前田がスーパーバイザーとしてプロレス界に復帰して以来、話題の中心は「前田」一色になった。長州の興行も、前田が来るってだけで満員、いや、そもそも「リキプロ」の売りは長州しかいない。ハッスルでは、高田総統こと泣き虫が「リング復帰か?」なんて話もある。新日の実権を握るのは、いまだに筆頭株主「猪木」だ。藤波は三沢とやるって云うし、メキシコでは初代タイガーマスクが凱旋し大盛況だってさ。
なぁ、今が2005年ってぇのは、嘘なんだろ?
プロレスってのは、四半世紀前のスターによってしか盛り上げることが出来ない世界になってしまったのか。いや、ええよボキは格闘技を観ますから、PKサイコー!!って、あんたね、もしホントにPKがガチなら未来はないよ。プロレスは死んだ、此れからはガチのPKって云うのは、旧プロレスを否定してU系に移ったのと変わらないのだよ。「やーい!やーい!プロレスもーだめぽ、プゲラ。」とか云ってる「ガチ莫迦」なんて明日には他に行ってしまうんだからね。プロレスがなくなったら、格闘家の受け皿もなくなってしまうんですから、それこそ「もうだめぽ」だよ。
あたくしはね、プロレスが滅びたら、此の国が滅びるって思うんだ。「ガチ」絶対主義ってのは、もう観客じゃないもんな。おまえらは、ただ眺めているだけじゃん。騒げればええだけじゃん。
小鉄が「昔は違った」って云っていたけど、其れは「昔は良かった」って云ってんじゃないんですよ。切れてないですよ、ええ、もう切らしたら大したもんですよ。鬼軍曹がしみじみ語るのはな、「俺が指導していた頃が、当たり前」って話なんだぞ。此れが分らないから、おまえらは壊滅的なんだよ。「まだ始まってねーよ」じゃないんだ、おまえらにはそもそも「始まり」なんかねーんだよ。あたくしは、もう寝る。
初出「COPY CONTROL」 (小島藺子)