2004年の片瀬那奈は、冠イベント「NANA KATASE WEEKEND FEVER777 Vol.1」(2/6 @ 六本木 Velfarre)で新たな試みをスタートしました。片瀬那奈の「ライヴ」と「DJ」が観れる画期的なイベントは、マンスリーで開催されるはずでした。Vol.1 では、発売に一ヶ月以上も先駆けて「ミ・アモーレ」が披露されましたが、その肌の露出の多い衣装に「片瀬那奈の本気度」が現れていました。自らブースに入っての「DJプレイ」も、ヲタには理解不能な展開だったかもしれませんが、彼女の音楽志向からは当然の流れでした。このイベントが半年くらい継続されていたなら「きっと何かが生まれていた」と、未だに悔やまれます。と言うのは、鳴りもの入りで始まったこのイベントが、たったの三回で終了を余儀なくされたからです。
イベントが不評だったわけではなく、運悪く常設会場として予定していた「六本木 Velfarre」の改装工事が3月下旬から始まったのです。カヴァー企画であるシングル「ミ・アモーレ」(3/10発売)「禁断のテレパシー」(3/31発売)、そしてミニアルバム「EXTENDED」(4/21発売)の連続リリースを前に、肝心の月一イベントが頓挫(結局、3/5と3/6の六本木〜名古屋での、Vol.2、Vol.3で打ち止め)すると言う「最悪なプロモーション展開」でした。
このシングル二枚は価格を下げた分、タイトル曲とそのリミックスとカラオケしか収録されず、名物の多種レーベルや初回特典盤などもない「那奈ヲタを舐めた仕様」でした。その結果、セールスは上向くどころか「トップ40」に入るのが精一杯と言う「何の為の方向転換だったんだっ!!」なトンデモ展開になります。カヴァーであっても、片瀬那奈の音楽性は充分に出ていたのですが、やはり今更カヴァーでは「ニーズ」がなかった。ファンは「TELEPATHY」で、既に目覚めてしまっていたのです。
ミニアルバムは、お得意の「3パターン・ピクチャーレーベル封入り初回限定DVD付き」と「ジャケット&ピクチャーレーベル違いの通常盤初回生産盤」で登場しました。この戦略は、以前「那奈ヲタの良心・アンテツあにい(既婚)」と話したことがありますけど、明らかに間違っています。3種でも300種でもいくらでも出すのは結構だけど、中味が分っていれば那奈ヲタは勿論、ソフトな片瀬那奈ファンですら確実に「全種を購入」します。音源もジャケットも同じで、単にピクチャーレーベルだけが違うものを集める為に「トレカもどき」の販売方法を取るのは、如何なものか?余談ですが、中古店やオークションで片瀬に限らずこうした商品の「肝心な部分」を売りにしないのは、全くもって戴けませんね。「中味はこのレーベルですよ」と明かせば、絶対に現状よりも売れます。何故、そんな単純なことを誰もやらんのだ?
そんなこんなで起死回生のカヴァー企画は、ミニアルバムも24位止まりと「ファン拡大」を狙った志とは正反対の結果となりました。冠イベントを失った片瀬那奈は、それでもライヴを続行しますが(そしてその完成度は高まっていったのですが)、夏を迎えて「月9での女優復帰」が発表されます。片瀬那奈の性格からいって「女優に還る」ということは「歌手を休止する」とイコールであるのは、長年彼女を追って来たヲタには「瞬時で理解出来る」ことでした。
2004年秋「ラストクリスマス」で女優復帰を果たした片瀬那奈は、翌2005年3月にシングル集「Reloaded」を発表し、歌手活動に区切りをつけます。片瀬那奈の歌手時代は新作リリースだけを対象にすれば、わずか1年半弱(2002-12〜2004-4)となりました。
しかし、2004年12月25日に、星村麻衣のライヴにゲスト出演し「Shine」をバンド演奏をバックに生で歌った片瀬那奈を、あたくしは観てしまった。現在のところ「歌手・片瀬那奈」は、あたくしにとって「Shine」と共に現れ、その曲の未来型を示してたトコで止まっているのです。さらに、2005年11月7日の誕生日に、ギターをプレゼントされ練習を開始したとの言葉を聴いてしまった。
きっと「夢のつづき」は、あるのでしょう。でも最初の夢は、第一期歌手時代の全活動期間を「2002-5(グラビア卒業宣言=歌手活動予告)〜2005-3(ベスト盤リリース)」と拡大解釈しても、あまりにも短かった。でも、だからこそ、その濃密で芳醇な記憶は決して消えない。ずっとずっと、あたくしは「歌手・片瀬那奈」を忘れないな。まだまだ、分らないことが多過ぎる。もっと考えなきゃダメだ。もっと、もっと、もっとだっ!そこからしか、音楽の謎は解けないってことだけは、やっとわかったんだよ。それに、ぼやぼやしてたら「片瀬那奈は音楽活動をまた公にしてしまう」よ。ちょっとまって、まだ振り返ることがあるんだ。あんまり急がないでくださいナ、ただ君の思うままにいてくれたらもうそれでいいんだ。さあ、歌謡曲の話をしよう。何故、この長い話が「片瀬那奈」から始まったのかは、きっとそのうち分るよ。
(第1章、STOP,)
【後記】『「夢みる歌謡曲」第1章:片瀬那奈』は、これにて終了です。長い間、御愛読してくださって感謝しております。本日までに終わらせなければならない「大人の事情」もありましたので、言葉足らずの部分も多々あったと思いますけど、今後の展開(第2章以降も、確実に近日公開します)に御期待戴ければ幸いです。最後にひとこと「イコちゃんの本音が読めるのはコピコンだけっ!!」、じゃ、またね☆
「夢みる歌謡曲」第1章:片瀬那奈(2006-6-25〜29)
取材・文:未亜
語りまくり:イコ
(文中、敬称略)
初出「COPY CONTROL」 (小島藺子/姫川未亜)