Lyrics:NANA KATASE
Music:Seikou Nagaoka
Arrangement:Seikou Nagaoka
品番:AVCD-30408
発売日:2002年12月4日
テレビ東京系アニメ「ヒカルの碁」オープニング・テーマ
(第六十一局〜第七十五局=最終回)
三つ目のデビュー曲「FANTASY」は、前述の「TV Version(所謂ひとつのワン・ハーフ)」の完全版ですが、単に長くしたのでは無くエンディング等も異なるロング・ヴァージョンで発売されました。更に、後に発売されるアルバムでは唯一此の楽曲だけがシングル・ヴァージョンとは異なるミックスで収録されます。
つまり、2005年にシングル集「Reloaded」に収録されるまで此の曲のシングル・ヴァージョンは、「ヒカルの碁」のサントラ盤や avex のアニメ関連曲コンピ盤に収録された事は在ったものの、完全なる「片瀬アルバム未収録シングル限定曲」だったのです。シングル集「Reloaded」には当然乍らリミックスを除く全シングル曲が収められましたが、オマケを除く全12曲中、なな、なんと半数近くの5曲が「アルバム初収録」でした。其れだけでも、THE BEATLES 並みの快挙です。(ま、ファンは音源以外で楽しい遊びも出来る仕掛けになってて、沢山のCCCDを買ったわけだが)。しかも「Reloaded」は、片瀬にとって初の「CD(CDDA)」作品でも在りました。「Reloaded」の市販盤は、「第一期・片瀬音源」で「CCCDでは無かった」唯一の作品です。ま、其れに関しては後にじっくりと書かせて頂きます。
さて、片瀬那奈の三曲に及ぶデビュー曲で、此の「FANTASY」は異彩を放っています。他の二曲はマイナー進行ですが、此れだけメジャー進行の明るい楽曲なのです。「GALAXY」は、基本的には「Am、Dm、E7」の、所謂ひとつの「演歌コード進行」なのですよ。つまり「GALAXY 」のオケで大抵の演歌は歌えちゃったりもするのです。あたくしは其の事実を、かつて「圭子の夢は夜ひらく」をウクレレで弾き語りしていて偶然に気付き驚愕しました。「あれれ、那奈ちゃんが歌ってるのって、カイリーじゃなくって演歌じゃん!」って分ってしまったのですよ。同じく「TELEPATHY」も基本的には「Am、Dm、E7」で弾けます。演歌で多用される「3コード」ですが、元々は「ブルース・コード」でも在ります。されど、片瀬那奈の「GALAXY」と「TELEPATHY」へ其のコード進行が使われたのは明らかに「演歌」の影響下に在ると思います。「片瀬はカイリーのパクリだ」なんて世迷い言をヌカした連中は、おそらく楽器が弾けないんだと思いました。少なくともコードを知らないんでしょう。だから「ホウイチ」って呼ぶのよさ。
つまりね、元ネタだって云われたカイリーが「演歌」に影響されちゃってた可能性も大いに在るのよさ。テイ・トーワとのコラボが、カイリー側からのオファーだってのは「事実」ですからね。エレクトリック・新生・カイリーは十二分に「ニッポン」をも意識していたのです。もっと大昔の話をすればだ、ジョン・レノンは引退時期の1970年代後半に毎年半年位は嫁(ヨーコさん)の祖国で在る日本に滞在して居たのだけど、TVで音楽番組を観てて唯一興味を持ったのが「演歌」だったのです。生きてたら「演歌」みたいな曲もやったと思うぞ。「カイリーと片瀬は似てる」ってのは入り口なの。其処からが面白いわけさ。何で似てるのか?って探ると、本当は全然違うのよさ。大体、カイリーだって「マドンナの模倣」じゃん。マドンナだって「先達の模倣」なのよさ。眞なるオリジナルなんて無いんですよ。
底抜け脱線しましたけど、此の「FANTASY」はデビュー三曲中で最も「古参ファン」にも受け入れ易かった楽曲でした。実演でも定番曲のひとつで「ライダー・キックで靴を片方飛ばしちゃった事件(@ 六本木 Velfarre)」とか「ちいさな女の子の為だけにしゃがみ込んで一緒に歌っちゃいました事件(@ 日本工業大学)」とか「おそらくあたくしが体験した実演で、壱番近い場所(ディスコのお立ち台)から歌ってくれました事件(@ 名古屋 cafe abime)」とか、もう「想い出がいっぱい」に「水」の流れの如く目くるめき、未だに振り付けも覚えている位に毎回盛り上がった楽曲です。痴呆の如く盛り上がる那奈ヲタどもの姿は、映像版「Reloaded」に遺されております、、、あたくし?だからぁ、あたくしは毎回、最前列ど真ん中に居たわよ。
