
あたくしは、エリカ様を偶然に間近で観たことが在ります。其の時は御本尊様を待っていたので「あら、沢尻エリカじゃないの〜、ツンデレね〜」くらいな感想しか在りませんでした。でも、なんとなく映画やドラマを観ていたら、其の圧倒的な演技力に泣かされてしまったのです。「此のコいいじゃん」ではなく、「あたし、好いだろ?」と云われ「はい、素敵です」と屈服させられたのでした。
東京都現代美術館は、あたくしの住まいの近所に在ります。其れ故に、逆にいつでも行けると思っている内にお目当ての展示会が終わっていたりするのです。されど、やはりエリカ様だけは観ておかなければいけないと足を運びました。
ポップアートは「なんじゃこりゃ?」とか「だからどーした?」で片付けられちゃう作品も多いと思います。「Space For Your Future」も典型的な「現代美術」が連なる空間で、30年前と何ら構造的には変化が無いと思えました。ところが、壁一面に百人の沢尻エリカがいる空間に入った時、あたくしは身動きが取れなくなってしまったのです。暫し、其の場から離れることが出来ませんでした。そして、其の前の作品のことをすべて忘れ、其の後の作品は素通りしてしまったのです。
被写体としての圧倒的な才能に、またしても強制的に「好きにならずにいられない」状態にさせられました。沢尻エリカは、天才です。20日で終わってしまう此の展示会ですが、未だ間に合います。「100 ERIKAS」を観る為だけに行っても決して損はしません。いえ、はっきり云いましょう。アレを観ずしてナニを観るのだ?
(小島藺子)