きょうは、イコおねえちゃんとうっぴーさんといっしょに「片瀬那奈ちゃんのえいが」をみました。「きみにしかきこえない」とゆーえいがです。えいがをみて、おねえちゃんはないていた。ぼくもないた。
それで、おわったのにおねえちゃんもうっぴーさんもかえらないから、ぼくは
「はは〜ん、デマチだな」とおもいました。すると、おねえちゃんが「かみさま」とよんでいるひとがいた。おねえちゃんは「くりぼう、コイツが、かみさまなんだぞ。あくしゅしてもらいなさい」といった。かみさまは「にかいめのあいさつをみない?ダメですね。じょうしきはずれなぼうきょだ。それでよく『ゼンキロ』のかんりにんをやってますね、テケツのかいかたもおせーたでしょ?」と、おねえちゃんをしかっていました。ぼくはおびえた。だって、片瀬那奈ちゃんのことでおねえちゃんにさからったらたいへんなんだもん。このかみさまは、なぐられるとおもいました。
なのに、おねえちゃんは「すいません、せんぱい、たいどでかくて、ホントすいません、おっしゃるとーりです、あたしがバカですた」などとひらあやまりしていて、ぼくはしんそこ、ビックリした。よのなかには、まだまだ、ぼくがしらないせかいがまっている。
ぼくとおねえちゃんとうっぴーさんは、さいしょのかいをみて「デマチ」にいった。すると、はいごから「いよぉっ!くりぼう」というこえがした。ごぞんじ「すぽにちくん」である。すぽにちくんは、ひとりぽっちできていた。いつもはパパやママやめしつかいのひととくるのに、きょうは「ひとりぽっち」できていました。
「くりぼう、おまえなんでここにいるんだよぉ?」というから「片瀬那奈ちゃんをまっているんだっ!」っていってやった。そしたら「ふ〜ん、そっか」といった。なんだよ、こいつ。
にかいめもさんかした「かみさまたち」がおりてきて、ばがあったまってきた。すると、いきなりろじからくるまがでてきて、うっぴーさんが「あっ。」といった。おねえちゃんも「あ〜ら、じょしマネちゃんぢゃないの〜」とはがんいっしょうして、くるまをおいかけた。でも、そこはちゅうしゃじょうのいりぐちだったので、じょしマネちゃんはもういちどやりなおさなければならなくって、そんなことをしらないシュガー・チーフがビシッとスーツででてきて、くるまがないのであわててケータイでどなりますた。
じょしマネちゃんは、わるくないので、しからないでね。
くるまはとーぜんすぐやってきて、片瀬那奈ちゃんが、カラフルなワンピすがたでやってきた。ベージュのハットをかぶっていた。それで、むこうがわからのってしまった。まわりには「こいでくん」めあてのおんなのこや「りこりこ」めあてのおとこのこでいっぱいだった。でも、みんな、まぢかで那奈ちゃんをみて「きゃー、ちょーかわいー」などとさけんでいた。これじゃ、きょうはここまでだよね。
それでも、片瀬那奈ちゃんは、はんたいがわでじっとしていたおねえちゃんやうっぴーさんをみつけた。こっちがわまできて、じぶんでまどをあけた。そして、まんめんのえがおで、おねえちゃんをみた。ぼくもみた。うっぴーさんもみた。そして、てをふった。しっかりと、めをみて、ずっとてをふってさっていった。おねえちゃんは、また、ないていた。そして、ぼそっと、「えいがよりかんどうした」といった。
「デマチ」のみりょくは、ぼくにもわかってきた。だって、ぶたいあいさつのときより、さいごにみた那奈ちゃんのほうが、ずっとずっと、かわいくって、きれいだったもん。
ふとみると、すぽにちくんもそこにきていた。ぼくは「こいでくんのデマチ?ぼくらは、もうかえるよ」といった。すぽにちくんは、だまってついてきた。しばらくして、おねえちゃんが「あら、すぽにちくんじゃない、どーしたの?こいでくんはいいの?」とひやかしはじめた。
「もう、おめあてのひとはかえったからな」と、かれはてれくさそうにいった。
片瀬那奈ちゃんは、ぼくたちのかみさまです。だから、すぽにちくん、もう、「きみはひとりじゃない」んだよ。ぼくがいる。おねえちゃんもいる。おじさんもいる。いいね、「もう、けっしてきみをひとりぽっちにはしないよ」ぼくは片瀬那奈ちゃんにちかって、そういう。
「みんな、ひとりぽっちなんかぢゃないんだ」
初出「COPY CONTROL」 (くりぼう)