白いのですよっ。
此の作品を知ったのは「BUBKA」誌上での「土山しげる先生インタビュウ」です。でも、幾ら吉田豪ちゃんが絶賛しても自分で読まなきゃ面白さは分りません。そんな時に近くの古本屋サンの百円コーナーで「喰いしん坊!スペシャル」を発見し「ま、百円なら好いじゃん」とばかりに買って読んだら、もう面白いのなんのって、、、
簡単に云えば、此の作品は「大食いによるプロレス」が展開されてゆくのです。グルメ漫画は片瀬クンの出世作となった「鉄板少女アカネ!!」等、数多在りますが、此処まで単純明快な「プロレスとしてのフードファイト」を描いた作品は稀有でしょう。
例えば、主人公の「大原満太郎」が単身修行の旅に出て、彼を慕い弟子志願をする「空念」に対して、己の師とも云えライバルで在る「ハンター錠二」の素晴らしさを大真面目に語る場面が在ります。満太郎は云います、
「その男の食いっぷりは見事としか言い様がなかった
そして感動した!」
いえ、あの、其れはね好いんだけどさ、アンタ其れって「只の大食いじゃん!」なのよさ。単なる「大食い」なのにプロレス団体さながらの団体抗争や引き抜き合戦も繰り広げられ、日本統一戦の後には世界へ挑戦!って事になってですね、満太郎の前には次から次へと強力な対戦相手が現れるのです。「タイガーマスク」か「あしたのジョー」か「巨人の星」か?と思える「スポ魂!梶原一騎イズム爆裂」な展開なのですが、其の題材は「大食い」なのです。こんなにもクソ真面目で莫迦莫迦しい劇画は、久しぶりに読みましたよっ。だって、アンタ、満太郎は食いまくってるだけなんだもん。
あたくしがネット上で物書きを始めたのは「2002年6月」です。其の動機は「ナンシー関さんの突然の死去」でした。彼女と同世代のあたくしは「ナンシーがあたくしの云いたい事を全部ズバッと書いてくれてる」と信頼して居りました。なのにナンシーは逝ってしまった。あたくしは呆然となり「だったら、あたくしが書いてやるぅ!!」と決意したのでした。
ナンシー関さんはあたくしが文章を書く時に、常に目指すべき師匠です。「プロレスラーになってはくれないか」等、継承させて頂いたフレーズも多々あります。きっと「ナンシーが生きて居たら、片瀬クンを見逃すわけがない!」との思いが、あたくしには在るのです。
此の作品も、ナンシーに読んで欲しかった。「大食い」や「プロレス」への造詣の深さにも定評が在った彼女なら、きっと絶賛したでしょう。兎に角、万人に読んで欲しいです。特に「片瀬クンのファン」なら、大爆笑間違い無し!の痛快娯楽漫画ですよっ。
実写化の際には、是非とも主人公「大原満太郎」をお約束で「女性」に変えてですね、
「片瀬クン主演で、お願い致しますっ!!」
となるとだ、当然乍ら役名は「おおはらまん、」
未亜:姐御、「云わせねーよっ!」
(小島藺子/姫川未亜)
PS.
で、ナンシー亡き現在、あたくしが影響を受けて居るのは、
「中村うさぎ」先生と「辛酸なめ子」さんです。
(小島藺子)