きっと、2002年の僕たちが望んでいたのは「FANTASY」の那奈ちゃんだったのでしょう。「GALAXY / TELEPATHY」での「赤や銀のレザー姿」の那奈ちゃんは、確かに格好良かった。でも、僕たちが2001年まで好きだった那奈ちゃんは「ピンクのつなぎを着た歌のおねえさんみたいな底抜けに明るい那奈ちゃん」でした。「FANTASY」を歌った瞬間に、那奈ちゃんが演じていたドラマの女の子たちが、確かに其処に存在したのです。此の楽曲が在った事で踏みとどまったファンも多かったでしょう。分りやすいポップスを、敢えて忍び込ませたのは成功でした。しかも其れは人気アニメの主題歌でも在ったのです。チビッコも「FANTASY」なら歌い踊れたのです。
衣装替えして、ライダー・キックで飛び出して、片方のシューズを飛ばしちゃって「こっちも脱いじゃえっ!」って裸足で歌った那奈ちゃんを、僕は忘れない。次の実演では「今日は脱げなかったよ!」って云って笑った那奈ちゃんを、心底、愛おしいと思った。僕はようやく其の時に「アノ伝説のデビューは、少なくとも那奈ちゃんにとっては本当にアクシデントでハプニングだったんだっ!」と確信出来ました。御免ね、其れまで僕は五年近く疑っていたんだよ。「アレはヤラセだったんじゃまいか?だって、あのハプニングで片瀬那奈は世に出たんだぞ。あたくしだって、東スポにカラーで載ったから知ったわけじゃん!」とね。でも、そうじゃなかったんだよ。本当に奇跡的な事故だったんだよ。「嗚呼、全部ガチだったのかっ!コノコは真摯だ。片瀬那奈は、全面的に信頼して好いって事じゃん!そんなのって他に居ないだろ?でも、なんて強いコなんだ?」って思った。其の瞬間に、片瀬那奈は高らかに此の曲を目の前で歌って居た。余りにもポジティブな自作のコトノハを、老若男女すべてに向けて確信を持って、輝く笑顔で歌い踊ったんだ。
ねぇ、那奈ちゃん。君が歌いかけたアノ時の少女は、今でも那奈ちゃんファンだってさ。アノコはアノ日に生まれて初めて生で音楽を聴いたんだよ。其れで、数ヶ月後に自分で貯めたお金で生まれて初めて自分の意志で、君のCDを買ったんだってさ。アノコは未だ幼稚園児だったんだよ。きっと彼女はアノ日の君を一生忘れず、永遠に君を愛し憧れて生きてゆくんだろうね。そんな逸話は、幾らでも在るよ。那奈ちゃん、君の「幻想」は「現実」になるんだよ。僕は、其れを「只観て来ただけ」かもしれない。けれど、こうして伝える事くらいは出来るのさ。「本当にあったカタセ話」を、僕は遺す。確かに此処は「虚構ブログ」です。されど、僕が記録している「片瀬那奈に関する話」だけは全部「事実」と「真実」の積み重ねなのです。
片瀬那奈が満を持して発表した音楽作品は、物理的に不可能な「三面A面」でなければならなかった。前述の通り、プロモ段階では「FANTASY」は収録されていなかった。もしもデビュー盤が「GALAXY / TELEPATHY」だったなら、当然乍ら其の後の展開は全く違っていました。ハッキリ云いましょう。「FANTASY」こそが「片瀬那奈の歌手デビューまでの歴史を俯瞰出来る楽曲」です。何故、片瀬は「歌のおねえさん」みたいな格好で此の曲を歌ったのか?あたくしは、当時はよく分らなかった。其れまでの「レザー姿」や「ミニスカ姿」とのギャップに、多いに戸惑った。「おいおい、那奈ちゃん、最後はマンガかよ?」と「売りの脚を隠してどーすんの?」と「クラブでピンポンパン!で客が退いてるぞ、、、やっちまったよ、片瀬クン!」と。いえ、マジで「六本木 Velfarre」に登場し歌い踊るスタイリングとして明らかに場違いでした。正に後の「美月うらら姫」がクラブに迷い込んだ様な「強烈な違和感」が在ったのです。
でも那奈年を経た今では、かなり解明出来ました。本当に「すべてひとつにつながっていく」のです。片瀬那奈を探究して生きる事は「幸福」です。何故なら、必ず「謎」は解けるからです。全て、理にかなうのです。其れは、即ち、片瀬那奈が「真実しか語らない」からなのです。其の発言や活動にブレも嘘も無いのです。其の余りにも真摯な「片瀬理論」を万人へ向け分りやすく提示したのが、此の名曲「FANTASY」です。是非、じっくりと歌詞も聴いて下さい。きっと「片瀬那奈ちゃんのファンで居て好かった!」と思えます。挫けそうになったら、「FANTASY」ですよっ。如何なるクスリよりも、効きますよ。
(小島藺子/姫川未亜)