2009年の洋楽シーンをリードしてくれたのは、夭折したマイコーと20余年振りにリマスターを発表したビートルズで在りました。此れは歴史的な事実として後世まで語り継がれるでしょう。CDの売り上げは勿論、書店の音楽コーナーへ行ってもビートルズとマイコーだらけです。マイコーは詳しく無いので分りませんけど、ビートルズに関しては此れまで出版された書籍のほとんど全てが新装改訂版で出版されたのではないか?と思える程です。ほとんどがリマスター便乗商法でしか無いと思いつつも何冊も買ってしまった中で、個人的には「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版」と「ビートルソングス 新装版」が意義の在る改訂版だと思いました。今後の「FAB4」連載再開時には、お世話になる資料となるでしょう。
さて、今宵はNHKサマが其のマイコーとビートルズの貴重な特番の再放送をぶっ通しで二時間強もやって下さって居ります。此れは素晴らしい!マイコーの方は、軌跡を辿りつつも多くのPVを完全ノーカットで流し続けるって構成です。此れで好いのだ。音楽家を紹介する番組は、音楽家が演奏し歌って居る処を流せば其れで好いのだ。晩年はスキャンダラスな側面ばかりが取り上げられたマイコーだけど、こうしてみっちりと壱時間に渡って彼のパフォーマンスを観れば、矢張り稀代の天才芸術家だと思い知らされます。
そして、真打ちビートルズです。此れは、すぎょいです。冒頭にNHKが足したイントロが在りましたけど其れは御愛嬌として、BBC制作の「THE BEATLES Reborn」をフルで放送してくれたわけですよ。此れはもう再放送じゃないじゃん!壱時間で駆け抜けるアンソロジーで、リマスター盤にもオマケで入った映像の完全版です。音声は当然2009リマスターになって居ますが、其れ以上に驚くべきは映像の美しさです。長年ビートルズを観て来ましたから観た事の無い映像ってのは少なくなってゆくのですが、此処に来て画像が明らかに鮮明になるとは、、、此の画質でのPV集や待望の映画「LET IT BE」を期待せずには居られません。
たったの60分では満足なんか出来ませんが、ガイドとしてなら完璧な出来映えです。朝までレコードやDVDを満喫せねばならなくなってしまいました。アップルは、未だ未だ持ってますね。あたくしが生きて居る間に全部公開される事は、おそらく無いでしょう。だって、ジョンは最初のCDすら聴いて無いのですから。でも、其れが芸術です。此処で続けて居る片瀬那奈さんの記録も、其の欠片でも好いのでそんな風になれたら幸いです。少なくともあたくしは、此処を書く事も芸術活動だと思って居ます。
(小島藺子)