Lyrics:Natsumi Watanabe
Music:Kazuhiro Hara
Arrangement:Manao Dai
品番:AVCD-30532/B、AVCD-30533
発売日:2003年10月16日(オリコン最高位20位)
ブルボン「クリオス」CMイメージソング
「Necessary / EVERY***」の初回限定盤には通例通りにDVDが付きましたが、其の内容は以前の同仕様シングル「Babe」及び「Shine / REVENGE〜未来への誓い〜」とは違い、新曲「Necessary」の完全版PV、片瀬のインタビュー、更にはシークレット・トラックとしてのライヴ映像までもが収録された豪華版でした。過去のシングルには前作シングル曲の不完全なPVが収録されたDVDが付き、不評でしたから改善したのでしょう。
其の仕様は、アルバム「TELEPATHY」初回盤DVDの内容を踏襲したモノですが、片やアルバムでこちらはシングルですので、正に出血大サービスです。但し、新曲のPVが完全版で付属された事実は「えっ、次のシングルもしくはアルバムはどーするの?」と、いえ、もっとハッキリ云えば「おいおい、此れでお終いって事ですか?」との疑念を抱かせました。其の危惧は現実となり、結局「後から全然、もっと凄いのが出てきそうだから」と満点の「5マブ」評価を敢えて避けた「同志・宇多丸」や多くの那奈ヲタの願いは虚しくも散り、第一期歌手時代は事実上は「Necessary / EVERY***」で終りました。
勿論、其の後の「カヴァー路線」を全否定するわけでは在りません。でもね、カヴァーで終ってしまったのが問題なのだよ。「Necessary / EVERY***」で到達した世界は、正に前人未到の「片瀬那奈にしか成し得なかった新たなる音楽世界」だったのです。カヴァー路線はあくまでも企画モノで、同時期に始まった衝撃の「DJ:NANA」をも含む「片瀬那奈のオリジナル作品」こそが求められていたっ!此の苦言は、今後の連載後半で繰り返し出て来ますので、今回は此の辺でお開きって事で、「Necessary」完全版PVを語りましょう。
片瀬那奈の楽曲人気投票で首位を獲得した「Necessary」ですが、其の要因のひとつに此のPVが在ります。個人的にも、片瀬のPVで壱番好きな作品は此れです。片瀬自身が「ほとんどグリーンバック背景の撮影で、丸一日掛かった」と語った此のPVは、ひと言で云えば「片瀬那奈ちゃん万華鏡」です。CG処理された片瀬尽くしの映像に「生まれて来て好かったっ!御本尊様、ははぁ〜っ!」と平伏し拝んだ者もいたでしょう。此のPVが何故に素晴らしいのか?其の答えは簡潔に云えます。其れは「其処に片瀬那奈が居る」からなのです。
如何なる演技や演出をも超える、圧倒的な「片瀬那奈の存在感」が此処に在ります。此のPVには、片瀬那奈しか居ないのです。3分43秒間、映像は只ひたすらに片瀬那奈を映し続けます。画面の片瀬は、其れを観る者に何かを訴えかけ続けるのです。其の何かとは「Necessary」です。「必要なんだ、君が」と歌われる楽曲のPVとして片瀬が創ったのは、「観る人があたしの必要な人なんだよ」と云う単純明快な作品でした。こんなモンを提示されて歓喜しないファンは皆無です。
「自宅を模した様な空間で夢想する片瀬那奈が、カラフルな世界で受け手を見つめ乍ら躍動し、再び現実世界で眠りにつく」だけの「Necessary」PVこそが、片瀬那奈の魅力を大いに伝えます。此処に居るのは、かなり「素に近い、僕らの那奈ちゃん」です。其の豊かな表情と活き活きとした振る舞いに、僕らは魅了されたんだよ。「那奈ちゃんには邪気が無い!那奈ちゃんは作り物なんかじゃなく、何か大切な気持ちを伝えているんだ」と勝手に夢想した連中には、此の映像を観る時に「やっぱり、那奈ちゃんだっ!」と共鳴せざるを得ないのです。
「クリオス」CMソングなのに、ラヂヲ生放送でファンが差し入れした其れを出された際に「チョコはあんまり好きじゃないので、、、(遠慮します)」と云った「莫迦正直な那奈ちゃん(シュガーちゃんの「おい、片瀬っ!莫迦かおまえは?黙って食えよっ!!美味しいって嘘でもいいから云ってくれよぉっ!」と云いたいのに「仕方無いナァ、片瀬は」と愛情溢れる莫迦苦笑いをした表情も、忘れられませんよっ!)」が、確かに記録されている貴重なPVです。楽曲ランキングでは首位には挙げなくとも、PVランキングなら文句無しに推しますよっ。此れが「僕らの那奈ちゃん」だと、万人に喧伝出来る作品のひとつが「Necessary」PVです。
(小島藺子/姫川未亜)