1980年代、いや、先日しょこたんが「マッハの早さで土下座」した様に、現在でも尚、松田聖子はアイドル歌謡界の「太陽」です。松田聖子は、同じソニーの偉大なる先輩である「山口百恵」のアンチテーゼとして登場しました。百恵ちゃんが陰の在る菩薩で在ったが為、聖子ちゃんはひたすらに明るい太陽となり輝いたのです。
さて、此の章のヒロインで在る「中森明菜」は、其の「太陽:松田聖子」のアンチテーゼとして生きる運命に在りました。但し、聖子ちゃんが「菩薩:百恵」を彼女の引退による不在から払拭出来たのに対し、「月」である明菜は同時代を生きるがゆえに常に「太陽」を意識し、己だけでは輝けない不幸が在ったのです。
象徴的な事件は所謂ひとつのスキャンダルにまで及びました。誰もが認めて居た明菜の恋人で在ったマッチと、聖子はNYで密会したのです。其の後の不幸過ぎる展開は、皆さん御存知でしょう。
中森明菜の歌唱には、未だ20代前半の頃から「情念」が感じられました。片瀬那奈がカヴァーするには、少々荷が重過ぎたと思います。特に「TANGO NOIR」は、完全に明菜の圧勝です。
果敢なる挑戦だったと云うことは評価出来ますが、何故、明菜を二曲も歌わせたのか?其の理由は制作者サイドに立てば此れまでの考察の通りで理解出来ます。しかしながら、聴き手の立場としての私には、分りかねます。
(つづく)
【予告】
次回で、此の章はおしまいです。其の後は、遂に最終章です。お楽しみに。
(小島藺子/姫川未亜)