柴門ふみさんの作品は、デビュー当時は、かなり熱狂的に愛読していました。彼女の最初の単行本は確か奇想天外社から出た「ライミン・フーミン」で、ペン・ネーム同様「ポール・サイモン」が由来となっていて、そうした音楽絡みのトコも気に入っていたのだけど、「P.S.元気です、俊平」の途中あたりで画質が変わり(早描きになった)、ストーリー展開もその後のヒット作風になってきて、ついていけなくなりました。
そんなわけで、あたくしが柴門さんの単行本を購入したのは20数年ぶりなんです。それが「小早川伸木の恋」なのだけど、理由は片瀬那奈ちゃんが出演するドラマの原作だからなんです。そして初回のサブ・タイトルをみて、フーミンも基本は変わってないんだなぁと思いました。「動物園にて」ねぇ。これは、ミポリンの旦那が昔やってたバンドの曲なんかじゃないんですよ。サイモンとガーファンクルの「ブックエンド」の最後に入っている曲名なのです。
ドラマは昨日から始まり、妙子を演じる那奈ちゃんの「発狂ぶり」が話題になりそうです。昔から那奈ちゃんを観てきたヲタ諸君には、あの基地外演技は想定内で、彼女なら当然やれると確信していたでしょう。但し、世間のイメージは「きれいなおねえさん→ガイキチ」ですから、辛口なイコの地元でも「片瀬にあれほどの女優魂があったとは意外だ」と賞賛する声も多数ありました。
ま、あーゆー役ってホントは演技者としては一番やりやすいわけだけど、片瀬那奈ちゃんはまだ女優として認知されていませんからね。いやあ、あたくしは感動して泣きそうになりましたよ。番宣で出た「いいとも!」での静かな佇まいとのギャップも凄かった。「ざまーみろっ!!」と(誰に?)云いたいね。
初回を観て、シリアスなのかコメディーなのか分らないって意見もあります。主人公とカナの接近を一話であそこまで進展させるのも無理がありすぎでした。ラスト近くでCGを使った部分は「エヴァのTV版最終回?」だったし。結婚して那奈年も経つのに、あのキティちゃん妻を医者である夫が放置してるとか、暴れまくってもすぐに部屋が片付いてるとか、マンションなのに隣人から苦情が来ないとか、主人公の学生時代の後輩である弁護士がその妻の顔を知らないとか、いくらでもつっこみどころがあるわけで、でも、そんなもん、どーでもええの。そーゆーつまらん部分にばかり目が行く輩が、プロレスを八百長のひとことで済ませるわけだ。ん?何の話だっけ?
ドラマに、突き詰めたリアリティーなんていらないんです。那奈ちゃんの狂乱暴走はガチ、それだけで必見ですよ。あたくしは断固として支持します。今期のドラマは、もうこれだけでいい。
初出「COPY CONTROL」 (小島藺子)