Lyrics:rom△ntic high
Music:Kazuhiro Hara
Arrangement:Manao Dai
Mix:Dave Ford
Programming:Manao Dai
Chorus:Junko Hirotani , Kumi Sasaki , Bang!
品番:AVCD-17291/B、AVCD-17292(アルバム「TELEPATHY」01)
発売日:2003年6月25日(オリコン最高位17位)
アルバム「TELEPATHY」の冒頭を飾り、片瀬那奈の実演でもオープニング・ナンバーの定番として披露された楽曲です。初回盤付属DVDに収録された片瀬那奈本人による解説に依れば、此の楽曲は録音順では「TELEPATHY SESSIONS」の最終段階で創られたとの事です。作家陣のデータを見ても、確かにアルバム発売前に先行した三枚のシングルに関わった方々が総動員されていますので、此のセッションの集大成とも云える濃密な「片瀬那奈の音楽」をアルバムの最初で大いに示す役割を果たしています。
作曲は「Babe」の原一博サンですが、作風としては「Babe」の様に明確にお手本とした洋楽曲(「Babe」の場合は「Love At First Sight」)をカヴァーに近い状態で「ヒッパレ」するのでは無く、次作シングル曲で片瀬の楽曲でも最も人気が高い「Necessary」を予感させる「異なったリズムやメロディーを持つ二曲を合体させた」様な「一人:レノン・マッカートニー」的な合作感覚の不可思議な魅力を持つ楽曲になっています。おそらく、原サン本来の作風は此の楽曲の様な「自由奔放」な曲なんだと思います。其れは「和製カイリー路線だから」との縛りを受けて書いた「Babe」のサビでの開放感(歌詞も「だから、1,2,3!」と「いきなりだナァ」になる部分)にも「ベーシック反復リズム」から逸脱しようとした抵抗が見えます。だからこそ原サンは「Babe」を「自分が書いた最高傑作!」と自画自賛したのでしょう。確かに「Babe」と「Love At First Sight」は、似て非なる楽曲なのです。
原サンが片瀬に提供した楽曲に共通する「ラップに近い様な単調なAメロ」から「メロディアスなBメロ」へと突然に変換する「万華鏡の様な複雑怪奇な展開」を魅せる楽曲の中で、最も革新的と云うか無茶苦茶な事をやらかしたのが此の「Change this World」でしょう。此れは、最初の「重厚なコーラス部分」と、次の「片瀬の語りに近い単調なAメロ」、そして「唐突に盛り上がるサビ」、と「まるで違う三曲を繋ぎ合わせた」かの様な摩訶不思議な展開を魅せる楽曲なのです。そうです、其の通りです。THE BEATLES や THE BEACH BOYS 等を愛するあたくしには「堪らない楽曲展開」なんですよ。
そして、Dave Ford がアルバム13曲中8曲をミックスしていますが、其れは「1〜3、6〜9、12」です。前述の通り、あたくしは此の作品を「全11曲+ボーナス・トラック2曲」と考えています。前半3曲と中盤から終盤近くまでの4曲を統一したミックスで聴かせる自然な流れが、此の作品の統一性を大きく支えています。
此の楽曲から始まるアルバム「TELEPATHY」は、トータル・アルバムです。明確なテーマが在り、統一された質感で、しかも多様な音楽が奏でられてゆきます。其の冒頭に配するには「Change this World」は絶妙でした。曲構成も目紛しく変わり、壱曲で此れから始まる世界を紹介してもいます。タイトルに偽り無く「あたしは此の世界を変える」と、片瀬那奈は高らかに宣言したのです。「無理矢理でも強引でも構わない。セオリーなんか抜きで、自由自在に歌えっ!」と、思わずあたくしは昂揚しました。「明らかに、女優の余技では無い!」と確信しました。
ハッキリ云いましょう。あたくしは、当初、片瀬那奈の音楽活動をナメていました。「単なるファン・サービス」と思っていたのです。其れがダンダンダン!と気持ちが変わり、遂にアルバム「TELEPATHY」に到った時には「那奈ちゃん、正直すまんかった!」と懺悔したのでした。片瀬那奈は「本気」だったのです。そう、いつもいつだって、彼女は「真剣」でした。僕たちは何度も油断して斬られたのです。でも、其の度に「峰打ちだよ☆」と彼女は云った。でもね、那奈ちゃん、僕たちも気付いたのよさ。「だったら、ファンも、真剣勝負しなきゃならんでしょ?」ってね。
(小島藺子)